暑すぎる夏だから。自宅で今日からできる夏バテ対策3選

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高温多湿な日本の夏。特に昨今は耐え難いほどの暑さに「カラダが重くだるい」「食欲が出ない」「お腹をこわしやすい」「頭痛がする」などといった様々な夏バテ症状を感じる方が増えています。熱中症対策や栄養補給だけでは体力の回復が追い付かないことも。深刻化した現代の夏バテ対策で大事なポイントは“自律神経を整える”こと。自宅でかんたんに取り入れられる自律神経を整える夏バテ対策のポイントを3つ厳選してご紹介します。

そもそも自律神経と夏バテ対策の関係とは?

夏バテ対策でポイントとなる「自律神経」とは、一体どのようなものなのでしょうか。自律神経は呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排泄など生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために働く神経です。自律神経は自分の意思で制御やコントロールができないもので24時間働き続ける“自動運転”のシステムなのです。 自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、車に例えると交感神経がアクセルで、副交感神経はブレーキの役割を担っています。交感神経が優位に働くと、血管が収縮して血圧や心拍数が上がりカラダは活発な状態になりますが、胃腸の血管が収縮すると粘膜への血流量が減り、蠕動(ぜんどう)運動の低下や胃の粘膜を保護する粘液の分泌減少をもたらします。そのため胃腸の働きが低下してしまいます。反対に副交感神経が優位に働くと、血管を拡張させて血圧や心拍数を下げるため胃腸の働きが活発になります。夏の暑さや疲れなどのストレスは交感神経を優位にさせるため食欲不振や胃もたれといった症状が現れるわけです。汗をたくさんかくことによる体温調整で交感神経が酷使されることも夏バテを引き起こす原因の一つです。

自律神経は繊細なシステム

自律神経のリズムは昼間に交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位に切り替わります。しかし、精神的なストレス、肉体疲労、睡眠不足、偏った食生活など不規則な生活が続くと自律神経は乱れて心身の状態に大きな影響が及びます。自律神経は意思によってコントロールできないものの繊細なシステムのため、少しの変化でもバランスが崩れます。特に夏は熱帯夜による寝苦しさに加えて寝汗をかくことで交感神経が優位の状態を招き、睡眠の質が低下するために睡眠不足となり疲労回復が十分にできなくなります。暑さによる食欲不振で栄養が行き渡らないだけでなく、本来は夜に副交感神経が優位になり胃腸が活発化するところが、交感神経による緊張状態が続き胃腸の回復が促せないため夏バテに発展してしまうのです。

自律神経を整える夏バテ対策<かんたん運動編>

夏バテは交感神経が必要以上に優位になった結果、カラダの疲労回復が促せない状態といえます。自律神経のバランスを整え、副交感神経の働きを助けるためには、呼吸によりカラダに酸素を巡らせて末端に血液を流すようなゆるやかな運動がおすすめです。室内で立ったままかんたんに行える気功体操を試してみましょう。

気功「スワイショウ」

カラダに流れる生命エネルギーである「気(き)」を巡らせて自律神経を整える体操です。スワイショウという言葉は中国語で「手をぶらぶらさせる」を意味する通り、全身の力を抜いて腕を振るだけの簡単なエクササイズです。遠心力をうまく使うことで体力のない時や高齢者でも楽に動くことができます。遠心力で手の末端まで血流が行きわたるため血行促進も期待でき、夏の冷えにも有効です。とてもかんたんな動きで無心になれるため、夏バテ解消のみならず疲れた脳をリラックスさせる効果も期待できます。

【基本の立ち方】
肩幅に足を開いて立ち、膝は軽くゆるめておきます。肩の力を抜き、手は体側に添うようにぶらさげておきます。指は力を入れずに軽く曲げておきましょう。

★前後のスワイショウ

立位で前後に腕を振り子のように振る動き(1分程度を目安に)

<やり方>
①基本の立ち方から両方の腕を一緒に前に投げ出します。高さの目安はおへそのあたりでそれ以上高く上げ過ぎないようにしましょう。
②両方の腕が振り子のように下りる勢いを利用して腕をカラダの後ろ側に軽く振ります。
③反動を利用して前後に手を振るのを繰り返します。
④やめる時は急に動きを止めずにブランコをこぐのをやめるように徐々に動きを小さくしていきましょう。

<動きのコツ>
・力を入れて動きをつけたり止めたりしないで腕が自然と振れるのにまかせてぶらぶらと動かしましょう。
・カラダが前後に動いてもかまいません。足の裏で地面を感じてカラダの重心を意識することにフォーカスすると脳がリラックスしていきます。
・1分間に50回くらいのペースで腕を振ります。徐々に時間を増やして数分程度行っても大丈夫です。
※心臓ペースメーカー使用、貧血症、低血圧の方は小さな振り方でゆっくり行い回数は少なめに行いましょう。

★ひねりのスワイショウ

カラダと腕をひねる動作を連続させる動き(左右各1分程度を目安に)

<やり方>
①基本の立ち方から、息を吸いながら片側にカラダをひねりその勢いを利用して両手を背後に投げ出します。顔も手のある側に向けるようにし目線は水平に保ちます。
②次に息を吐きながら逆側に同じようにひねりの動作を行います。
③どちらかの側を向く時に息を吸い、逆側に向く時は息を吐くようにすると呼吸が整います。できるだけゆっくりと大きな呼吸をしてそれに合わせて動きましょう。
④やめる時は急に動きを止めずにブランコをこぐのをやめるように徐々に動きを小さくしていきましょう。(呼吸を逆にして反対も行いましょう)

<動きのコツ>
・力を入れて動きをつけたり止めたりしないで腕が自然と振れるのにまかせてぶらぶらとうごかしましょう。
・背骨と頭部は一定の姿勢を保つようにし、膝関節と股関節はゆるめてスムーズに動くようにしましょう。
・ストレッチではないので無理にひねったり強くねじったりしないようにしましょう。
※心臓ペースメーカー使用、貧血症、低血圧の方は小さな振り方でゆっくり行い回数は少なめに行いましょう。
※頭痛やめまいが起きやすい方は顔を動かさないようにするか無理をせず控えましょう。

★仕上げのストレッチ

スワイショウを行った後は、側屈の動きで自律神経系統が分布されている背骨を丁寧に動かして左右の体側を伸ばすように整えるとよいでしょう。

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あわせて読みたい>>「夏バテ」とは胃腸の弱り。「漢方流胃腸の弱りチェック法」

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夏バテダメージの早期回復対策<食事編>

疲労を回復させるには夜の安眠のために、しっかり朝食を摂ることがポイントです。安眠を促すホルモンは日中に体内で作られるため、その元となるアミノ酸(トリプトファン)が含まれるタンパク質を朝食で摂っておくことが大事です。カラダに入ったトリプトファンは、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンになります。日中作られたセロトニンは14~16時間後にメラトニンという物質に変わり、自律神経を優位にする準備を整えるため、夜ぐっすりと眠ることができるのです。そのため夜に睡眠を促せるように朝食で肉や魚、卵、大豆製品、乳製品といった良質なタンパク質をしっかりと摂りましょう。トリプトファンは体内では合成できないため、食事からの摂取が必要です。さらに食事はゆっくりと噛んで食べることで、唾液による免疫物質の分泌も促され、腸の働きも活性化します。

<タンパク質の含まれる食材>
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品

<食欲のない朝におすすめのタンパク質メニュー例>
時間がない朝に火もレンジも必要なし!パックを開けるだけの食材を選べば元気がでない時でも取り入れやすくなります。さらに違う種類のタンパク質を組み合わせるとより効果的です。
・温泉卵+かつおぶし
・ヨーグルト+きな粉
・えだ豆+魚肉ソーセージ
・ハム+チーズ
・鮭フレーク+納豆

★朝食に効果的!トリプトファンが含まれるあの食材

ナッツ類やバナナにもトリプトファンが含まれます。バナナは色別に栄養と効能が違うため、プラスアルファを意識して選ぶとより効果的です。

・青いバナナ
レジスタントスターチと呼ばれる、食物繊維と似た作用のでんぷん質が多く含まれ、便秘解消や腸内環境整備に効果的です。

・黄色い熟したバナナ
抗酸化物質を含むためアンチエイジング効果が期待できます。カリウムも豊富なため、むくみ予防にも役立ちます。

・黒い斑点がでたバナナ
この斑点はシュガースポットとも呼ばれバナナが成熟してきた証です。黒い斑点がでたバナナには胃腸の粘膜を保護するリン脂質が含まれるため、胃腸の調子を整えてくれます。

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あわせて読みたい>>食材の効果を確認!薬膳食材図鑑

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睡眠の質を高める夏バテ対策<お風呂編>

暑い夏でも湯舟に浸かってカラダの深部体温をしっかり上げ、寝る前に自然と体温を下げることが睡眠の質を高めるためには重要です。しかしお湯に浸かる時間や気力がないこともありますよね。そんな時のおすすめは、シャワーで首の後ろと骨盤の後ろを温めるテクニックです。副交感神経の束が存在する首(頸部)と骨盤の裏側(仙骨)エリアは筋肉や脂肪が少なくシャワーの熱が伝わりやすいため温めることで効率的にケアができます。特に仙骨は骨盤裏の中央にあり、そばに直腸や自律神経のひとつである副交感神経の束があり、太い血管も通っています。リラックスして眠るために、シャワーで副交感神経を刺激するポイントを温めて血行を促進し、自律神経を整えましょう。

<やり方>
通常の入浴を済ませてから行いましょう。心地よいと感じられることが大切です。
①心地よいと感じる温度(40℃程度)のシャワーを首の後ろ側から当てる(15~30秒程度)
②骨盤の真裏にある仙骨(お尻の割れ目の上部)に向けて心地よいと感じる温度(40℃程度)のシャワーを当てる(1~3分程度)
※刺激や温度が不快に感じられる場合は時間を短くするか控えましょう。

夏バテしてしまったら。胃腸をやさしく整える処方で回復を

胃腸の働きが弱り、カラダを巡るエネルギーである「気(き)」の生成が上手くできなくなると、夏バテが起こると考えられています。胃腸の機能を高め食欲を増進させることで栄養の吸収を促し、「気」の生成を促す漢方薬を取り入れることもおすすめです。

■補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れが取れない、手足がだるい、疲れが取れず朝気持ちよく起きることができないなどの疲労倦怠の改善が期待できます。また胃腸の機能も高めるため、食欲不振を改善します。

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那須久美子

ヘルスケアデザイナー・漢方アドバイザー・ピラティス/ヨガセラピスト・バレエティーチャー・アスリートキャリアコーディネーター・介護予防運動指導員

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