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寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い、夢をよく見る、 昼間眠くなる、電車の中で寝てしまう・・・「眠れない事情」にもいろんな種類がありますが、これらの症状はすべて不眠傾向にある、と考えられます。 眠れない時は「翌朝早いし、眠らなくっちゃ」と気持ちばかりが焦ってしまい、考えれば考えるほど余計に眠れなくなってしまう。こんな日が続くと、カラダもココロも、ぐったり疲れ果ててしまいます。このような方に、漢方薬がおすすめな理由とおすすめの漢方薬をご紹介します。
あなたの「眠れない」の原因はどこにある?
同じような不眠の症状でも原因は人によって様々です。
精神的な要因
あれこれ考えすぎて脳が興奮状態のままになっていたり、疲労やストレスから自律神経が乱れることで不眠を引き起こしているかもしれません。また、うつ病などの精神障害も不眠と深く関係していると考えられています。複雑な現代社会で、ストレスは不眠の大きな要因の一つです。
身体的な要因
加齢、痛み・痒みなどを伴った病気が起因となり不眠につながっていることも。年齢を重ねると睡眠の質が低下する傾向にあるとも言われています。頻尿や夜間尿で夜中に目が覚めて戻ってからも寝られないなど、別の病気の影響で不眠の症状を引き起こしている可能性もあります。
他にも薬の影響、不規則な生活、アルコール・カフェインやタバコなどの生活習慣、騒音や室温、明るさなどによる環境的な問題が原因となることもあります。
漢方でみる「不眠」とは、どういう状態?
漢方では「気・血・水」という大切な考え方があり、これら3つがカラダの中をうまくめぐっている時、私達のカラダは心身共に健康であると考えます。その中の「気」は「病は気から」と言われますが、まさにその「気」。元気の「気」です。「気」とは生きていくための生命エネルギーそのもの。
漢方では不眠の状態を、この「気」の流れがうまくめぐらないことが原因のひとつと考えます。「気」が滞り、カラダをめぐっている「血」が不足したり過剰になったりすることが、不眠などの不調を引き起こすとされているのです。
精神的な要因でご紹介した疲労やストレスは「気」のめぐりを止めてしまいます。「気」がめぐらなくなるとカラダが熱を冷ませなくなり、余分な熱が頭に昇っていき脳を疲れさせてしまいます。「気」がうまくめぐらない状態は、考え事も悩み事もうまくこなせない状態。不眠の他にも、イライラしたり、考え込んだり、怒りっぽくなったり、のぼせや頭痛、また、喉が詰まった感じになるなどの症状がでる場合もあります。
また、漢方では「陰・陽」のバランスはとても大切であると考えます。夜は「陰」の時間でカラダや脳をゆっくり休め、昼の「陽」の時間に活動するというのが人間本来の生活リズム。でも、仕事で残業が続いたり、ついついスマホを夜中まで見ていたり、このバランスが崩れてくると、「陰」の夜なのに目が冴えてきたり「陽」の昼なのにウトウトと眠くなったりしてしまいます。
人のカラダを陰陽で捉えると、ココロは「陽」、カラダは「陰」となりますが、加齢によりカラダが消耗し、体内の陰陽バランスが崩れて早く目が覚めてしまう不眠もあります。
睡眠がうまくとれないとカラダの疲れは溜まる一方。漢方ではココロとカラダはつながっていると考えます。カラダが不調になればココロにも栄養が届かず、栄養不足の睡眠、すなわち不眠になってしまうと言えるでしょう。
考え事で眠れない方におすすめの漢方薬は?
漢方は、今ある辛い症状だけではなく原因に働きかけながら、心身のバランスを整えてくれます。だからあなたの元気を底上げしてくれる強い味方?!になってくれるかもしれません。
不眠の症状はいろいろありますが、とくに悶々と考え過ぎてなかなか眠れない方、ストレスが原因で、脳の興奮や自律神経の緊張による不眠には、「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」が、お勧めの漢方薬です。「気」をめぐらせ、体にこもった熱を冷ますとともに、ココロを落ち着かせる処方ですので、脳の興奮からくる不眠を改善します。不安感があり驚きやすい症状やイライラ怒りやすいといった症状にも効果があります。
「柴胡加竜骨牡蛎湯」は、こんな方にもおすすめの漢方薬です。
・仕事や人付き合いなどでイライラしやすく、思い悩んでしまう方
・テスト前や試合前などに緊張して眠れない方
・寝るまでに時間がかかる方
・旅先ではなかなか寝付けない方
・のぼせやすい方
自分でできる不眠予防
良質な睡眠とは陰陽バランスのとれた状態での眠りです。カラダのこわばりを解いて「気」のめぐりを促し、頭とココロの興奮を鎮めて冷ますことで、自然と良い眠りが得られます。
「また今夜も眠れないかも・・」と不安になって眠るためのお酒を飲むのは実は逆効果。かえって眠りの質が悪くなる原因となってしまいます。寝る前のアルコールやカフェインは控えましょう。
お風呂に入ると目が覚めてしまうという人も多いので、眠りにつく1時間前には入浴を済ませるのが望ましいです。入浴の仕方も一工夫してみましょう。心地よいと感じるアロマオイルなどを使うのも良いですね。38~40度くらいのぬるめのお湯でゆっくり半身浴。すると副交感神経が優位になってリラックス。そのあと、軽いストレッチをして緊張したカラダをほぐします。これでカラダの睡眠への準備は整いました。次は頭とココロの入眠準備です。
ベッドに入る30分前には以下の準備をしましょう。
・PCやスマホを控えて眼と頭を解放しましょう。できれば充電も枕元から極力離れたところで。
・寝る前の読書も控えた方が良いでしょう。ついつい続きが気になって、結局、読むのがやめられなくなってしまうかもしれません 。
・頭の疲れを取るためにキャンドルの光を見ることもおすすめ。ゆらゆらと温かい光が、ゆるゆるとココロまで緩めてくれます。
照明や室温などの室内環境もちょっと工夫して自分なりの癒し空間にするのも快眠への近道。夜眠れないからと言って昼寝してしまうとまた夜眠れなくなってしまうこともあるので、朝起きたら太陽の光を浴びて交感神経のスイッチをON、夜になったらリラックスして休息状態に切り替える事。陰陽バランスを整えて、ぐっすり眠ってその日の疲れはその日のうちに解消できたらいいですね。
ココロとカラダのバランスをとり、自分の力で眠れるように促してくれる(自分に合う)漢方薬や養生法をぜひお試しください。
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監修
樫出 恒代