目次
- 40〜50代を「ご機嫌」に過ごすビューティライフ
- 保湿と肌荒れ対策にもっとも大切なのは洗顔。これからはしっとり仕上げる。
- 40代50代のメイクアップの鉄則は
- インナービューティーに漢方を活用する!
- アロマで行うメンタルケアは想像以上に素晴らしい!
オーガニックコスメと植物美容の先駆者である吉川千明さん。数々のエステティックサロンやスパを経営しながら、自身の更年期症状がつらかったことに端を発し、20年間に渡り、「女性ホルモン」の働きを知ってもらうセミナーを続けています。さらに、日本初の女性専用漢方薬局を銀座にオープンするなど、女性の元気と美しさのための活動をしてきました。そんな吉川さんに、40〜50代以降も美しくいるための秘訣をお聞きしました。
40〜50代を「ご機嫌」に過ごすビューティライフ
東洋医学では、古くから女性の体は7年ごとに変化するといわれます。7歳頃に歯や美しい毛が生え揃い、14歳頃に月経が始まり、21歳頃に妊娠出産に適した体になり、40代に入ると心身の急激な変化を感じ、49歳頃に月経の終わりを迎えるとされます。
東洋医学の女性の7歳ごとの変化は、西洋医学でいうところの「女性ホルモン」の波とほぼ一致しています。40代に入ると卵巣から分泌される女性ホルモンの量は急激に減少し、50歳前後で閉経し、60歳になる頃には卵巣から分泌される女性ホルモンの量はゼロに近づきます。この女性ホルモンの変化が、40代、50代の心身に大きな影響を与えます。
女性ホルモンが正常に分泌している間は、お肌はハリとうるおいに満ちていますが、40代に入ると全身が乾き、荒れやすく、シワやしみの悩みが増え、顔色もくすみだします。髪のハリコシ艶がなくなるのもこの時期です。
でも、「もう歳だなぁ……」なんてあきらめないで!ホルモン量が変われば、その時期に合った手入れの仕方へ変えていけば良いですし、化粧品は変化する自分に合わせて、選びなおしたら良いでしょう。きちんとケアをして、大好きなファッションに身を包む。そうやって自分を可愛がってあげれば、体調も良くなるし、私たちは、まだまだどんどん美しくなれるのです。
そして人生を楽しみながら、いつも「ご機嫌」でいれば、メンタルヘルス的にも◎。自分のご機嫌は自分で取ってあげましょう!
さらに、ご機嫌なあなたと一緒にいれば、周囲の人々をも幸せな気分になっていきます。そんな人が本当の「美人」と呼べるのではないでしょうか?
そこで、40代50代が「ご機嫌」になるような美容のアドバイスを。スキンケアとメイクのコツ、インナービューティのための漢方の使い方、そして支えるメンタルケアのためのアロマテラピーの活用法を紹介します。
保湿と肌荒れ対策にもっとも大切なのは洗顔。これからはしっとり仕上げる。
① 40代からはミルククレンジングで一度洗い
まずは、顔の汚れを落とすためのクレンジング。
40代、50代の肌は、とても乾燥します。乾燥がバリア機能を低下させ、肌荒れを招きます。肌の状態に合わせて洗顔料を見直しすることが、美容の要です。
目の周りの小皺が目立つ、唇が荒れる、化粧水がしみるように感じたら洗顔料を見直してください。どんな高価な美容液やクリームを使っても、洗顔で乾燥させていたら、美肌にはなれません。
美肌を作るためのクレンジング剤としておすすめなのは、良質なミルクタイプ。ミルクタイプのクレンジング剤を使ってゆっくりマッサージをするように汚れを浮かせます。特に、乾燥肌用、敏感肌用と書かれているものに変えるとよいでしょう。40代に入ったら、しっとりと洗い上がるようなものがおすすめです。
② ブースターオイルで刺激を和らげる
加齢とともに肌が薄く過敏になり、いつもの化粧水がしみて使えなくなる方がいます。こんな時は、化粧水を使う前にオイルを使うと刺激が和らぎます。化粧水や美容液の前に使うスキンケアオイルをブースターオイルといい、水分の浸透を促して肌をやわらかくする働きがあります。
最近は世界中から、良質な植物性オイルを手に入れることができます。お好みのオイルを使えば良いと思いますが、椿油、コメ油、茶実油など、日本産のものにも保護する力の強いよいものがあります。
③ 化粧水の後にオイルを使う
洗顔→ブースターオイル→化粧水の後には、美容液としての植物オイルが役立ちます。植物オイルには、スキンケア効果のある栄養素がたくさん含まれていますし、少なくなった皮脂の分泌を補い、保湿にも役立ちます。40〜50代には、野生バラの実の種を低温圧搾で絞ったローズヒップオイルやカレンドラやアルニカなど植物をオイルに漬け込んだ浸出油などがおすすめです。
④ クリームは省かない。思ったよりたっぷりと塗る
40〜50代は、クリームを省かないことが大事。クリームは肌の保湿と保護、肌荒れ防止に役立ちます。自分が気持ちよく使えるものを選んで、首までたっぷりと塗ってください。1回の使用は、ティースプーン半分くらいです。
⑤ 合わない化粧品は使わないこと!
「今まで使っていた化粧品が合わなくなった」というのは、自分の肌が変わってしまったから。40〜50代は、とにかく乾燥しやすく、肌が過敏になります。合わないものを使い続けることは肌の炎症につながり、肌を老化させてしまいます。少しでも肌の状態が良くないと感じたら、諦めて、今の肌に合う化粧品に切り替えて!
⑥ ボディクリームを新習慣に!
この時期の女性にとって忘れてならないのが、ボディクリームです。女性ホルモンが減少することで、顔だけでなく、全身の潤いがなくなります。入浴後にボディクリームを使うことを習慣に。肌表面にクリームでバリアを張っていれば、荒れやかゆみなどを予防できます。
40代50代のメイクアップの鉄則は
・肌の乾燥させずうるおいを守ること
・疲れてみえる、さみしく見えるお顔を元気に見せること!
「年々、お化粧する気にならなくなって……」という方がいます。メイクする一番の理由はセルフラブ。自分を愛することです。
頬や唇に紅をさしてあげる。肌を滑らかに整えてあげる。くすんで見え始めた自分を放らないで、手をかけてあげてみませんか? あなたの「ご機嫌」をメイクが守ります。
① ファンデーションは必須
加齢とともにくすんでくる顔色に、ファンデーションは欠かせません。ファンデーションは美容の大敵である紫外線から肌を守りますし、スキンケア効果も絶大。ファンデーションを塗ることで、肌を乾燥や肌荒れ、老化から守り、ツヤを出して、シミもカバーできます。
でも、乾燥してノリが悪くなった40〜50代の肌には、薄づきでもカバー力があり、汗をかいてもよれていかず、ツヤが出るタイプのリキッドタイプやクリームタイプがおすすめ。そして、耳や首の色に合わせてファンデーションの色も選び直しましょう。
ファンデーションや色物には、「ミネラルメイク」というジャンルがあります。自然界の酸化鉄や酸化亜鉛などで色を作り、自然成分で製品を作っています。肌が渇き、荒れやすい40〜50代に、発色も美しく、肌に優しいものとしておすすめします。
② 眉毛を描いて元気さを加える
40代〜50代になると眉毛は急激に薄くなり、生えてきませんので、抜いたり、細くしてはNGです。顔の印象は眉ひとつで変わるもの。眉毛はまさに生命力、若さ、元気の証です。
眉毛を描くときは、まずはふさふさしたブラシで、パウダーを使って太めに描きます。次にアイブロウペンシルで、眉尻を描いてください。自然だからとそのままにせず、必ず手を入れて描いてあげてください。
③ マスカラで表情を明るくする
目元を明るくして見せるのはマスカラ。マスカラはまつ毛に悪いと思っている方がいらっしゃいますが、最近のマスカラには保湿効果や美容効果が期待できるものもあります。
おすすめはフィルムタイプのマスカラ。フィルムタイプは、つけている間は落ちにくいのですが、落とすのは簡単。濡らしたコットンを瞼の上に置くだけで、10秒もたたないうちにふやけてスルリと落ちてしまいます。
これからは、まつ毛美容液やマスカラを習慣にするといいでしょう。
④ 唇はリップと口紅で保湿を
40〜50代は唇も乾き、乾燥がひどくなると縦にシワが入り割れてきます。それを放置すると出血し、色素沈着やシミの原因にもなりますから、ポケットにリップや口紅を持ち歩き、落ちたら塗る・はげたら塗るを習慣にして、常に保湿をしてあげましょう。
リップや口紅も肌にあうものを選ぶことが大事。唇がうるおっていると元気に見えるものです。唇に紅をさしてあげれば、顔色も気分もパッと華やぐはずです。
インナービューティーに漢方を活用する!
漢方は、日本の中で育ってきた日本の伝統医療です。40〜50代という心身ともにバランスを崩しやすい時期に、それぞれの体質、気質に寄り添い、症状を和らげてくれる漢方をぜひとも取り入れて欲しいものです。
有名な女性のための漢方や、40〜50代の体に寄り添った漢方を挙げてみました。これに限らず、皆様もご自分にあったものを薬店やドラッグストアで探してみてください。
<女性のための漢方>
加味逍遙散:あれやこれやと訴えが多い更年期によく使われる漢方薬で、更年期対策としてよく使われます。気の巡りが悪い、イライラやうつっぽいなど神経症状が多い人に。
当帰芍薬散:比較的体力がない人の血の巡り、気の巡りが悪いと表現されますが、冷えてむくんだり、頭痛がでやすい人、元気がない人によく使われます。
桂枝茯苓丸:がっちりと体力がある人の、のぼせやホットフラッシュ、肩こりなど、力が入ってしまうような人によく使われます。
<知っていると便利な漢方>
半夏厚朴湯:喉や胸の詰まりに使われ、ストレスや不安感を和らげてくれます。日中にいろいろあって頭にきたり、リラックスできず、眠れないなという時に使います。
芍薬甘草湯:こむらがえりや生理痛など筋肉の収縮による痛みに効果があります。寝ている間に足がつりそうだなという時、長く正座をしなくてはいけない時に。即効性があります。
アロマで行うメンタルケアは想像以上に素晴らしい!
40代、50代をご機嫌に過ごす方法の一つに、アロマテラピーがあります。人にとってメンタルはとても大事です。「心身一如」とは言うけれど、心が健やかでストレスを感じずにいることができれば、大きな病気を防げることもあるはずです。女性の変化の時期だからこそ、精油(アロマオイル)は、そのメンタルにとても良い効果を与えます。
精油は、とにかく香りを鼻で嗅ぐことが一番大事。まずはリビングや寝室に置いたディフューザーで香りを拡散させてください。
手頃な値段で買えるものを5つほどご紹介します。
【吉川千明さんのおすすめ5精油】 ※ディフューザーでお使いください。
1)ラベンダー:ラベンダーはリラックス作用があり、万能精油として、どんな時でも調整してくれます。夜寝る前に使うと、ゆっくりよい眠りに誘ってくれます。
2)クラリセージ:ヨーロッパの女性にとっては、とても身近な精油でなくてはならないものです。もっと日本の女性たちにも知って欲しい精油。深く気持ちを緩めてくれ、緊張から自分を解放できない時に使うといいでしょう。
3)ゼラニウム:嗅ぐだけで更年期症状を改善したというデータが出ています*。清々しい香りでリフレッシュしたい時にもおすすめです。
*https://www.aromakankyo.or.jp/pdf/news/939/20181018_geranium_menopause_web.pdf
4)ベルガモット:ビターオレンジの皮から摂る精油です。リラックスしたい、眠りたい時に。それだけで香水のような柑橘系のエレガントな香りです。
5)ユーカリ:ほとんどの精油は抗菌作用をもっていて、ユーカリはその代表。とてもすっきりさせてくれる香りです。風邪予防や鼻の通りが悪く気分が重い時に使いますが、お部屋を香りでお掃除しているよう。持っていると便利です。
最後に、誰でもできるお風呂での使い方をご紹介します。
<超簡単、浴室アロマ>
家族みんながいるところでは使えない時に、お風呂で、しかも湯船に入れないで使う方法です。
お風呂の桶にお湯をいっぱい汲み、その中に精油を4、5滴垂らして、浴室の隅に置きます。立ち上る湯気とともに精油の香りが浴室いっぱいに広がります。簡単で便利な入浴法です。
私たち女性が美しく、元気に、いつまでも健康でいることは、家族や職場も明るくする基本。
みんなで「ご機嫌」に過ごしたいものですね。
吉川千明
美容家、オーガニックスペシャリスト。認定メノポーズ(更年期)カウンセラー 「更年期からのヘルスケア」主宰。