目次
- 多くなっている熱中症
- 熱中症はなぜ起こる?
- 熱中症など余分な熱で起こるカラダのトラブル
- 熱中症予防にも!簡単!カラダの熱チェック法
- 熱中症に強いカラダとは?
- 熱中症予防に効果!ちゃんと汗をかけるカラダにしよう!
- 熱中症対策におすすめのクールダウン食材
近年、猛暑と言われる夏が多くなり、熱中症になる方が多くなってきています。熱中症が起きるのは炎天下の中、長時間いるときだけではありません。その他に、カラダがまだ暑さに慣れていない梅雨入り前の“急に暑くなる日”や、久しぶりに暑い環境下で活動される方の作業の初日にも多い*1のです。冷房に慣れている私たちには過酷な夏ですね。それでは、熱中症の現状から熱中症の原因、セルフチェック法、また、簡単に取り入れられる予防対策を紹介します。
*1熱中症を防ぐためにはⅢ - 環境省熱中症予防情報サイト
多くなっている熱中症
特に近年問題になっているのが「熱中症」トラブル。平成 28 年の総務省の発表*2によると5月~9月の間に熱中症で救急搬送された人の数は全国でなんと5万 412 人にも上ります。高齢者や子供に多いイメージの熱中症ですが、以下のとおり、比較的体力があり元気なはずの成人が36%と高齢者に次いで2番目に多い割合でした。
自分は大丈夫、と安心していませんか?もはや誰にでも危険性のある熱中症。日頃の対策でしっかり熱中症を予防しましょう。
*2総務省HP 平成 28 年の熱中症による救急搬送状況
熱中症はなぜ起こる?
熱中症や夏バテのように暑い夏に体調を崩す原因には“カラダにこもった余分な熱”が大きく関係しています。気温の上がる夏は、灼熱の外気にさらされることでカラダが必要以上に温められやすく、体内に余分な熱がこもりやすくなります。このこもった余分な熱が原因でさまざまなカラダのトラブルが起こりやすくなるのです。
熱中症など余分な熱で起こるカラダのトラブル
カラダに余分な熱がこもっていると、実に色々なトラブルを引き起こします。以下に余分な熱が原因で起こりやすい代表的な症状をあげてみました。もし、こんな症状が出たら…あなたのカラダにも余分な熱がこもっているかもしれません。
<余分な熱で起こりやすいトラブル>
□ 顔が赤い
□ のぼせる
□ 頭がぼーっとする
□ カラダが火照る(発熱)
□ 大量の発汗(脱水)
□ のどがやたら渇いて冷たい飲み物を欲する
□ 脈拍が早い
□ めまい
□ 目の充血・目が赤く腫れて痛い
□ 尿が少ない
□ 便秘傾向
□ 不眠
□ 気持ちが落ち着かない・ハラハラする(煩躁)
□ 怒りっぽい・興奮しやすい
□ 口や舌に出来物ができる・歯茎が腫れる
熱中症予防にも!簡単!カラダの熱チェック法
トラブルを未然に防ぐためには、“あなたのカラダに余分な熱がこもっているかどうか”を症状が出る前に知ることが大切です。漢方の知恵を使えば、それを簡単に知ることができます。チェックするのは、「尿」と「舌の色」。この2つで、あなたのカラダの熱の状態を簡単に把握することができます。カラダの熱の状態は、気温や生活環境、食事などの要因によって常に変化します。あなたの今の熱の状態を知るためにも小まめにチェックしましょう。
< 尿と舌の漢方流体質チェック方法 >
余分な熱がこもっているとき | カラダが冷えているとき | |
尿 | 濃い黄色~オレンジ色 | 無色・透明 |
濃縮された尿 | 稀薄な尿 | |
量が少ない・臭いが強い | 量が多い・臭いが弱い | |
舌 | 赤色・乾燥 | 白色~淡白色・湿潤 |
尿の色
健康な尿の色は「薄い黄色」と言われています。しかし、カラダに余分な熱がこもると、その色はだんだん濃くなり「黄色やオレンジ色」に変化します。また、尿量も少なくなり、臭いも強くなる傾向にあります。尿の色が濃くなったら余分な熱がこもり始めているサインです。カラダが冷えて熱が少なくなったときはその逆で、だんだん色が薄くなり、無色透明に近づきます。尿量も増え、臭いも弱くなる傾向があります。濃い黄色やオレンジ色から薄い黄色になれば、余分な熱が抜けたサイン。もし、透明なら冷やしすぎてしまっているかもしれません。
※ただし、ビタミン剤を服用中は成分の影響で尿が濃い黄色になることがあります。
舌の色
健康な舌の色はマグロのトロのようなうすいピンク色と言われています。尿と同様にカラダに余分な熱がこもると舌の色も濃くなり赤色に近づきます。舌の色が赤くなって来たら余分な熱がこもり始めているサインです。逆にカラダが冷えて熱が少なくなると舌の色がだんだん薄くなり白色に近づきます。常に白色の舌の場合は要注意。冷えすぎているかもしれません。
熱中症に強いカラダとは?
通常、カラダに必要以上に熱がこもると、体温調節機能が察知して余分な熱をクールダウンしようと働きます。その重要な役割のひとつが“発汗”です。汗腺という名の窓を開け、汗を使って体内の余分な熱を体外へ発散します。そうすることで、体熱をコントロールし、体温の恒常性を保っているのです。しかし、この発汗が正しく働かないと、カラダに余分な熱がどんどんこもりやすくなってしまいます。最近、この“発汗の機能が正常に働かない人”、つまり、うまく汗をかけない人が増えてきているのです。その一番の原因は“汗腺の衰え”。汗腺が衰えると、うまく汗をかくことができません。
汗腺の衰えには 大きく2つの要因があります。一つ目は“汗腺の老化”です。汗腺も年齢と共に老化し衰えます。窓の開閉にチカラが要るように、汗腺を開閉し発汗するのにもチカラが必要です。高齢になり体力が落ちると、汗腺を開閉するチカラも落ち、うまく発汗できなくなります。そのため、体熱がうまくコントロールできず、カラダに余分な熱がこもりやすくなってしまうのです。高齢者に限らず、慢性疲労や虚弱体質など体力が落ちた状態も同様で、疲れたときに熱中症などのトラブルになりやすいのもそのためです。
二つ目は“汗腺のなまり”です。あなたは最近、いつ、汗をかきましたか?運動しないとカラダがなまるように、汗腺もまた使わないとなまり、機能が衰えます。空調完備の生活や運動不足などにより、近代社会では汗をかくことがとても少なくなりました。そのため汗腺を使う機会が少なくなり、汗腺がなまりやすい環境にあるのです。
ジムや岩盤浴などへ行っても「汗が出ない、汗を上手くかけない」という声を多く耳にします。これでは体熱のコントロールがままならず、熱中症を始めとする熱トラブルが起こりやすくなるのも当然です。
“汗腺のなまり”は大人だけでなく子供にも広まっています。汗腺の働きは3歳頃までの生活環境で決まると言われており、その間に汗腺をどれだけ鍛えたかによってその後の発汗力が左右されると言われています。
冷房もなくうちわや扇風機で過ごし、体を動かして汗だくになって遊びまわっていた昔に比べ、冷房完備でゲームなど室内遊びが多くあまり体を動かさなくなった現代では、乳児期だけでなく幼少期にも汗腺を使う機会が少なく、汗腺の機能が発達しづらい環境です。そのため、発汗力が弱く体をクールダウンできず、昔に比べて熱中症になりやすい傾向にあるとも言われています。
熱中症予防に効果!ちゃんと汗をかけるカラダにしよう!
あなたの汗腺は衰えていませんか?熱中症など余分な熱によるトラブルを予防するためには、汗腺を鍛えて発汗力をUPさせることが大切です。そこでおすすめしたいのが“汗活”。
汗をかくクセをつけることで定期的に汗腺を鍛え、なまけ気味の汗腺の機能を活動モードに切り換えてあげましょう。
そうすることで、汗腺が目覚め、しっかり発汗できるカラダになります。汗をかく方法は何でも構いません。お風呂なら、毎日ちゃんと湯船に入る。それも半身浴の方がおすすめです。初めは汗が少ししかでてこなくても、続けることで汗腺が活動モードとなっていくことでしょう。運動でも同じです。し始めの頃は汗がでにくくても、続けることで汗腺が活動モードとなり、だんだんと汗がでやすいカラダとなります。水分補給を行いながらあなたの無理のない範囲で定期的に続けることが大切です。
熱中症対策におすすめのクールダウン食材
汗活と同時に、毎日の食事で熱中症を始めとする熱トラブルをさらに予防しましょう。特に真夏はカラダにどんどん熱がこもりやすくなり発汗だけでは追いつかないことも。食事でアシストしてあげることでカラダの負担も少なくなります。
毎日食べている食べ物には、カラダを冷やす食べ物やカラダを温める食べ物など個性のあるものがたくさん。暑い夏はカラダを冷やす食べ物を上手に活用して、カラダに溜まった余分な熱をクールダウンしてあげましょう。カラダを冷やす食べ物を選ぶポイントは大きく2つと、とても簡単。さっそく、今日から実践しましょう。
<カラダを冷やす食べ物の選び方のポイント>
夏が旬の食べ物・南国の食べ物
夏が旬の食べ物や南国の食べ物は、冷房のなかった時代にカラダをクールダウンして暑い夏を乗り切るために代々伝わってきた、いわば天然のくすりのような存在。その多くにカラダを冷やす働きがあると言われています。トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、ズッキーニ、レタス、アスパラガスなど瑞々しい夏野菜は汗をかいた後の水分補給にもピッタリです。スイカやバナナ、キウイフルーツ、パイナップル、メロンなどのフルーツもクールダウンに最適です。
苦味のある食べ物
漢方や薬膳の世界では、“苦味のある食材”にはカラダを冷やす働きがあると考えています。苦味のある葉物野菜やゴーヤ、セロリなど、暑い夏は苦味の食べ物も積極的に食べるようにしましょう。苦味でお馴染みの青汁も真夏には最適です。
ただし、夏は熱いからといって冷やし過ぎには注意しましょう! “一日中冷房のついた部屋で過ごしている”“冷たいものをよく食べる”なんて人は、逆にカラダが冷えてしまっている可能性も。暑い夏なのに冷えを感じたり、胃腸が冷えて食欲不振や下痢、腹痛に悩まされている人も少なくありません。
中国では「冬に大根、夏ショウガ、病気知らずで医者要らず」といって冬にはカラダを冷ます大根を、夏にはカラダを温める生姜を…という一見真逆に思われることわざまであるくらいです。冷やし過ぎてしまったら、“カラダを冷やす食べ物は控える”“カラダを温める生姜やコショウをプラスする”など工夫しましょう。
熱中症対策は、まず、熱中症を予防できるカラダ作り。そして、必ず、小まめに尿と舌の色をチェックして、カラダの熱の状態を確認をし、あなたにとって最適な体熱にコントロールしましょう。
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