胃腸の不調とめまいの意外な関係|胃腸が弱くめまいがある方におすすめの漢方薬とは

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胃腸が弱ると、めまいが起りやすい!?胃腸が弱くめまいがある方におすすめの漢方薬とは

目次

ひとくちに「めまい」と言っても、グルグル回転するようなめまいや、フワフワと宙に浮くようなめまい、貧血やふらつきのようにフラフラ揺れるようなめまいなど、さまざまなタイプがあります。
漢方処方において、めまいは「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の異常が関係していると考えていて、どの異常が関係しているかによって症状も変わってくると考えられています。

今回はその中でも、「水」の異常によるめまいについて、その背景に隠れている原因とおすすめの対処法、おすすめの漢方薬についてご紹介します。

「胃腸の弱さ」と「めまい」は関係している!?

めまいの中でも特に注目されているのが「水」の異常によるめまいです。

グルグル回るような症状が激しく起こるようなめまいは、漢方において、その大部分が「水」の異常によるものだと考えられています。全身の水の巡りが悪くなり、カラダのあちこちに余分な水分が溜まり、浮腫ができる状態を、水が停滞しているという意味で、漢方においては「水滞(すいたい)」と呼んでいます。

回転性のめまいは、この水滞が原因で起こりやすいと言われていて、西洋医学の代表的なめまいであるメニエール病は、内耳のリンパが増え、内耳がむくんでいる状態。つまり漢方では水滞が原因で起こる病気のひとつと考えられています。

じつはこの「水滞」の原因に「胃腸の弱さ」が関係していることがよくあります。

漢方において、胃腸は全身の水の巡りに深く関わっていると考えられています。
胃腸など消化器系全般のことを漢方では「脾(ひ)」と呼んでいますが、昔から“脾は運化を主る(ひはうんかをつかさどる)”と言われ、飲食物を消化・吸収し、その栄養分や水分を全身に運搬、さらに排泄する重要な役割を果たしていると考えられてきました。
脾が弱ると、消化・吸収がうまくいかなくなり消化器系のトラブルが起こりやすくなるだけでなく、全身の水の巡りや排泄が滞り、カラダのあちこちで余分な水が溜まりやすくなる、いわゆる水滞の状態になると考えられているのです。
一般的に「めまい」と「胃腸の弱さ」は結び付きにくく、見逃されがちです。そのため、めまいもなかなか改善しないというケースが少なくありません

胃腸を強くすることがめまいの改善への近道?

めまいのように辛い症状の場合、症状を軽減することだけに目が行きがちですが、今回のめまいの背景に胃腸の弱さがあるケースのようにカラダの体質に根本原因がある場合、そこを改善しなければ、たとえ症状が落ち着いたとしても本当の意味で“治った”ことにはなりません。もし症状が一時的に無くなっても、症状が再発する可能性は十分に考えられます。

漢方では、めまいの背景に胃腸の弱さがある場合、水の巡りを整え、めまいの症状を緩和するだけでなく、同時に原因である胃腸を強化することも忘れません。急性な症状に対応したのち、症状が落ち着いた段階で原因となっている治療を行うことが重要です。急がば回れ。結果として回り道が本当の改善の近道になることも多いのです。

胃腸を強化、めまいを改善する「半夏白朮天麻湯」

今回のような、胃腸の弱さからくる水滞が原因のめまいに使われることが多い漢方薬は「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」です。
半夏白朮天麻湯には半夏、白朮、天麻の他に、人参(朝鮮人参)、茯苓、沢瀉、黄耆、陳皮などの13種類の生薬が配合されています。

“漢方のめまい止め”と呼ばれる処方で、全身の水の巡りを整える作用や、胃腸を強くする作用や消化を促進する作用などにより、水滞の改善と同時に胃腸の機能を高めることで、つらいめまいを改善します。半夏白朮天麻湯は、普段から胃腸が弱く、体力が低下し、脚の冷えを感じることが多く、めまいを訴えることも多い方の症状改善に用いられてきました。
めまいや立ちくらみだけでなく、頭痛や頭重感なども同時に改善してくれるので、このような症状でお悩みの方にも試して頂きたい漢方薬です。

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めまいがどのくらい続いたら病院に行くべき?

めまいは、さまざまな病気や症状の一部として現れることがあります。特に、めまいが数時間から数日間続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。

めまいが続く場合、脳の異常や血液循環の問題など重大な病気が潜んでいることがあります。例えば、脳卒中や脳腫瘍などが原因の場合、頭痛や意識障害、手足の動きや感覚の異常が伴うことがあります。これらの症状がある場合は、緊急の医療対応が求められます。

また、めまいに加えて嘔吐や吐き気、強い頭痛がある場合や、意識がぼんやりする場合も注意が必要です。立ち上がった時や動き始めた時にめまいが悪化する場合も、医師の診察を受けるべきです。

必要な受診のタイミングを見極めるために、次のポイントをチェックしましょう:

・めまいが数時間以上続く
・頭痛や首の痛みを伴う
・手足の動きに異常がある
・半身の感覚がおかしい
・物が二重に見える
・意識が混濁する
・吐き気や嘔吐が続く

これらの症状がある場合は、速やかに病院を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

腸とめまいには関係がある?

腸の健康が、めまいに関連する場合があります。腸内環境の乱れはカラダ全体に影響を及ぼし、めまいの原因になることがあります。特に便秘が続いている場合、カラダに不要な物が蓄積し、ストレスや神経の乱れを引き起こす可能性があります。また、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、血流や神経に悪影響を及ぼし、めまいを生じることがあります。

腸内環境を整えるためには食物繊維を豊富に含む食物を摂取し、適切な量の水分を摂ることが重要です。食生活の乱れや肉中心で野菜の少ない食事は、腸内環境を悪化させる原因となるため、バランスの取れた食事を心掛けることが必要です。人間の健康は腸内環境に大きく依存するため、適切な食生活を維持することが大切です。

また、ストレスが腸の働きを低下させることも知られています。適度な運動やリラクゼーション法を取り入れることは、ストレスを軽減し、腸内環境の改善が期待できる行動です。腸内環境を整えることは、めまいの改善にも繋がるため、日常生活の中で意識的に腸の健康を保つことが大切です。人間の体内の血管は腸内環境の影響を受けやすく、血流の改善がカラダ全体の健康につながっていきます。

このように、腸とめまいには関係があり、腸内環境を整えることがめまいの予防や改善に役立つ場合があります。腸内環境を整えても、めまいが続いている場合は、医師に相談することをおすすめします。

胃腸を弱らせないために心掛けたい10のこと

胃腸を弱らせる要因は生活の中にたくさんあります。めまいを防ぐためには、普段から胃腸を弱らせないように気をつけることも大切です。そこで今回は日常生活の中で心掛けていただきたい10のことをご紹介します。

1.ストレスに注意する

ストレス性胃炎のように、ストレスは胃腸の健康を乱す大きな要因になります。小まめにストレス発散することを意識して、ストレスが蓄積されないように気を付けましょう。また、間違ってもストレス発散で暴飲暴食するなどということのないよう注意しましょう。

2.手足をしっかり動かす

四肢を動かすことで代謝があがり、胃腸の活動も活性化されやすいと考えられます。そのため、腕や脚をしっかり動かすことで胃腸に刺激が伝わり、胃腸の蠕動運動が活性化すると考えられています。

3.水分の摂りすぎに注意する

漢方において「脾は湿を嫌う」と言われ、胃腸は湿気に弱いと考えられています。水分の過剰摂取は水滞の原因になるだけでなく、胃腸の弱さにも影響します。

4.湿気の多い環境に注意する

水分の過剰摂取と同様、湿気の多い環境も胃腸に余分な水分が溜まりやすく、胃腸を弱める原因になります。

5.甘いものの摂りすぎに注意する

漢方において、甘いものはカラダに湿気を溜めやすいと言われています。お菓子やジュース、果物など甘いものの摂りすぎには注意しましょう。

6.油の多いものの摂りすぎに注意する

漢方において、油の多い食事はカラダに湿気を溜めやすいと言われています。意外なところでは、ナッツ類も油分が多いので食べすぎには注意が必要です。

7.辛いものの摂りすぎに注意する

辛いものなど刺激物は胃腸を弱らせる原因になります。胃腸に刺激の少ないやさしい味が理想です。

8.たんぱく質の摂りすぎに注意する

たんぱく質は、体力や免疫力を維持するために非常に重要な栄養素です。そのため、毎日の摂取が必要不可欠ですが、たんぱく質の消化には時間がかかるため、食べ過ぎると胃腸に負担がかかります。毎食、適量のたんぱく質と他の栄養素を総合的に摂取するよう心掛けましょう。また、消化されやすく調理したり、よく噛んで食べることで、胃腸への負担をなるべく軽減するよう工夫することも大切です。

9.消化をサポートする食材を上手に使う

消化を助ける食材を料理にプラスして、消化による胃腸の負担を軽減しましょう。大根や山芋、キャベツなど消化酵素の多い食材がおすすめです。

10.芋類・豆類を上手に摂り入れる

漢方においては、芋類や豆類は胃腸を元気にする働きがあると言われています。胃腸が弱っていて消化に負担を感じる場合は、すりつぶしてポタージュにするなど工夫するとよいでしょう。

いかがでしたか?

まずはご自身のカラダと向き合って、根本原因からじっくり改善していきましょう。
専門家の指導の下、しっかり改善したいという方は、漢方に精通した専門家に相談してみるとよいでしょう。

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