目次
何気ない日常の1つである「睡眠」ですが、人生の中でも3分の1は眠って過ごします。質の良い睡眠は心身の休養に欠かすことが出来ず、生きる上でとても大切な役割を担っています。しかし、大切な事であると分かっていても現代人は眠りに関する悩みを抱えている方がとても多いのが現実です。
経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、最下位。各国平均の8時間28分よりも1時間以上短く、33カ国の中で最も短いという結果が出ています。
また、厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合が男性は37.5%、女性は40.6%となっています。さらに、ほぼすべての世代で、睡眠による休養が十分にとれていない人の割合が増える傾向にあります。
近年の研究により、眠りの乱れが糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病になるリスクを高め、その症状を悪化させることが明らかにされつつあります。
睡眠時間だけでなく、あまり眠れない、朝の目覚めが悪い、寝ても疲れがとれないなど、睡眠の質に関する何らかの問題を抱えている方が大部分を占め、まさに早急改善が必要な健康課題の1つとも言えるでしょう。
質のよい睡眠とは
眠りの質に大きくかかわるのが、眠りの深さです。眠りには2種類「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、人は眠っているとき、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を下記の図のように、交互に繰り返しています。また、眠りは入眠後すぐに深いノンレム睡眠に達し、その後浅くなるというパターンを4~5回繰り返します。そして、徐々に眠りが浅くなり、目覚めます。
レム睡眠時は、脳が活発に動いている状態で、鮮明な夢を見ることが多いです。また、記憶の整理や体の休息などをしている眠りです。レム睡眠が終わるタイミングで目覚めると、すっきりと起きられます。
そして、ノンレム睡眠は、うとうと状態から熟睡状態まで4段階に分けられますが、このノンレム睡眠3~4段階の深い眠りがとれているかが大切です。この睡眠は徐波睡眠と言い、脳が休息し、疲労回復や細胞の修復を行う成長ホルモンが分泌されるなど、良質な眠りと言えます。
2種類の眠りを合わせて約90分が1セットになっており、一晩のうちに4~5回繰り返される。
体内時計調整ホルモン「メラトニン」とは
睡眠のホルモンで知られる「メラトニン」は、「セロトニン」から作られて、夜に分泌量が高まり眠気を誘います。体内時計とも密接に連携し、夜に深部体温を低下させて、質の良い睡眠に導いてくれます。ただ、夜寝る前に、スマホやパソコンの光が目に入る脳の覚醒、体内時計が乱れて眠りの質が落ちることに繋がりますので、就寝前の使用は控えましょう。
また、メラトニンの材料になるセロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれます。朝、太陽の光を浴びると分泌が高まります。また、規則正しい生活や軽い運動でも分泌が高まり、肉などに含まれる「トリプトファン」という必須アミノ酸から作られます。
セロトニンは、幸福感をもたらし、心のバランスを整え、ストレスの緩和にも役立ってくれる神経伝達物質です。不足すると、うつ病などの精神疾患との関連が指摘されています。要は、夜の心地よい睡眠には、朝起きてからこのセロトニンの分泌を高めるというのが、大きな鍵になるということです。
おすすめハーブ「ラフマ」の魅力
近年、睡眠の質をあげるハーブとして注目されている「ラフマ(羅布麻)」とはどんなものなのか、その魅力に迫ってみましょう。
ラフマとは、中国原産の温帯地域に生息するキョウチクトウ科の多年草です。生育地では、古くから葉の部分をお茶にして飲用し日常的に親しまれてきました。中国薬典には、ラフマの葉の効能として「肝臓を鎮め、心を安定させる。不眠に使用する」と収載されています。
*ラフマ由来ヒペロシド、ラフマ由来イソクエルシトリン 各1mg含む
ラフマ葉エキス(*)の摂取によるノンレム睡眠時間の割合の改善また、ラフマ葉に含まれるヒペロシドやイソクエルシトリンといった成分が、日常生活における一時的な精神的ストレスをやわらげる機能があると報告されています。ストレスを感じている方、穏やかな気持ちになりたい方、質の良い睡眠を求める方におすすめのハーブです。
よりよい睡眠のための生活習慣チェック
Photo by Yuko Manago
●簡単ストレスケアにもなる「深呼吸」
深呼吸は、緊張やイライラを鎮めストレスの軽減、血行促進、自律神経のバランスを整えて、リラックス効果抜群です。仕事の合間に、就寝前に気づいた時に取り入れていくことで、どこでも簡単にストレスケアになります。ポイントは、鼻から吸って、吸うときの倍くらい時間をかけてゆっくり口から吐くことです。目を閉じて視覚情報を遮断して行いましょう。
●深い眠りのための入浴法
就寝の30分~1時間くらい前に入浴することで、就寝時の身体の深部体温が適度に下がって眠りやすくなります。また、注意したいのが湯船の温度です。38~40度くらいのぬるめの湯にゆったりとつかります。血行が良くなり、皮膚や体の末端から放熱することによって、寝る前は手足を温かくしてくれます。そして、深部体温がスムーズに下げられ、眠気が自然と訪れやすくなります。
●夕食で気を付けたい時間と飲料
食べた後すぐに眠ると、眠りが浅くなるため、食事は就寝の2~3時間前までに済ませましょう。また、覚醒作用のあるカフェインを含む飲料だけでなく、過度な飲酒は、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めてしまったり睡眠の質に影響を与えることに繋がるので気をつけましょう。
●眠りと光の関係
明るい光は、メラトニンの分泌を抑制し、眠気が抑えられてしまいます。照明は10ルクス以下程度(豆電球程度の明るさ)にして、部屋を間接的に照らしたり、真っ暗にしたりするのがおすすめです。また、ブルーライトの多いデジタルデバイスは遠ざけましょう。光以外にも体を締め付けないパジャマや肌触りの良い寝具などの心地よい睡眠環境作りも大切です。
●就寝前の喫煙
たばこに含まれる「ニコチン」の覚醒作用は約1時間程度続き、寝付きを悪くするので就寝前は控えましょう。
●ストレスケアで安眠へ
睡眠は、ストレスに対抗するホルモンである「コルチゾール」の分泌にも深く関わっています。
コルチゾールは睡眠中にも分泌されますが、睡眠不足が続き、睡眠中に分泌されるコルチゾールの分泌が少なくなりすぎると日中のストレスの影響をより受けやすくなることがわかっています。
日中のストレスによって睡眠不足に陥ると、さらにストレスを感じやすくなるという悪循環に陥ってしまうこともあるので、安眠のためにも就寝前には、脳や体が覚醒するような活動を避けましょう。
軽いストレッチやマッサージで体をほぐしてリラックスモードにすることでも心身が落ち着いて寝る態勢が整っていきます。
アロマ・ハーブ等の取り入れ方
Photo by Yuko Manago
睡眠におすすめのハーブとして「ラフマ」をご紹介しましたが、それ以外の就寝前に試して欲しい、アロマ(精油)とハーブティーをご紹介します。
●アロマ(精油)…ラベンダー、オレンジスイート、ローマンカモミールの香りは、気持ちを落ち着かせてリラックスさせてくれます。手軽に楽しむなら、コットンやティッシュに1滴垂らして枕元に置いてみましょう。
●ハーブティー…ジャーマンカモミール、リンデン、オレンジフラワーなどのハーブは、心身共にリラックス効果が高く、温かいハーブティーで飲用し身体も温まります。さらに、カフェインレスなので就寝前の1杯としておすすめです。
アロマ・ハーブ・サプリメント・漢方など、自分に合ったものを柔軟に取り入れてみるのも良いでしょう。
人生の3分の1の睡眠をより心地よいものにするため、日々の生活習慣を振り返り、身体と心を労りながら、自分の出来るところから無理のない範囲内で始めてみませんか。今の健康だけでなく、10年、20年、さらに先の健やかさのため、自身の身体と上手に付き合いながら、毎日快眠を目指しましょう。
ホリスティックビューティエキスパート
小塚 美香
プロフィール
長きに渡る美容業界の臨床経験と豊富な知識を活かして、ホリスティックに美と健康をサポート。美容や植物療法(アロマ)を中心に、専門学校や資格認定校での講師経験も豊富で、多くのプロを育成。セルフケアの専門家として、企業向けセミナーにも多数登壇。また、コスメコンシェルジュインストラクターやアロマセラピストなど、専門性の高い各種資格を持ち、テキストの監修、記事の執筆、取材など、その活動は多岐に渡る。
【資格】
・NPO法人日本ホリスティックビューティ協会認定ホリスティックビューティエキスパート
・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・JAMHA認定シニアハーバルセラピスト など
【活動実績:講師・執筆・出演】
・NPO法人日本ホリスティックビューティ協会 講師
・Aromatherapy & Herb School 天使の庭 講師
・日本ホリスティックビューティ協会主催 メルマガ、公式テキスト 監修・執筆 など
Instagram:
http://www.Instagram.com/hba.mika.0823
<PR>