目次
- 集中力アップには、まず脳の役割を知ろう
- 集中力アップの鍵は「ぼーっとしている」時!?
- マインドフルネス(瞑想)でDMNをオフラインに
- より効果的に集中力を上げるために
- アロマの力で、集中力と瞬間やる気アップ
今やらなければならないことがあるのに集中できない…と悩んだ経験はありませんか?「自分には集中力がない」と思っている方も、思わず見入ってしまったドラマのシーンや、時間を忘れて楽しく過ごした思い出がきっとあるはず。そこで、集中したいときに集中力をアップさせるためのプチ瞑想法と、集中力アップにおすすめの手浴とハーブをご紹介します。
集中力アップには、まず脳の役割を知ろう
そもそもひとつのことに集中できないのは生き物として当たり前のことです。何かに意識を向けている間に命が危険にさらされたりすることを避けるための脳の特性として、意識がかけめぐるようにプログラムされているのです。
多くの人は、自分の本質を「脳」と考えがちかもしれません。確かに脳は各臓器のコントロールセンターであるため重要な役割を担っていますが、あくまでも肉体の一部であり、胃や肝臓などと同等で単なる臓器の一つです。
現代社会はスマホひとつで誰とでも繋がることができたり、世界各地の映像や文化にふれることができるなど、誘惑が多岐に渡ります。人間の本能に抗い、集中力を養うには脳の特性を知ることが近道です。
集中力アップの鍵は「ぼーっとしている」時!?
諸説ありますが、米ワシントン大学セントルイス校の神経学者マーカス・レイクル教授によれば、「何もしていない時」にこそ脳は絶え間なく活動しているそうです。
驚くことに、脳の消費エネルギー量の60〜80%は何もしていない時、つまりぼーっとしている時に使われるというのです。意図的に何かを行なっている時こそ、エネルギー消費量が多いように考えがちですが、そうではありません。
※参考文献:Marcus E. Raichle The Brain’s Dark Energy(SCIENTIFIC AMERICAN March 2010)
脳には、脳が意識的な活動を行なっていない時でも働いている脳回路があり、それはデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれています。DMNは、脳の内側前頭前野、後部帯状皮質など、複数の脳の部位で構成されている脳回路で、なんとこのDMNのエネルギー消費量は脳全体の消費エネルギーの60〜80%を占めていると言われているのです。
ど忘れした芸能人の名前などを懸命に思い出そうとしてもできなかったのに、ふと思い出す…などの“記憶が蘇る瞬間”というのはDMNが働いた証拠です。つまりDMNは意思とは別に勝手に働き、まるでスマホがソフトウエア更新をし続けるかのように脳のあらゆるエリアの同期をはかる仕事をしています。
休日、家でぼーっとしていただけなのに疲れがとれない…というのはDMNがフル稼働してエネルギーを消費し続けた結果でもあるのです。
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マインドフルネス(瞑想)でDMNをオフラインに
とはいえ、脳の動きは止められません。だまっていると1秒に1つ位は様々な思考がかけめぐります。「さっきメールがきてたの返信してなかった!」「ちょっと部屋が冷えてきた」「お腹いっぱい」「虫に刺されたところがかゆい」など無意識にたくさんの「思い」が浮かんできます。そんな脳のDMNの働きに待ったをかけるのが瞑想です。
瞑想といっても宗教的なエッセンスを廃し、頭の中をかけめぐる思考に「気付いて」「棚上げ」する、「今」「ここ」だけに意識を向けるマインドフルネスの状態をつくることでDMNがむやみに働くことをストップさせ、オフライン状態にすることを目的とします。
5分でスッキリ。プチ瞑想で脳をクリーニングして集中力アップ
ひとつのことに集中できないときに、椅子に座ったままでできるプチ瞑想のやり方をご紹介します。
<準備>
椅子の背もたれにもたれかからないように骨盤を立てて座ります。目を閉じるか、1メートル先の空気をぼんやり見つめるなど、視界から入る情報を遮りましょう。呼吸は鼻から吸って鼻から吐きます。
① 内省:脳内がちらかった状態を認識
鼻の穴を出入りする空気の温度や量を感じながら吸う息の終わりと吐く息の終わりを見届けます。呼吸に意識を向けながらDMNが活動して「自分が何か思っている」ことを客観的に眺めます。
② 気付き:ゴミをみつけてゴミ箱へいれるように
何かが頭に浮かんだら、「○○と考えていたな」と気付いて「まあいいか」と棚上げし、呼吸に意識を戻します。何かいいアイデアが浮かんでも、そのまま放っておきましょう。瞑想後にちゃんと思い出せます。
③ 維持:ゴミ箱を空にする
②を維持するために呼吸やまばたきを数えるなど「思考」につながらないニュートラルな状態を維持することにつとめます。次第に何も考えが浮かんでこなくなったらしめたものです。
※(①〜③のサイクルを繰り返し5分程行う)
④ マインドフルネス:脳内がスッキリ片付く
負担のかかっていた脳が軽くなりエネルギーを使えるため集中力がアップ。
※5分が長いと感じる場合は1分からでも大丈夫。まずは思考に気付くことからはじめましょう。
より効果的に集中力を上げるために
効果的に瞑想を行うためには、始めにカラダの大きな関節である股関節や肩関節などを軽く動かしましょう。血流をよくすることで自律神経や呼吸が整い、瞑想状態をつくりやすくします。ヨガのアーサナ(ポーズ)は、瞑想のためにカラダを動かす準備のためにあるのです。心身共に疲れている夜よりも、朝行うことで一日の集中力に差がでます。まずは伸びをしたりカラダをほどよくほぐし、瞑想をはじめてみましょう。
アロマの力で、集中力と瞬間やる気アップ
ここぞと気合いを入れたい時、ハーブの力を借りて集中力を上げるのもおすすめです。カンタンにできる手浴方法と、覚えておくと便利なハーブをご紹介します。
手浴
時間がない時でも簡単にハーブのアロマ効果が得られる、お手軽な方法です。
① 洗面器に熱めのお湯を注いでアロマオイルを数滴たらす
② 両手を手首までお湯につけて温める
③ 香りをかぐ
※アロマオイルは1〜2滴で十分です。入れすぎないように。
おすすめハーブ
<ペパーミント(ハッカ油)>
強い爽快感のある香りが特徴で、眠気を覚まし、頭をハッキリとさせる効果があります。
<ローズマリー>
大脳辺縁系の海馬という記憶を司るエリアに働きかけて、集中力や記憶力を高めてくれる効果があると言われます。
<グレープフルーツ>
気分をリフレッシュしてくれる爽やかな香りが特徴で、気持ちが明るくなり幸福感を得られる香りとしても用いられます。
自分でコントロールして、集中力をアップすることは、ストレスからの解放にもつながり、勉強・仕事の時短にもなります。ココロの健康のためにもご紹介した方法をぜひ試してみてください。自然のチカラで体質を整える漢方薬も生活に取り入れるのもよいでしょう。
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監修
那須 久美子