目次
- 太極拳とはどんなもの?
- 太極拳にはどんな効果があるの?
- 太極拳を行うにあたってのポイント
- まずは準備運動!「八段錦(はちだんにしき)」
- おすすめの太極拳ポーズ 3選
- 太極拳と併せて意識したい漢方薬
- 太極拳を日常に取り入れよう
健康のために何かカラダを動かすことをしたいけれども、何がいいのかよく分からない。ハードなものは苦手だし…。そんな方には太極拳がおすすめです。老若男女どなたでもできるのに、カラダやココロを整える知恵がたくさんつまった動きになっているのが太極拳なのです。今回は太極拳がどのようなものなのか、またすぐに取り組める簡単なポーズや併せて取り入れるとよい漢方薬をご紹介します。
太極拳とはどんなもの?
太極拳は古代中国で護身術として生まれたものが始まりとされています。その後武道家の間に伝えられていた武術から、健康や精神修養に重点を置いた誰でも習得できる太極拳へと改良されていきます。
そして、いくつかの流派に分かれていた太極拳を1956年に中国政府が更に整理し統合したものが、今広く行われている二十四式太極拳(簡化太極拳)です。日本では1970年頃に楊名時が紹介し、その後健康法としての太極拳が徐々に広まっていきました。世界でもアメリカやオーストラリアを始め、多くの国々で「TAICHI(タイチ)」の名で親しまれています。
太極拳にはどんな効果があるの?
古代中国で生まれた太極拳には、その考えの基本に陰陽などの東洋思想や経絡やツボといった東洋医学体系が組み込まれています。そもそも太極拳の「太極」とは、万物の源という意味で、ここから陰陽が生じるとされます。
自然もその一部である人間も陰陽の調和をはかることで健康が保たれると考えるのです。太極拳の動きは陰陽の調和をはかるとともに、生命エネルギーである「気」の通り道の経絡やその経絡上にあるツボを刺激して活性化させるものになっています。
全身に気を巡らせることで自然治癒力を高めたり、血液やリンパの流れをよくして新陳代謝をアップさせたりする効果も期待できます。また、深い呼吸により自律神経のバランスを整え、ざわついたココロをリラックスに導きます。動きの中に静けさを求めて動く太極拳は、「動く禅」とも言われています。
太極拳を行うにあたってのポイント
太極拳はカラダを動かすだけの体操とは異なるため、いくつか、心がけたいポイントがあります。
1.焦らずゆったりとした気持ちで
いざ太極拳を始めてみると、ついカラダの動きにばかり意識がいってしまいますが、ココロの持ち方も大切です。自然に流れる水のように、ゆったりとした気持ちで行いましょう。早く覚えようとか上手になろうなどと焦る必要はありません。自分の体調に合わせて一つ一つ丁寧に行いましょう。
2.腹式呼吸でゆっくりと
太極拳は深く長くゆっくりとした腹式呼吸で行います。鼻から息を吸いながらゆっくりとお腹をふくらませ、次に鼻から息を吐きながらゆっくりとお腹をへこませます。息は7~9秒ほどで吸ってその倍ぐらいの時間をかけて吐き出すのが理想ですが、最初は難しいので少しずつこれに近づけていきましょう。
吸うときに足裏から大地のエネルギーである「気」を吸い取り下腹にある「丹田(たんでん)」に集めて全身に巡らせ、吐くときは全身を巡った気を足裏から大地に戻すようなイメージで行うとなおよいでしょう。
3.力を入れずしなやかに動く
太極拳は、、無駄な力を入れず呼吸に合わせてカラダをゆっくりと動かすのが基本です。筋肉や関節の力を抜いて、腰と背骨を中心にして動きます。途中で速さが変わると気が乱れてしまうので、始めから終わりまで手足もゆっくり動かしましょう。
まずは準備運動!「八段錦(はちだんにしき)」
八段錦とは、800年ほど前から中国の人々の間に伝わる8種類の健康体操です。健康や美容法に熱心だった西太后も取り入れていたという八段錦は、簡単ながらカラダをバランスよく動かし、それぞれの動きに効能があると言われています。 太極拳を行う前の準備運動や終わった後の整理運動に行うのがよいでしょう。ここでは2つの動きをご紹介します。
1.第三段錦(調理脾胃須単挙)
◆胃腸の活性化、イライラや不安、不眠などに
- 1)足をそろえて立った状態から、肩幅に開いて膝を少しゆるめる
- 2)息を吸いながら両手を前に出し、手の平を上に向けゆっくり肩辺りまで上げる
- 3)息を吐きながら手の平を下に向け、みぞおちの辺りまで手を下げる
- 4)息を吸いながら左手の平を上に向け天を押し上げるように上へ、右手の平を下に向け大地を押し下げるように下に動かす
- 5)息を吐きながら左手を下におろす
- 6)2に戻り、4、5の左右の手を反対にして行う
- 7)両足をそろえた状態に戻す
2.第六段錦(両手攀足固腎腰)
◆腰痛や関節痛、便秘、生理痛、ウエストやヒップなどのシェイプアップに
- 1)足をそろえて立った状態から、肩幅に開いて膝を少しゆるめる
- 2)息を吸いながら両手を前に出し、手の平を下に向けて肩の高さまで上げる
- 3)息を吐きながら、そのまま両手を腰の脇まで下げる
- 4)息を吸いながら手首を曲げて両手の平を立て、そのまま頭の上まで上げる
- 5)頭の上まで上げたら、吸いながら天を押し出すように右手を伸ばし、吐きながら左手を伸ばす
- 6)カラダ全体を伸ばしながら、左右の手を交互に5~6回行う
- 7)息を吸いながら両手の平を上に向けて、かかとが浮かないようにしながら伸びをする
- 8)両手を伸ばしたまま、腰を中心にして上半身を右から左へゆっくり大きく3回、回す(下に回すときに息を吐き、上に回すときに吸う)
- 9)8と同じ動きを左から右へ3回行う
- 10)7と同じように息を吸いながら両手の平を上に向けてカラダを伸ばし、少し間をとる
- 11)息を吐きながら、手を伸ばしたままカラダを腰から前に倒し、床に手をつける
- 12)両手で足首をつかみ、自然な呼吸で十数秒ほど姿勢を保つ
- 13)息を吸いながらカラダを起こす
- 14)両足をそろえた状態に戻す
おすすめの太極拳ポーズ 3選
ご紹介する二十四式太極拳は名前の通り24通りの動きがあります。9式までの前半はゆるやかな動き、10式以降は足腰をよく使うものとなっています。 本来は24式すべてを通して行うのがよいのですが、八段錦と同じようにそれぞれの動きに効能がありますので、ここでは3つのポーズをピックアップしてご紹介します。興味が出てきたら24式通してチャレンジしてみましょう。
1.5式(手揮琵琶)両手で琵琶を抱えるような動き
◆全身の疲れや胃の疲れ、頭痛や不安感に
- 1)自然に立った状態から左足を一歩前に出し、右手は肩の高さ左手は太ももの脇に置いて両手首を立てる
- 2)右足のかかとを上げ、左足のかかとの方へ半歩寄せる
- 3)息を吸いながら右足に重心を移し、左足を少し前に出してつま先を床に着ける
- 4)左足をつま先からかかとに着けかえ、上半身を右へ回しながら左手を右肘の横へ上げる
- 5)息を吐きながら上半身を左へ戻し、左手を鼻の高さまで上げる
- 6)膝を軽く曲げて腰を落としながら右手を腰の高さに下ろし、両手の平を内側に向け琵琶を抱えたような形にする
- 7)両手をほどいて脇に垂らし、両足を肩幅に開いた自然な状態に戻す
2.13式(右蹬脚)右足を蹴り出す動き
◆肩や背中の痛み、ストレスに
- 1)自然に立った状態から左足を曲げて膝を上げ、両肘を少し曲げながら手を顔の辺りまで上げる
- 2)息を吐きながら左足を斜め前に下ろす
- 3)重心を左足に移しながら、円を描くように両手を左右に広げ腰の辺りまで下ろす
- 4)息を吸いながら右足を左足に寄せつつ膝を上げて片足立ちになる/両手は右手を外側にして胸の前で交差させる
- 5)息を吐きながら両手を左右に広げ、右足をかかとから前へ蹴り上げる
- 6)右手は右足と同じ線上へ持っていき、左手は自然に開いた状態にする
- 7)両手をほどいて脇に垂らし、両足を肩幅に開いた自然な状態に戻す
3.22式(如封似閉)相手を封じる動き
◆胸の痛みや動悸、肩や腕の痛みに
- 1)自然に立った状態から左足を大きく前に出し、右手はこぶしを握って肩の高さまで突き出して左手を右肘の内側に添える/重心は左足に置く
- 2)息を吐きながら左手の平を上に向け、そのまま右肘を払うようにしながら前に出す/右こぶしは開いて手の平を上に向ける
- 3)息を吸いながら左足のつま先を上げて重心を右足に移し、両手を胸元に引き寄せる
- 4)両手の平を前に向け、両膝を少し曲げながら腰を落とす
- 5)息を吐きながら左足のつま先を下ろして重心を移し、両手を前方へ押し出す
- 6)両手をほどいて脇に垂らし、両足を肩幅に開いた自然な状態に戻す
太極拳と併せて意識したい漢方薬
太極拳は、カラダやココロにとって大切な「気」や「血(けつ)」の流れをよくし、健康の助けとなってくれます。
同じく「気」や「血」の質を高め、流れをよくしてくれる漢方薬は、カラダの内側から働きかけてくれるため、併せて取るとより効果的です。
比較的体力のある方で、生理痛など月経の不調、更年期による冷えやのぼせ、肩こりや頭重感に。ホルモンバランスの崩れによるめまいや不安感にも。
何らかの原因で下腹部の血流が悪くなると、それにともなってカラダを温める作用のある「気」の巡りや「水」の流れも滞って、さまざまな不調が現れてきます。
この漢方薬は滞った「血」の流れをよくしてくれるほか、カラダを温め、現れている症状を改善に導きます。
体力虚弱で、冷え症で貧血傾向があり疲れやすい方で、生理痛など月経の不調、更年期や産前産後の不調、足腰の冷えやむくみなどに。
ストレスを感じると「肝」と呼ばれる器官の働きが悪くなり、次第にカラダのエネルギーである「気」や「血」をつくる消化器の働きにも影響が出てきます。それにともない「気」「血」が不足したり流れが悪くなったり、水の代謝もうまくいかずにむくみが生じたりします。
この漢方薬は「肝」や消化器の働きを助け「気」「血」の産生を高めてくれます。また「気」の巡りや「血」「水」の流れをよくすることで、現れている症状を改善に導きます。
太極拳を日常に取り入れよう
太極拳は毎日時間を取って行うのが理想ではありますが、まずは肩ひじ張らずに気長に続けてみましょう。仕事や家事の合間に1ポーズでも大丈夫です。ただその際は、何となく行うのではなくカラダや気の流れに意識を向け、丁寧に行いましょう。少しずつでも日々続けることで、次第にカラダやココロに変化が感じられてきます。
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