漢方の基礎知識2「五行とは」

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五行とは

五行学説とは何?

五行学説とは、地球にあるあらゆるものは、「木」「火」「土」「金」「水」(もっかどごんすい)の5つの要素から成り立っていると考える思想のことをいいます。東洋医学は五行学説の考えをもとに、カラダの状態や治療、養生法をとりいれています。

五行学説にはさまざまな切り口があります。
例えば、季節は「五季」として、季節ごとの自然の外気は「五気」として分類しています。
五季と五気を組み合わせると、春は風、夏は熱、長夏(梅雨)は湿、秋は燥、冬は寒となります。

これを、わかりやすくいうと、春は春一番という言葉もあるとおりで「風」の影響を受けやすい季節です。例えば、風で舞う花粉やほこりによって花粉症などの症状が春に起こりやすいと考えます。秋は乾燥の「燥」の影響を受けやすい季節です。秋は空気が乾燥するため、皮膚や髪などカラダの表面だけではなく、鼻や喉などカラダの中も乾燥します。咳が出たり、便秘になるのも燥の影響を受けているからです。

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後半で紹介する五行色体表の読み方が理解できると、春にはどんな症状が起こるのか、どんな食材を選べばいいのかなどを判断することができます。五行色体表とは、季節・地理・植物など自然界に起こる現象と人間のカラダに起こる状態や治療などを分類してまとめたものです。まずは、五行学説の基本となる「木」「火」「土」「金」「水」から説明をします。

五行学説の元になる五行おのおのの関係性とは

五行では、「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素が、お互い助け合ったり、抑制したりすることによってバランスを保っています。「木」「火」「土」「金」「水」には、それぞれに特徴があり、人間の体にある五臓に当てはめることもできます。五臓では、肝は木、心は火、脾は土、肺は金、腎は水とつながっています。まずは特性を理解していきましょう。わたしたちのカラダの状態や治療などと深い関わりのある「五臓」については、別の記事でくわしく説明をしていきます。

「木」
木は、草木のように上や外に向かってぐんぐん伸びる様子を意味しています。木の特性には、生長・発散・上昇などがあります。

「火」
火は、炎のように火が燃え盛る様子を意味しています。火の特性には、炎上・上昇などがあります。

「土」
土は、植物を生み出し、動物が生活するための土台となります。土の特性は、生成・発育などがあります。

「金」
金は、澄んだ光沢感を持ち、清涼感のある金属を意味しています。金の特性は、清涼感・清潔などがあります。

「水」
水は、すべての物を潤し、上から下へ流れていく様子を意味しています。水の特性は、下降・寒冷などがあります。

五行の法則を理解しよう。

五行の基本となる「木」「火」「土」「金」「水」はお互いどのような関係があるかを知っておくことも大切です。五行の法則には「相生」(そうせい)「相克」(そうこく)「相乗」(そうじょう)「相侮」(そうぶ)という考えがあります。五行は、お互いに助け合ったり抑制したりすることによってバランスを保っています。

相生(そうせい)
相生は赤矢印の部分で、次の物事を促進し、助け、補う働きのことをいいます。例えば、木が燃えると火を生じ、火は燃えると灰が残り土を生じるといった意味をあらわしています。

相克(そうこく)
相克は図の中央にある黒の矢印の部分で、物事の成長や機能に対して抑制する働きのことをいいます。例えば、木は土の養分を吸い取り、火は金属を溶かすといった意味をあらわしています。

相乗(そうじょう)
相乗は強いものが弱いものを抑える働きのことをいいます。相手に対して抑制したり、制約したりするのが過剰になることです。例えば、木の働きが過剰になると、土の養分も過剰になります。

相侮(そうぶ)
相侮は弱いものが強くなり、強いものを抑制する働きのことをいいます。相克の関係とは反対になる関係のことです。例えば、土は木の栄養分を吸収し、木が成長しすぎないようにします。

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五行色体表の読み方を解説します。

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五行色体表では、私たちの取り巻く世界を五行に分けて判断することができます。「木」「火」「土」「金」「水」と人間の五臓が関連付けられたものが五行色体表です。例えば、春・夏・長夏・秋・冬の5つの季節を中心に考えると、五臓は肝・心・脾・肺・腎と分かれています。五行色体表を見ると、春は五臓の肝に影響を与えやすいといったことが理解できます。

特に五臓は、五色・五官・五声などと関連づけられているため、顔の色艶・声の大きさ・動作などによりその人の体質や症状を見極めることができます。中医学では、この五行の考えをもとに診断したり治療をしたりします。

五行色体表は、その季節に起こりやすい症状や養生法などを説明することができます。
例えば、春は五臓の「肝」に負担がかかりやすく、五気によると「風」の影響を受けやすい季節でもあります。肝に負担がかかりすぎたときは、ストレスに効果のあるレモンやみかんなど五味の「酸味」の食材が向いています。五官によると肝の症状は目にあらわれます。目が疲れたり、視力が落ちたりすることもあります。情志(感情)の観点からだと、精神的に怒りっぽくなるのも春の特徴です。

このように、五行色体表の見方を理解することは、わたしたちが季節を健やかに過ごすヒントとなるのです。

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