目次
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
- 喫煙経験者は要注意!?COPDの原因とは?
- COPDの一般治療とは?
- COPDは低栄養になりやすい
- COPDとフレイルの深い関係
- フレイルにおすすめ!カラダを元気にする漢方薬3選
少し動くだけですぐ息切れする。そう感じることはありませんか?年齢とともにでやすい息切れ。しかし、ただの息切れだと放っているあなたは要注意。息切れの背景にCOPD(慢性閉塞性肺疾患:chronic obstructive pulmonary disease)という病気が隠れているかもしれません。COPDは最近話題のフレイルとも深い関係があります。今回はCOPDの症状と原因、COPDとフレイルの深い関係、そして漢方流の対策などをご紹介します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
最近耳にするようになったCOPDとは、どんな病気なのでしょうか。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)は、もともと“慢性気管支炎”や“肺気腫”と呼ばれてきた病気の総称で、「肺の生活習慣病」とも言われています。
代表的な症状は、「咳」と「息切れ」で、痰を伴う咳や息切れが何年にもわたって続きます。階段や坂道をのぼるなど、ちょっとした運動でもすぐ息切れしやすくなり、息を吐く時間がのびてゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴がする、さらには体重が減少して痩せる、呼吸困難などの症状を伴うこともあります。
喫煙経験者は要注意!?COPDの原因とは?
COPDの一番の原因は“喫煙”だと言われています。タバコの煙や大気汚染、職業上の粉塵・化学物質など有害物質を長期間に渡り吸い込むことで、気道や肺胞などの炎症や組織の破壊が起こって発症すると考えられています。また痰も増えやすく、痰によって気道がつまったり、肺炎などへの進行も懸念されています。
中高年以降に発症しやすく、喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。
COPDは生命を脅かすこともあり、2030年には世界の死亡原因の第3位(死亡原因の8.6%)になると予想※され、その早期発見と早期改善が望まれています。
出典:Nikkei Medical プラクティカル講座「COPD患者の栄養管理」KKR高松病院総合内科医長 粟井 一哉
COPDの一般治療とは?
COPDの治療において、まず初めに行うのが“危険因子の回避”です。禁煙や、受動喫煙の回避、粉塵や化学物質の回避など、原因となる有毒粒子を吸入しないようにします。
次に、気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張薬を中心とした薬物療法や、運動療法や栄養管理による呼吸リハビリテーションのような非薬物療法があります。
残念ながらCOPDになった肺は完全には元に戻らないと言われています。そのため、薬物療法と非薬物療法を組み合わせることにより、症状を改善するとともに病気の進行を阻止することが大切だと考えられています。
COPDは低栄養になりやすい
COPDで問題視されているのが栄養障害による“低栄養”です。COPDの患者さんが低栄養になりやすいのにはいくつか理由があります。
COPDでは呼吸機能や呼吸筋力が低下しているため、呼吸をする際に健康な人よりも呼吸筋を一生懸命動かして呼吸しなければいけません。そのため、呼吸するためにより多くのエネルギーを消費すると言われ、その消費量は健康な人の約10倍とも報告されています。
また、COPDでは肺の炎症が全身に及び、全身性の炎症性症状を併発しやすいと言われています。そのため健康な人よりも炎症性の生理活性物質(TNF-αやIL-6など)が多いと言われています。これらの物質は代謝を亢進したり、摂食抑制に働くことが報告されていて、そのこともCOPDの栄養障害を加速させています。
さらに、COPDでは肺が過剰に膨張すると言われています。肺が膨張することで横隔膜が腹部臓器を押し下げてしまい、胃腸が圧迫されることで、お腹の張りや食欲の低下を引き起こしやすくなります。
それだけでなく、COPDでは食事を摂ることにより呼吸のリズムが崩れて息苦しく感じることもあり、そのことも食欲の低下に繋がっているとも言われています。
COPDによって栄養障害になり低栄養状態になると、痩せるだけでなく、呼吸筋や全身の筋力も低下してしまいます。筋力が低下することで、今まで以上に少し動いただけで息切れしやすいだけでなく、疲れやすくもなり、やがて動く意欲を失います。徐々に活動量も少なくなり、さらに食欲もなくなっていく。老後の生活が元気で過ごせるかどうかに大きく影響します。
COPDとフレイルの深い関係
COPDの患者さんは低栄養や活動量の低下に陥りやすいため、近年フレイルとの関係が注目されています。
フレイルとは「虚弱」を表す英語の“frailty”から日本老年医学会が提唱した用語で、“加齢により筋力や心身の活力が低下している状態”を指します。
加齢とともに、カラダの活力が低下し、カラダの機能が衰えるだけでなく、精神的にも脆弱になり、さらに社会ともつながりが弱くなるなど多面的に生活機能に問題を抱えやすいと言われています。
筋力の低下や筋肉量の減少も問題視されていて、認知症や転倒と並んで高齢者が要介護状態になる大きな原因のひとつだと考えられ、“要介護状態に至る一歩手前の段階”として位置づけられています。
フレイルを語る上で避けては通れないのが、高齢者に多い“低栄養”です。低栄養はフレイルの代表的な症状であると同時に、フレイルを加速させる大きな誘因でもあります。
高齢者では加齢によるカラダの衰弱により胃腸の機能が低下し、さらに意欲も低下することで、食欲の低下や消化不良に繋がり、低栄養状態になりやすくなると言われています。
低栄養状態になると、エネルギー不足になるため、フレイルの症状である“疲れやすい“、“活力がない”といった状態をさらに加速させます。またカラダを作るための栄養も不足するため、筋肉が減る、痩せるなどの弊害も起こりやすく、フレイルによる筋力の低下や活動量の低下にも拍車をかけます。
COPD患者ではフレイルの合併頻度がとても高いと言われています。COPDの発症は高齢者に多く、さらにCOPDにおいても低栄養や筋力の低下、活動量の低下などがフレイル同様に問題視されています。
最近では両者の深い関係性がクローズアップされ、フレイルを改善することがCOPDの予後に大きく影響を与えることが報告されていて、COPDの治療と並行して、フレイルの改善も同時に行うことがとても大切だと考えられています。
フレイルにおすすめ!カラダを元気にする漢方薬3選
フレイルは漢方でいう未病の段階です。できるだけ早い段階でしっかりとカラダを改善することで、病気へと繋がる流れを断ち切りましょう。
フレイルの改善には食生活を見直して栄養をしっかりと補給すると同時に、栄養をしっかりと吸収できるカラダ作りが欠かせません。そのためには衰えた胃腸をきちんと立て直すことが大切です。また、衰えて弱ったカラダに元気を与え、活力や体力を補うこともとても大切です。
そこでおすすめなのが、漢方薬です。カラダのエネルギーであり、カラダを動かす機能である「気」やカラダの栄養素である「血」をしっかりと補ってくれる漢方薬が良いでしょう。
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中でもおすすめなのが、人参養栄湯、十全大補湯、補中益気湯の3つの漢方薬です。漢方薬によってカラダの内側からアプローチすることで、カラダをしっかり整え、長い高齢者生活を心身ともにサポートしましょう。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯は、ニンジン・トウキ・ジオウ・ビャクジュツ・ブクリョウ・シャクヤク・チンピ・オンジ・オウギ・ケイヒ・ゴミシ・カンゾウの12種類の生薬からなる漢方薬です。
人参養栄湯は元気の源である気をしっかり補うことで、カラダに活力を与えるとともに、胃腸の働きを高めます。さらにカラダの栄養である血も同時に補うことで、カラダの健康にとって必要不可欠な「気(き)」と「血(けつ)」の両方を補い、カラダのすみずみまで栄養を行き渡らせます。体力低下や疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血などに効果を発揮します。古来より漢方の世界では、慢性の呼吸器症状にも使われてきました。
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯は、ニンジン・オウギ・ジオウ・ビャクジュツ・ブクリョウ・トウキ・シャクヤク・センキュウ・ケイヒ・カンゾウの10種類の生薬からなる漢方薬です。
“体力の低下や全身の衰弱を大いに補う”という意味で名付けられ、気をしっかり補うことで、カラダを元気にし、カラダの機能を向上させます。また、胃腸の機能を高めると同時に血もしっかり補ってカラダの栄養も補充することで、衰えたカラダに活力を与え滋養します。
病後や術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血などに効果があります。
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- 胃腸の働きが衰えて食欲のない方に
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
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・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、ニンジン・ビャクジュツ・オウギ・トウキ・タイソウ・サイコ・チンピ・カンゾウ・ショウキョウ・ショウマの10種類の生薬からなる漢方薬です。
“中(体の内側)を補い、気を増やす”という意味で名付けられた通り、カラダの内側に気をしっかりと補うことで、カラダに活力を与え、さらに胃腸の働きを高めることで消化・吸収機能を整え、不足した気を増やします。虚弱体質や疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒などの症状を改善します。
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- 胃腸の働きが衰えて食欲のない方に
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
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