目次
- 体質改善のために、まずはあなたの体質をチェック!
- 「気虚」体質のあなたはどんな状態?
- 気虚タイプのあなたは思い当たる!? 気虚体質の主な5つの症状とは?
- 気虚タイプの方におすすめの漢方薬4選
- 気虚タイプのあなたにアドバイス!おすすめの4つの生活習慣
- 気虚タイプにおすすめの気を補う働きを助ける食べ物
漢方の考えでは、カラダは「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」の3つの構成要素で支えられていると考えます。この3つの構成要素のバランスが悪いと私たちのカラダには、さまざまなトラブルが出やすくなると考えられています。ここでは、体質を気虚(ききょ)・気滞(きたい)・血虚(けっきょ)・瘀血(おけつ)・陰虚(いんきょ)・水滞(すいたい)の6つに分けて、体質ごとにトラブルの原因をさぐります。
今回は『気虚』の症状の紹介と体質改善法として、漢方薬による改善、生活習慣に関するアドバイスとおすすめの食べ物を紹介します。体質を改善することで、元気なカラダを目指していきましょう。
体質改善のために、まずはあなたの体質をチェック!
気血水の6つ体質タイプのうち、あなたの体質はどれなのかを簡単に診断できる「クラシエの漢方診断」を使って体質を診断してみましょう。
<PR>
「気虚」体質のあなたはどんな状態?
漢方では、気虚とは『気』が少なくなり、不足している状態を指します。元気=『気』。元気は気が十分にあって初めて出せるものです。
では『気』とは何のことでしょうか。漢方では『気』は、元気の源である“生命エネルギー”であると同時に、精神をコントロールする気持ちの“気”、さらにはカラダのすべてを動かしコントロールする“機能”でもあると考えています。そのため気虚になり『気』が不足すると、カラダにとても大きな悪影響を及ぼしてしまうのです。
気虚タイプのあなたは思い当たる!? 気虚体質の主な5つの症状とは?
疲れやすく、元気がでない
気が不足している気虚の状態では、元気を出したくても出せません。エネルギー不足のため、とても疲れやすく、疲れもなかなか取れません。だんだん動きたくなくなり、無意識に座ったり、横になりたくなったりします。気力もなく、口数も少なめに。ぼそぼそ話すなど、声も小さくなりがちです。また、日中でも眠くなり、うとうとしやすくなります。
風邪をひきやすい、感染症にかかりやすい
漢方では『気』はウイルスなどの外敵からカラダを守るための防衛機能をコントロールしていると考えられています。そのため、気が不足している気虚では、防衛力が落ち、外敵の侵入を防ぐことができないことにより、風邪やインフルエンザを始めとする感染症、花粉、ハウスダストなどによるアレルギー症状にかかりやすくなると言われています。
気分が落ち込み、ヤル気がでない
『気』は気持ちの“気”でもあります。気は私たちの精神活動をコントロールしていると考えられています。気虚は例えて言うなら、“しぼんだ風船”のような状態です。
健康な状態では、最適な量の『気』で満たされ、最適なバランスを取っているのですが、気虚になると気が不足するため、気持ちも下向きになりがち。気分が落ち込みやすく、無気力になります。徐々にマイナス思考となり、鬱状態にもなりやすくなります。
食欲がない、消化が悪い、さらに食後に眠くなる
『気』は、呼吸や心臓の拍動などのような、臓器の働きをコントロールする“機能”として重要な役割を果たしていると漢方では考えられています。「疲れると食欲がなくなる」「疲れると消化不良をおこす」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。気虚になると特に胃腸の機能が低下しやすく、食欲低下や消化不良、食後の不快感、胃下垂、下痢、便秘などさまざまな胃腸トラブルが起こりやすくなると漢方では考えられています。
手足やカラダが冷える
カラダを温めている熱源もエネルギーである『気』だと漢方では考えています。焚火で薪が少なくなると熱が少なくなるように、気虚では気が不足するため、カラダを温める力が弱まり、カラダが冷えやすくなると言われています。冷たいものを嫌い、温かいものを欲しやすく、手足の冷えを感じ、低体温にもなりやすくなります。
気虚タイプの方におすすめの漢方薬4選
気虚には、気を補う作用のある漢方薬の服用がおすすめです。
補中益気湯
「中(体の内側)を補い気を増やす」という意味で名付けられている補中益気湯は、胃腸のはたらきを高め、食欲を出すことで「気」を増やし、「気」を上のほうに動かしてめぐらせることで、疲れを改善していく処方です。
<PR>
- 疲れに効果的な漢方の選び方
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 詳しく見る
六君子湯
六君子湯は、胃腸のはたらきを高めることで、胃の痛みやもたれなど、胃腸の不快感を改善します。「気」を補ってめぐらせる処方です。
<PR>
- 食欲不振などの胃腸の不調を良くしたい方に
六君子湯– 漢方セラピー
- 詳しく見る
人参養栄湯
人参養栄湯は、消化器のはたらきを高め、栄養をすみずみにいきわたらせ、「気」と「血(けつ)」の両方を補います。「気」を増やすことで、補血を助ける処方です。
<PR>
- 食欲や体力が落ちており、回復させたい方に
人参養栄湯 – 漢方セラピー
- 詳しく見る
加味逍遙散
加味逍遙散の服用に向いているのは、「血(けつ)」の不足から「気」が余り、たまった「気」が熱に変わってさまざまな症状を引き起こしている方となります。
交感神経が興奮したことによるイライラ、不眠症などに対して、自律神経を調整し、イライラやのぼせをしずめて、血行を促進します。
<PR>
- ホルモンバランスの乱れからくる、イライラ・不安などの精神症状に
加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 詳しく見る
気虚タイプのあなたにアドバイス!おすすめの4つの生活習慣
まずはゆっくり休んでカラダの充電を
気虚の一番の養生はとにかく『休むこと』です。カラダの一番の充電方法は“睡眠”です。睡眠時間もさることながら“睡眠の質”も重要な要素になるので、深く眠れるように寝る環境を整えることも大切です。
胃腸をしっかり休めることも大切
疲れを取るために栄養をたくさんとらなくては!という気持ちも分かりますが、食べて消化することはエネルギー(気)を消費するので、気が不足した状態でたくさん食べても食べ物から気を取り出すことがうまくできないため、気虚で疲れた胃腸をさらに働かせることになり、胃腸の負担になってしまうこともあります。食欲がない、食後眠くなる、もともと胃腸が弱いという人は特に注意が必要です。食欲がないときは無理に食べず、胃腸も含めて、カラダ全体をしっかり休めるよう心掛けましょう。
消化の良いもの、胃腸に負担をかけないものを
胃腸に負担をかけないように消化の良いものを食べる習慣をつけましょう。
脂の多い食べものや食物繊維の多い食べものなどは、消化しにくく、胃腸の負担になりがちです。よく噛んで食べるだけでなく、小さく切る、やわらかく煮る、スープにするなど、調理法も工夫しながら、より消化の良い食事を心掛けていきましょう。また、胃腸と相談しながら、少量ずつこまめに食べるのも良いでしょう。
疲れた時は天然の甘味を心掛けて
疲れたときに無性に甘いものが食べたくなるという経験はありませんか?漢方では、胃腸が疲れると甘味を欲しやすくなると言われています。実は天然の甘味は胃腸を元気にすると漢方では考えられています。しかし、ここで注意が必要なのが“天然の甘味”という点です。疲れて甘味を欲したら、天然の甘味を適度にとるように心掛けましょう。
気虚タイプにおすすめの気を補う働きを助ける食べ物
穀物類
うるち米、もち米、玄米、ひえなどの雑穀類は、気を補う働きを助ける食べものだと漢方では言われています。栄養学の面からも、これら炭水化物はカラダのエネルギーになるため気虚には特におすすめです。胃腸が弱っているときは負担をかけないように、やわらかく炊いたり、おかゆにすると良いですね。
イモ類
漢方では昔から、じゃがいも、さつまいも、やまいもなどのイモ類やカボチャのように、加熱するとホクホクするものは、穀物と同じように、気を補う働きを助けると言われています。そのままでは胃腸に負担をかけやすいため、すりつぶしたり、スープにするなど工夫するとさらに良いでしょう。薬膳では気虚の食養生にじゃがいもの温かいビシソワーズをよく使います。
豆類、キノコ類
枝豆、えんどう豆、グリーンピース、さやいんげん、そら豆などの豆類やトウモロコシ、椎茸や舞茸などのキノコ類は気を補う働きを助ける食べものだと漢方では言われています。イモ類同様、胃腸の負担を感じるようであれば、スープにするなど消化の良いかたちで食べましょう。
ナツメ
漢方食材としてよく食べられているナツメですが、大棗(たいそう)とも呼ばれ、漢方薬の生薬としても幅広く使われています。ナツメは気を補う働きを助けると言われていて、子供たちの元気の出るおやつとして昔から親しまれてきました。ハチミツと一緒に炊くと甘くて美味しく、おやつ代わりに最適です。
その他にも、気虚におすすめの食べものをあげてみました。
毎日のメニューの参考にしてみてはいかがでしょうか。
≪気を補う働きを助ける食べもの(補気)≫
大豆、アスパラガス、トウモロコシ、ニンニクの芽、舞茸、アボカド、さくらんぼ、パイナップル、ぶどう、もも、穴子、あんこう、いわし、うなぎ、えび、かつお、さけ、さざえ、さば、たこ、たら、にしん、ひらめ、ふかひれ、ぶり、まぐろ、牛肉、鶏肉、豚肉、甘酒
※国立北京中医薬大学日本校監修、現代の食卓に生かす「食物性味表」より