風邪が治っても長引く咳や喉のイガイガを漢方の知恵で和らげよう!

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「咳エチケット」という言葉が広がるなど、少しでも咳をすると人の目が気になるこのご時世。風邪が治った後に咳がしつこく残ってしまうことや、喉がイガイガするのも悩ましいですね。声が出づらかったり、喉に痰が絡んだりするのも厄介ですし、慢性的に喉の不調を感じている人もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、季節の変わり目や乾燥、感染症の流行時期などに起こりがちな喉のイガイガや咳について漢方の視点から解説します。

呼吸器系のトラブルは“肺”が原因!?

咳といっても、ゼーゼーと音を伴ったり痰が絡んだり、咳き込んで苦しさを感じたりなど症状はさまざま。喉の痛みやつかえ、異物感を伴うときも少なくありません。

原因のひとつとして考えられるのが空気の乾燥です。乾燥は喉や気管、気管支など呼吸器系の潤いを減少させ、咳や痰の原因につながります。

また、風邪を引いた後などに呼吸器系が敏感になっていると、些細な刺激で咳が出ることも。さらに、呼吸器系に炎症が起きているときも、痰が絡んだ咳が出やすいです。

そういった呼吸器系のトラブルを、漢方では五臓の「肺」が関係していると考えます。肺は、呼吸などの気の流れをスムーズにする働きで知られていますね。エネルギーや水分を体のすみずみまで行き渡らせたり、汗として体の外に出したりする「宣発(せんぱつ)」や、代謝したものを下におろす「粛降(しゅくこう)」と呼ばれる働きです。他にも、肺は肌や髪の毛を潤す機能も担っています。これらのバランスが崩れることによって、咳が生じると考えます。

五臓の考え方をもっと知りたい方は、「漢方の基礎知識(五臓とは)」を参考にしてください。

咳や喉の症状に合わせて、賢く漢方薬を活用しよう

咳の種類や喉の違和感によっては、漢方薬が効果を発揮してくれます。それぞれの特色を知って、暮らしに取り入れてみましょう。

空咳や痰が切れにくい風邪の後期に

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

風邪は治りかけているのに咳が治まらない時や、痰を伴わない乾いた空咳に対応するのが麦門冬湯。喉や気管などの呼吸器に潤いを与えることで、空気の乾燥などといった外部環境の刺激から呼吸器を守り、咳を鎮める漢方薬です。呼吸器に潤いを与えることによって、喉の乾燥感を改善したり、痰の切れを良くしたりするといった働きが期待できます。

喉の異物感や不安感がある時に

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

喉に何かつまった感じがする方、つい咳払いをしてしまうという方、慢性的なストレスをためがちな方などにおすすめなのが半夏厚朴湯。喉に違和感がある人の中には、言いたいことを我慢しているうちに、疲労やストレスが蓄積している可能性もあります。半夏厚朴湯は、カラダの中で滞った気(き)のめぐりを促して、喉のつかえ感や異物感を改善する処方です。

咳や痰が出る風邪症状に

五虎湯(ごことう)

漢方では、激しい咳が出て、粘度の高い黄色い痰が絡んでいる状態は、体の中に「熱がこもっている」と考えます。そんな顔が赤くなるほど咳き込むときに役立つのが五虎湯です。五虎湯は喉や気管、気管支の炎症を抑える処方。体が温まるとより症状が悪化する方、冷たいものを好む傾向がある方に適しています。炎症が鎮まると痰の量が減少し、せきも和らぐため、呼吸が楽になるでしょう。

激しい咳や痰、呼吸しづらい時に

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

季節の変化や乾燥などの外邪(がいじゃ)によって、肺の働きに悪影響がもたらされた時に対応する処方が麻杏甘石湯です。麻杏甘石湯は、咳を鎮める強い作用を持ち、激しい咳や痰が出る、口渇があって汗が出る、呼吸がしづらいなどの症状に役立つ漢方薬。喉の乾きが気になる人や、ぜんそく持ちの人に使われることもあります。

喉を潤す食材は、咳の予防に活用度大

声を使う場面が多い仕事をしている方や、喉に不調が出やすい方は、普段から喉を健やかに整える食材を意識して口にするといいでしょう。

中でも身近で手に入りやすいのは「はちみつ」です。殺菌力や抗菌力の高いはちみつは、昔から天然の咳予防食材として重宝されてきたといわれています。レモンとはちみつを炭酸で割るはちみつレモンソーダや、紅茶にはちみつを加えるはちみつ紅茶など、甘みを出したい時に取り入れるのがおすすめです。

※ただし、1歳未満のお子さんの場合、ボツリヌス症を起こすことがあるため、はちみつを口に入れることは厳禁です。

また、喉の粘膜を潤しながら、咳のつらさを和らげる働きが期待できる食材が「梅干し」です。梅に含まれているクエン酸は疲労回復にも役立ち、カラダを潤しながら風邪予防ができるでしょう。

梅干しとかつお節を混ぜて醤油で味付けした「梅かつお」をご飯の上にのせ、お湯を注ぐ梅茶漬けもおすすめ。体調が優れない時もサラサラと食べやすく、栄養価も高いので試してみてくださいね。

おすすめの食材については、「薬膳食材図鑑」もご覧ください。

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大場 敬子

合同会社縁筆 代表、自然療法ライター

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