温活のススメ~冷え改善のカギは体温調整能力にあり!

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多くの人が抱えている体の「冷え」の悩み。寒さと一緒に肩こりや頭痛を感じたり、はたまた汗をかきにくく夏の暑さに弱かったりと、その症状はさまざまです。そのつらい冷え改善のためには、体に備わっている体温調整能力を養い高めることが欠かせません。
今回は「冷え」の主な要因についてと、すぐに始められる温活セルフケアをご紹介していきます。

冷えとは何なのか

「冷え」とは、もともと東洋医学特有の概念で、医学的な定義は明確ではありませんが、一般的に次のような症状をいいます。
●自分の体が「冷えている」という自覚がある
●特に指先や足先といった体の末端部分や下半身が冷たいと感じる
●暖かい環境にいても、冷えた体が温まりにくい
また、平熱が低い(36.5℃未満)という症状を冷えに含める場合もあります。そして、これらの症状と共に、肩こりや頭痛、むくみ、不眠、生理不順などの不調が現れやすいのも特徴です。

東洋医学では、病気ではないものの、何らかの不調を抱えて健康とも言えない状態を「未病」といいますが、「冷え」はその代表的な症状の一つです。そして、体の不調はできるだけ未病のうちに改善して病気を防ごうとする東洋医学にとって、冷えは体からの重要なサインとも言えます。

冷えを引き起こす要因

冷えを引き起こす要因としては、無理なダイエットなどによる食事や水分量、栄養量の不足、運動不足や加齢とそれに伴う筋肉量の減少、痩せすぎや更年期などに起因する内分泌機能の不全、または冷房の効きすぎや薄着、冷たい食事のとりすぎなど物理的に低温にさらされる生活環境などが考えられます。
そして、ストレス過多や不規則な生活になりがちな現代においては特に冷えの主な要因になっていると考えられているのが自律神経のバランスが乱れることに起因する血流量の低下と言われています。
これらの要因が単独、または複合的に影響して、体の冷えを招いているのです。

冷えと自律神経

私たちの体には「自律神経」という、体を常に最適な状態に保つために働く、生命維持には欠かせない神経があります。自律神経には、交感神経という体を活発に動かすときに優位になる神経と、副交感神経という体を休めるときに優位になる神経があり、この二つが適宜スイッチをオンオフさせて、互いにバランスをとりながら、体の恒常性を保っています。
そして、体温調節も自律神経の働きの一つになります。体の置かれている状況に対応して、血管を収縮・拡張したり、発汗を促したりしながら、体温を一定に保つための調整を行っています。
しかし、ストレスや生活習慣の乱れなど、何らかの理由で交感神経が優位な状態が続くと、血管が収縮した状態も続き、血流が低下して体のすみずみまで熱が届かず、特に血液の届きにくい体の末端部分に冷えを感じるようになってしまうのです。

冷えを改善するホリスティックな温活アプローチ

さまざまな要因が複合的に影響している冷えを改善するためには、物理的に体を冷やさないことも、心身全体に働きかけることも、どちらもホリスティック(包括的)にケアしていくことがおすすめです。
温活には、入浴や睡眠、運動やマッサージ、アロマやハーブ、東洋医学的なアプローチなど、日常でできることがいろいろとありますが、今回は、体質や生活習慣などの違いがあるなかでもすぐに実践しやすい温活として以下の3つを詳しくご紹介します。

スガタ:温活ファッション
冷えを感じるからといって、とにかく厚着をすることは、汗冷えで逆に身体を冷やしてしまうことがあるので注意が必要になります。温活ファッションは、単に厚着をすることではなく、体の温めポイントを効率的に保温するのが大切です。
その体の温めポイントとなるのは4つの「くび」。太い動脈が皮膚の近くにある「くび」「手くび」「足くび」、そして臓器が詰まっている「くびれ」の部分、つまりお腹です。
これらの温めポイントを気温や室温の変化に合わせて着脱しやすいファッション小物(ストール、マフラー、手袋、腹巻き、靴下、レッグウォーマーなど)で温めるのがおすすめ。
また4つのくびを温める肌着や小物は、直接肌に触れることも多いので、肌に負担の少ないコットン、リネン、シルク、ウールなど天然素材のものを季節にあわせて選ぶよおうにするとよいでしょう。

カラダ:体が温まる食べ方
和食・洋食・中華など食事する内容は変わっても、体が温まる食べ方を無理のない範囲で実践することが温活になります。
まずは、なるべく温かい状態で食事をすることを心がけましょう。冷たい食事は内臓を冷やし、体の熱を奪います。冷えを感じているならば、夏場でも飲み物に氷を入れないようにするなど意識するとよいでしょう。また、温かい汁ものがある場合は、最初に飲むことで胃腸が温まり、代謝が高まります。
次に、よく噛んで食べることが大切です。よく噛むことで、消化が良くなり、胃に血液が集中する時間が短くなることで体全体の血の巡りが滞るのを防ぎます。時間があるときは、一口を30回くらい噛んでから飲み込むことを目安に実践してみましょう。ゆっくりと時間をかけて食事をすると、緊張がほぐれ、自律神経のバランスを整えることにもつながります。

ココロ:マインドフルネス 呼吸の瞑想
マインドフルネスとは、「今、ここ」で起こっている出来事に意識を向けることで、過去や未来に気を散らさず、毎日の生活の一瞬一瞬を大切にして生きることを意味し、マインドフルネスを意識しながら過ごすと、ストレスを緩和できるといわれています。
こちらでご紹介する呼吸の瞑想とは、普段自分が意識せずに行っている呼吸に意識を向ける瞑想法です。

  • 1:床か椅子に良い姿勢で座る
  • 2:手のひらを上にして太腿の上に置き、目は閉じるか、薄く開く。
  • 3:意識を呼吸に向けながら、腹式呼吸を行う。

正しい姿勢で、自分の呼吸だけに意識を集中させるのは意外と難しいものです。もし途中で雑念が浮かんで意識が呼吸以外に向かってしまっても、良い悪いという評価や判断はせず、また呼吸に意識を戻すようにしてみてください。20分程度が理想ですが、まずは毎日5分でも継続して実践し、心地よく深い呼吸ができるようになってくると、自律神経のバランスも整ってくるでしょう。

まとめ:つまり、温活とは

冷え改善のカギは、本来の自律神経の機能である体温調整能力を養い高めることであり、それが温活の真の目的でもあります。また、温活を意識したライフスタイルをおくることは、冷えの自覚が特にない場合でも、気温や環境が大きく変わりがちな現代において、体の状態を一定に保つために大切です。
日常に無理なく取り入れられる温活ケアを実践して、体温調整能力の高い体を目指しましょう。

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岸紅子
岸紅子 ウェルネスプロデューサー

・NPO法人日本ホリスティックビューティ協会代表理事
・環境省「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダー
・サステナブルコスメアワード審査員⾧

東京・渋谷区生まれ。慶應義塾大学卒。一児の母。2020年より富士山麓との2拠点生活。自身や家族の闘病経験をもとに、2006年にNPO法人日本ホリスティックビューティ協会(HBA)を設立。多数の美容・健康・医療関係者とともに女性の心と体のセルフケアの普及につとめ、資格検定や人材育成を行う。また、自らも自然治癒力や免疫力を引き出すためのウェルネス講座を幅広く実施。2016年~環境省つなげよう、支えよう森里川海プロジェクトに参画。環境アクティビストとしても、ライフスタイルを通じた人にも地球にも優しい循環アクションを多く提言している。

Instagram:
https://www.instagram.com/kishibeniko/
NPO法人日本ホリスティックビューティ協会:
http://h-beauty.info/

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