目次
- 「腎」の働きの弱りが、加齢による不調の可能性も~エイジングケア
- タイプ別の簡単エイジングケア
- 加齢によるさまざまな不調に用いられる漢方薬をチェック
- エイジングケアには、今の生活を見つめ直すことも大切です。
いつまでも若々しく、気力も体力も充実した暮らしを送りたいですね。しかし、加齢にともなって生命力の源となるパワーの質は少しずつ衰えていきます。そこで今回は、漢方の視点からタイプ別に老化の原因を探り、おすすめの「老化予防」ポイントや漢方薬をご紹介しましょう。
「腎」の働きの弱りが、加齢による不調の可能性も~エイジングケア
「休んでも疲れがとれない」
「髪がパサついて、白髪が増えた」
「眠りたいのに、眠れない」
「性欲が低下している」
「体調をくずしやすくなった」
そんな不調を感じているとき、漢方では五臓の「腎」の働きが弱っている可能性が考えられます。腎とは、みなさんが生まれながらに持っているエネルギーが蓄えられているとされている場所。五臓の「腎」はカラダの成長や発育などの大切な役目を果たし、30代でピークを迎えると、以降は徐々に衰え始めるのが特徴。40~50代には老化を本格的に実感するようになるでしょう。「腎」が衰え始めると疲れやすくなったり、眠れなかったり、だるさを感じたり...。「無理が利かないな」と感じる出来事も増えてきます。また、体質によっても老化を引き起こす原因や症状が異なるので、ご自身のタイプに合わせたケアを心がけましょう。
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タイプ別の簡単エイジングケア
漢方では、カラダの成長や発達に関わる機能を司る「腎」の働きが低下したり、不足したりしている状態を総称して「腎虚(じんきょ)」と呼びます。腎虚には、病症によって「腎陽(じんよう)」「腎陰(じんいん)」「腎精(じんせい)」の不足などがあり、さまざまな不調の原因を作ります。3つの「腎陽」「腎陰」「腎精」の何が不足しているのか、あなたの症状からみてみましょう。
足腰や手足の冷えタイプ ~「腎陽」の不足
カラダを温めたり、健康に機能させたりするエネルギーの源を「腎陽」といいます。腎陽が不足すると、足腰や手足の冷えにつながることも。「冷えは万病のもと」といわれます。お風呂にゆっくりと浸かったり、靴下を履いたりして温める習慣を取り入れましょう。
疲れやだるさがある ~「腎陽」の不足
フラフラする、疲れやだるさが抜けない。そのような不調の原因も「腎陽」不足の可能性があります。カラダを温め、腎の働きを補うとされる羊肉やえび、にら、くるみ、栗などの食材を摂り入れるのがおすすめです。また、ストレスは大敵なので、適度に休養する生活をしましょう。
眠いのに眠れない ~「腎陰」の不足
カラダをうるおす水や血液などの源を「腎陰」といいます。漢方での腎陰が不足するとほてりやのぼせを感じたり、寝汗をかいて眠れなかったりすることも。早寝早起きの生活リズムを心がけながら、牡蠣や梨、桃といったうるおい食材を取り入れましょう。
性欲が低下している ~「腎精」の不足
カラダの発育や性機能を健康に保ってくれる生命エネルギーのことを「腎精」といいます。漢方での腎精が不足すると性欲の低下や不妊を引き起こすことも。腎のエネルギーを補うと言われている黒豆や黒ゴマ、黒米など黒食材を取り入れましょう。
白髪や抜け毛が増えた ~腎のエネルギー不足「腎虚」
漢方では「髪は腎の華(はな)」といわれるほど、腎のエネルギーが不足「腎虚」になってくると髪に不調があらわれます。白髪や抜け毛が気になるときは、内くるぶしとアキレス腱の間にある若さを保つツボ太谿(たいけい)を気持ちいい程度に刺激してみましょう。
加齢によるさまざまな不調に用いられる漢方薬をチェック
漢方には、加齢によるさまざまな不調に用いられることの多い漢方薬があります。老化によるカラダの変化に対応するだけでなく、調子を整えたり慢性的な不調の対策にもなるでしょう。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎陽、腎精不足タイプにおすすめ
八味地黄丸は、8種類の生薬が配合されている漢方薬。カラダを温め、新陳代謝を促して頻尿や尿もれ、残尿感、排尿困難といった尿トラブルに対応します。また疲れやだるさなど、老化の症状が気になり始めた方が使用する薬としても効果が期待できるでしょう。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
腎精不足タイプにおすすめ
知柏地黄丸は、むくみ、尿トラブルといった中年以降の方によく見られる症状に効きめが期待できます。清熱作用があり、カラダをうるおす働きを持つ知母(ちも)や、腎の衰えによる体内部の熱を冷ます黄柏(おうばく)といった生薬を配合。全身にエネルギーを蓄え、水分代謝を調整します。
牛車腎気丸(ごしゃじんぎがん)
腎陽不足タイプにおすすめ
八味地黄丸に、下半身のむくみを取り除く牛膝(ごしつ)や車前子(しゃぜんし)を加えた10種類の生薬が配合されている漢方薬。年齢などの理由で不足していた腎のエネルギーを補って排尿異常やだるさに働きかけ、弱っていた足腰に力をもたらします。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
腎陽虚タイプにおすすめ
年齢などによって体力が乏しく、疲れやすい方や元気のない方に使用されることが多い人参養栄湯。人参をはじめ、当帰(とうき)や地黄(じおう)など12種類の生薬を配合しています。冷えや食欲不振などを感じる方の、ココロとカラダに元気をもたらしてくれる漢方薬です。
エイジングケアには、今の生活を見つめ直すことも大切です。
不規則な生活や冷え、ストレスなどを抱えていると、カラダはどんどん老化してしまいます。老化と関係の深い腎の働きをサポートするためにも、忙しい時期ほど睡眠を十分にとって、リラックスできる時間を作りましょう。そしてカラダを冷やさないように、冷たい飲み物や食べ物を控え、海藻類や貝類などを取り入れる食生活もおすすめです。エネルギーをしっかり蓄えて、気力や体力が十分に満ちたカラダを作りましょう。
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