皮下脂肪より高リスク?気になる内臓脂肪の落とし方

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偏った食習慣、運動不足、ストレスなどにより生活習慣が乱れる状態が続くと体脂肪が増加します。体脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の2つがあり、中でも内臓脂肪はお腹周りにつきやすくメタボリックシンドロームや生活習慣病のリスクを上げるためできるだけ増やさないことが重要です。内臓脂肪は比較的男性に蓄積されやすく、女性は皮下脂肪がつきやすいとされています。しかし女性の体脂肪は更年期を機に女性ホルモンの減少が原因で皮下脂肪型から内臓脂肪型へと変化をとげてしまうため、早めの対策が効果的です。この記事では、内臓脂肪の基礎知識と内臓脂肪を落とすためのポイント、おすすめの運動等についてご紹介します。

内臓脂肪は「普通預金」、皮下脂肪は「定期預金」

人間のカラダは2割前後が脂肪でできています。例えば体重60kgで体脂肪率20%の人なら、体脂肪量は12kgあるという計算になります。その中で大半を占めるのが皮膚のすぐ下にある皮下脂肪です。一方、内臓脂肪は胃や腸などのお腹周りに多く存在し、男性につきやすいということがわかっています。内臓脂肪は、皮下脂肪に比べて1個の脂肪細胞の大きさが小さく、代謝活性が高いことがわかっています。胃や腸などの内臓と密接に関わり存在するために、エネルギーの出し入れがしやすく食べ過ぎによって増えやすい特徴があります。預金に例えると、内臓脂肪は日々の生活のための普通預金、皮下脂肪はいざという時に備える定期預金というイメージです。内臓脂肪は比較的容易にたまるものの、容易に燃焼することができるため、日々の食事に注意し運動を心がければ、実は減らすことが可能な脂肪なのです。

内臓脂肪と『年齢』の関係

内臓脂肪は誰にでも蓄積するものですが、脂肪のつきやすさは年齢と密接な関係があります。人は安静にしていても呼吸をしたり心臓を動かしたり、生命を維持するために一定のエネルギーを消費しています。これを基礎代謝といい、基礎代謝量が多いほど生み出すエネルギー量も多いため脂肪がつきにくいカラダになります。基礎代謝量には個人差がありますが、一般的には男女ともに思春期にピークを迎えた後、加齢と共に低下していく傾向があります。基礎代謝のエネルギーの多くは内臓を動かす筋肉や、骨格を維持・可動させる筋肉で使われるため、内臓や骨に近い深部の筋肉量を減らさないために、内臓自体が活性化できるような健康的な食習慣、深層筋肉がしっかりと可動できるような体幹トレーニングや姿勢の維持、きちんと巡るカラダになるための休息や睡眠などといった健康的な習慣付けが年齢に負けない基礎代謝の維持につながります。

内臓脂肪による健康リスク

内臓脂肪が増える、つまりお腹周りが出てしまうことは見た目以外にどのような影響があるのでしょうか?内臓脂肪は脂肪細胞から生理活性物質というホルモンに似た物質を分泌し炎症や免疫機能に影響を与えます。内臓脂肪がたまると血糖値や血圧を上げる悪玉の生理活性物質が分泌されやすくなり糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病になるリスクが高まってしまいます。さらに進行すると動脈硬化や心臓病など命にかかわる病気につながる危険性が高まります。そのため日本では2005年に日本内科学会などの医学系学会がメタボリックシンドロームの診断基準を策定し、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm、女性90cm以上で且つ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドロームと診断されることになりました。

内臓脂肪と女性ホルモンの関係

閉経前の女性のカラダは女性ホルモンによって守られているため、同年代の男性と比較して皮下脂肪はつきやすいものの、内臓脂肪がつきにくくメタボリックシンドロームのリスクが低いとされています。女性ホルモンのエストロゲンは、体内で内臓脂肪をため込む酵素を抑える働きを持ちますが、更年期でエストロゲンが減少に転じると内臓脂肪が蓄積されやすくなります。つまり更年期以降は女性ホルモンの下支えが失われてしまうため、食べ過ぎ・飲み過ぎや運動不足がダイレクトに内臓脂肪の増加へと向かってしまいます。さらにホルモンの影響と密接な自律神経系にも乱れが起きやすいため、代謝不良や心理状態にまで影響がでる可能性があります。あまり太っていないから、と過信するのは要注意です。

皮下脂肪と内臓脂肪の見分け方

皮下脂肪とは:皮膚の下の皮下組織にある脂肪で、衝撃から身を守るクッションになったり、寒さを防ぐ断熱材の役割を果たしたりします。お尻や太ももなどの下半身や、二の腕などあまり動かさないところに集中してつきやすいのが特徴です。

内臓脂肪とは:胃や腸の周囲にたまる脂肪で、エネルギーの貯蔵庫としての役割の他に、生理活性物質を作り身体機能を調節しています。お腹周りにつきやすく『太鼓腹』のような体型につながります。

<見分け方>

① 体型
<皮下脂肪型>上半身に比べて下半身の方がふっくらしている洋ナシ体型。
<内臓脂肪型>ウエスト周りに脂肪が付きやすく、ぽっこりとお腹が出ているリンゴ体型。

② 触った感触
<皮下脂肪型>皮下脂肪は、皮膚の下の皮下組織にあるため、簡単につまむことができ柔らかさがあります。
<内臓脂肪型>内臓脂肪は内臓の周りにあるため、表面からはつまめません。内臓脂肪がついている場合、脂肪が内側からお腹を膨らませるため、肌がパンと張ったような弾力や硬さがあります。

必見!内臓脂肪を落とす方法<運動・食事・睡眠>

皮下脂肪と内臓脂肪は落としやすさにも違いがあり、内臓脂肪の方が落としやすいとされています。内臓脂肪は胃や腸の周りにあって太めの血管と接していることから、血流に乗って運ばれやすく、肝臓ですぐエネルギーとして消費されます。一方、皮下脂肪は消費されにくい場所にたまるため使われるまでに時間がかかり、内臓脂肪が減ってからようやく消費が始まります。内臓脂肪で太っている場合はダイエットの結果がすぐ出やすいため、まずはチャレンジしてみましょう!

① <運動編>内臓脂肪を減らすための運動の秘訣

★脂肪燃焼には有酸素運動がポイント
脂肪を分解するには大量の酸素が必要となるため、酸素を取り入れながら活動する有酸素運動が効果的です。有酸素運動では、脂肪燃焼に加え、呼吸循環器系の機能の向上も期待できます。運動を続けるためには、酸素をカラダに巡らす心臓と肺の働きが重要になるためです。有酸素運動には、水泳、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどがあります。まずはかんたんに取り組めるウォーキングから始めるのがおすすめです。

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あわせて読みたい>>基礎代謝を上げるウォーキングテクニック
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★有酸素運動+筋トレで継続できる体力をつける
脂肪を燃焼させる有酸素運動に筋トレをプラスできるとより効果的です。特に更年期以降の女性は筋肉量が低下しやすいため、有酸素運動と筋トレの両方を兼ねてたった3分でできる『ラジオ体操』がおすすめです。動画の再生速度を1.25倍にして行うと時短になりますが強度が上がり「やった感」が高まるかもしれません。毎日の習慣にできると知らず知らずのうちに体力もアップされ継続が期待できます。

★運動し慣れていない人はピラティスの呼吸から
運動不足が心配な人は、まずは呼吸筋を働かせることによってカラダのエネルギーを使い、代謝を上げるピラティスの呼吸で動けるカラダをつくる準備を整えましょう。

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あわせて読みたい>>気になるお腹周りはくびれピラティス「ピラティスの呼吸」
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② <食事編>タイムマネジメントと食材のセレクトで効率よく内臓脂肪を減らす

★タイムマネジメントを取り入れる
時間栄養学では同じものを食べても、夜のほうが太りやすいことが分かっています。夜に食べると、脂肪を蓄える時間遺伝子の働きで、朝に食べるよりも脂肪として蓄えやすいため「夜食を食べる」「夕食を多めに食べる」「朝食を抜く」といった過ごし方は、脂肪蓄積の典型例です。夕食は早めに軽く済ませ、夜遅くの食事は控えましょう。帰宅が遅い人は、夕方におにぎり1個でも食べる「分食」がおすすめです。夕食を軽めにした分、朝食をしっかり食べると、体内時計が整い悪循環を断ち切れます。

★栄養素を意識した食事をする
タンパク質は筋肉のもととなるため、基礎代謝の高いカラダづくりのためには欠かせない栄養素です。タンパク質は肉や魚、卵、大豆製品、乳製品など多くの食材に含まれていますが、肉類のみでタンパク質を摂ろうとすると調理の仕方によっては脂質も同時に摂ってしまうことが多いため、蒸す・煮るなど調理方法を工夫したり、赤身など脂肪の少ない部位を選んだりすると効果的です。食物繊維も、お腹の巡りを整え脂質や糖質・塩分を吸着して排出する働きを担っているため内臓脂肪を減らすのに効果的な栄養素です。食物繊維は白米に玄米や雑穀米を混ぜる、パンやパスタを選ぶ際に全粒粉を使用したものを取り入れるなど主食にひと工夫することがおすすめです。海藻、きのこ類、豆類、イモ類などの繊維質が豊富な野菜も取り入れたい食材です。

③ <睡眠編>質の高い睡眠が自律神経系を整える
睡眠不足の状態でいると「もっと食べたい」という信号を伝える摂食ホルモンが増え、同時に満腹ホルモンが減り過食になりやすいと言われています。更年期で女性ホルモンが減少することにより自律神経系が乱れ、睡眠の質が低下することも内臓脂肪が蓄積する一因になります。睡眠には呼吸の質が関係しており、ストレスや疲労の蓄積、気管支系の疾患により呼吸が浅くなることで睡眠の質を低下させてしまいます。また自律神経は体温調節などで常に働いているため必要以上に自律神経を乱さないために就寝中の体温を一定に保てるような室温の設定や、汗を吸収できる寝具や寝間着を選ぶなど睡眠環境の整備が大切です。睡眠の質を改善するために腸内環境を整えることも留意したいポイントです。

内臓脂肪対策のファーストチョイス

お腹周りが気になるけれど、食べるのが好きで美味しいものに目がないという方へ。脂質代謝を上げて、ためこまれた余分な脂肪を分解・燃焼して減らす漢方を取り入れることも有効です。胃の過剰な動きを鎮めることで過食・暴飲暴食を整えカラダの老廃物を排出。代謝を促し便秘を改善することで、余分な脂肪を分解・燃焼できるように導きます。

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脂質代謝を上げて、ためこまれた余分な脂肪を分解・燃焼して減らします。またスムーズな排便を促し、便秘を改善させます。

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那須久美子

ヘルスケアデザイナー・漢方アドバイザー・ピラティストレーナー、ヨガセラピスト・バレエティーチャー・アスリートキャリアコーディネーター・介護予防運動指導員

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