目次
- なぜ「冷えは万病のもと」と言われるの?
- タイプ別「冷え性」の原因と改善ポイントとは?
- 自分の体質に合った漢方薬を取り入れて、冷え性を改善しよう!
- ライフスタイルは「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」を心がけて。
「冷え」と聞くと、寒さを感じる秋から冬にかけての不調だというイメージがありませんか。ただ実際には、冷えは年中起こる可能性がある不調の代表格。エアコンからの冷たい風や薄着、食生活などのライフスタイルが原因で、冷えを感じる方が増えています。また、自覚症状がある方からない方まで感覚もさまざま。全身が冷えるタイプや、カラダの一部が冷えるタイプなど、冷える部位も人によって異なります。そこで今回は、そんな誰にでも起こり得る「冷え性」を漢方の視点から解説しましょう。
なぜ「冷えは万病のもと」と言われるの?
近年、年齢や性別を問わず問題となっているのが「低体温化」です。平熱が下がってくるとカラダがより冷えやすくなり、体調にも少なからず影響をもたらします。慢性的な冷えが続くと、免疫力が下がって風邪をひきやすくなったり、肌あれやむくみを引き起こしたり、月経トラブルや便秘などのお腹のトラブルに悩まされたりすることも。
漢方では冷え性が、「気」や「血」の巡りを滞らせ、カラダ全体のバランスを崩すことにより、“万病のもと”になると考えます。
タイプ別「冷え性」の原因と改善ポイントとは?
冷える部位や体質によって、ケアの方法は変わってきます。そのため、まずはご自身の「冷えタイプ」を見つけましょう。
●ほてりも下半身の冷えもある「のぼせ冷え」
上半身は汗をかきやすかったり、ほてったりするのに、下半身は冷えている。そんなタイプは、更年期や自律神経の乱れが原因のひとつとして考えられます。溜まったストレスの解消を心がけ、リラックスできる時間を作りましょう。
●手足のみが冷える「末端冷え性」
カラダの栄養のもととなる「血」が不足していたり、巡りが悪くなっていたりするタイプ。気温が下がってくると、手足が冷たくなる傾向があります。日頃からカラダを温める習慣を意識したり、軽めの運動を取り入れたりしましょう。
●全身が冷える「エネルギー不足」
カラダを温める「気」が不足している可能性があります。中には胃腸が弱っている方も。タンパク質やミネラルが豊富な食事をしっかりと食べ、栄養補給を心がけましょう。過度なダイエットは気を消耗するので控えることをおすすめします。
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自分の体質に合った漢方薬を取り入れて、冷え性を改善しよう!
漢方薬の中にも、冷え性の改善に効果が期待できるものがあります。冷えを感じる部位やご自身の体質に合った漢方薬を選んで、悩める冷え性の改善に役立てましょう。
のぼせと下半身の冷えが両方あるあなたへ
■加味逍遥散(かみしょうようさん)
更年期や月経トラブル、自律神経の不調にも使われる漢方薬。疲れやすいタイプの冷え性などに使われます。女性と関係の深い当帰や芍薬、白朮、茯苓、柴胡、牡丹皮、山梔子、甘草、日本人に馴染みのある薄荷や生姜といった10種類の生薬を配合。婦人科系の不調をケアする漢方薬としても知られています。
手足が冷える末端冷え性に悩むあなたへ
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
カラダを温めることで熱を作り出す働きを手助けする漢方薬。冷えによる頭痛や腰痛といった痛みなども改善する効果が期待できます。古くから香辛料としても重宝されてきた桂皮や当帰、芍薬、木通、細辛、甘草、呉茱萸、生姜、別名「ナツメ」とも呼ばれる大棗など9種類の生薬を配合。手足の末端冷え性に効果をもたらします。
手足が冷えるエネルギー不足なあなたへ
■人参養栄湯(にんじんようえいとう)
体力が低下し、疲れや食欲不振を感じている方におすすめの漢方薬。消化器の働きを高め、「気」や「血」といった必要な栄養をカラダのすみずみまで行き渡らせることによって、冷えを改善します。生薬の代表格でもある人参や当帰、地黄、白朮、茯苓、芍薬、陳皮、遠志、黄耆、桂皮、五味子、甘草といった12種類の生薬を配合。エネルギー不足による手足の冷えに働きかけます。
ライフスタイルは「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」を心がけて。
漢方の視点から考える理想のカラダは、下半身が温まっていて、頭がすっきりと冷えている「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」の状態だといわれています。逆に心配なのは、頭はカーっと熱を帯びているのに、下半身は冷えている状態。下半身をよく温め、カラダの上部に血液をスムーズに送り出せる、本来の状態を取り戻すライフスタイルを心がけましょう。
●カラダを温める食材を食べる
食べ物がカラダに対してどう働くかという「食性」に着目してみましょう。カラダを温める「熱性」や「温性」の食べ物は、冷え性におすすめの食材といえます。たとえば、ショウガやネギ、ニラ、にんにく、鶏肉、 かぼちゃなど。冬が旬の食材の中にも、熱性や温性の食材が多い傾向があります。
●軽めの運動をする
ウォーキングやヨガなど、深い呼吸をしながら軽くカラダを動かす運動は、血流を促し、カラダを適度に温めます。ちなみに、ハードなスポーツは気を消耗しすぎることがあるので、疲れやすい方は控えましょう。
●入浴
入浴には「カラダを洗う」というだけでなく、湯船に浸かることで全身に水圧をかけ、温めながら血の巡りを促すという大切な役割があります。ヘルスケアのひとつとして、入浴も上手に役立てられると良いですね。入浴の際は、熱くしすぎない温度設定がおすすめです。