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「フェムテック」が注目を浴びています。それは、女性ならではの健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品・サービスのこと。フェムテック起業家として、特に「更年期の悩み」と向き合っている高本玲代さんに、近年の更年期世代の悩みをお聞きしました。
女性ならではの不調を解決するためのフェムテック
近年話題の「フェムテック」とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性の一生に現れる健康課題を製品やサービスなどで解決しようというものです。
女性の一生は女性ホルモンに左右され、月経が始まる時期、妊娠・出産の時期、産後、更年期など、その年齢によって体の働きや健康の悩みが異なります。漢方でも、女性の体は7年ごとに変わっていくとされています。14歳ごろに月経がはじまり、28歳、35歳、42歳……と、イライラしたり、気や血の巡りが悪くなったり、さまざまな不調が現れだします。
理解されにくい更年期の体調不良
更年期というのは、閉経の時期をはさんで、前後約5年ごとの10年間ほどを指します。閉経は、一般的には45歳〜55歳ぐらい。それは昔も今もほとんど変わらないそうです。
比較的若い方のお悩みは、「月経がなかなか来ない」とか「更年期症状っぽい不調があるけれど、これは更年期障害なのかどうか」など。病院で診てもらえば、それらが更年期による症状かどうかがわかりますが、病院探しも女性たちの悩むところ。「どういうふうに病院を見つけたらいいか」、「医師とどういうふうに話をしたらいいか」といった相談を受けることが多いそうです。
更年期障害の問題は、その症状による体のつらさはもちろんのこと、職場や家庭でなかなか理解してもらえないところにあります。実際「甘えている」というように受けとられて、職場に居づらくなったという人もたくさんいます。
そんな時、『よりそる』のような場所で相談にのってもらったり、同じ悩みを抱える女性たちによるコミュニティで悩みを語り合ったりすることで、自分だけではないのだと安心したり、解決策を教えあったりすることもできます。
なにしろ月経や女性の体についての具体的な話は、人にはなかなか話せない内容。しかも症状や重さ、軽さ、そして期間も人それぞれなので、重い更年期障害を経験していない人や、男性に話しても理解してもらいづらいことなのです。
しかし、最近では『よりそる』をはじめ更年期の悩みに対応したアプリやサイト、個別の体調不良のためのサプリメントや漢方薬もあります。また、更年期のゆらぐ肌質に合わせた化粧品やホットフラッシュ対策商品、骨盤底筋を活性化させる商品など、フェムテック商品がさまざま登場していますので、自分に合った情報をキャッチすると良いでしょう。
更年期を迎えた後の人生が長くなった現代
更年期の時期が早まっているかというと、それはないと高本さんは言います。『よりそる』で戦前の新聞の記録を調べたところ、閉経の平均年齢は、戦前も今も約50歳ということです。
ただ、寿命の長さが変わったことから、現代の人は閉経してからの人生が長いことになります。
そのため、閉経後も責任のある立場を持ち続ける必要があります。子育て中の人もいれば、会社で高い役職を担っている人もいる、介護をしなければならない人もいる。そんな責任の上に、更年期障害のつらさが重くのしかかってくることになるのです。
そうはいっても、昔も今も更年期を早く迎える人もいます。イギリスの女優であるナオミ・ワッツさんもその一人。20数年前、36歳で更年期障害を経験した時は、それが何による不調かがわからず、長い間つらい時期を過ごしたそうです。
さらに現在では、初産で出産する人の年齢が上がっています。そのため、更年期と妊活の時期がかぶる人も出ますが、更年期というのは、妊活は難しく、妊娠しづらいわけです。ですから、妊活を始める時には、自分が更年期(閉経期)に入っていないかどうかを病院で調べることが必要です。
更年期外来で検査をして妊活するかどうかを決める
そこで慎重になりたいのが病院選び。婦人科だからといって、更年期障害についてのさまざまな人の、個々の不調を理解し、その改善策を伝えられる病院ばかりではありません。
もしも更年期かなと思ったら、更年期外来に行って、適切な診断と適切な処置を行ってもらうことをおすすめします。また、更年期外来や不妊治療をしているクリニックでAHM検査(抗ミュラー管ホルモン=卵巣に残存している卵子数を測定)をしてもらえば、自分が閉経が近いのかどうかがわかります。
さらに、妊活をしたいけれど、自分がもう更年期に入っているかどうかが心配だというなら、ちゃんと専門の病院でAHM検査をすることです。PMSや月経不順なども、ガマンしていると生活のQOLが下がります。病院で早いうちに治療すれば、人生のかなりの時間を快適な時間に変えることができます。
更年期に合わせたさまざまなフェムテック商品やサービスが増えてきています。自分一人でガマンしていないで、専門家や同じ悩みの人たちに相談しながら、一生の中のその時期を乗り越えてください。更年期も一生続くものではないのですから。
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