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毎朝の気持ちのよい排便。ココロも体もスッキリする健康には欠かせない朝のルーティーンですが、中にはそう上手くいかない人もいらっしゃるのではないでしょうか。毎日出ない、便が硬い、お腹が痛いなど便秘で悩む女性は尽きないもの。そこで今回は便秘を徹底分析!便秘のタイプ別におすすめの漢方薬をご紹介します。
“便秘=下剤”はNGって、知ってた?
便秘の改善方法といえば“下剤”がポピュラーですが、実は下剤を使うと逆に悪化する便秘のタイプがあるってご存知ですか?“便秘”とひとくちに言っても、原因はさまざま。原因によって治し方も十人十色。下剤を使うとお腹が痛くなったり、疲れてしまったり、逆に便が出にくくなることもあるのです。まずは、あなたの便秘の原因を知ることが先決ですね。
“単純な便秘”と“体質からくる便秘”
漢方で便秘を考える時には大きく分けて“単純な便秘”と“体質からくる便秘”の2種類があります。“単純な便秘”とは一時的な便秘のこと。原因は単純で、治るのが早いのが特徴です。やっかいなのが“体質からくる便秘”です。体質に原因がある場合は、下剤などで一時的に便通が回復したとしても、また便秘を繰り返し、体質が改善しないと便秘も完全に改善しないのが特徴です。慢性便秘も多く、気付かないうちに他にも色々な症状が出ていることも少なくありません。
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便秘を徹底分析!便秘のタイプとおすすめの漢方薬
さっそく症状別に便秘をみてみましょう。便秘の特徴だけでなく、同時に出やすい症状など、あなたのカラダと照らし合わせてみてください。きっとあなたの便秘の原因が見つかるはずです!
■こんな症状のあなたは「熱だまり便秘」
☑ 便が硬く、数日間便秘する
☑ お腹の張りや膨満感がある
☑ 腹痛や圧痛がある
☑ 顔面が赤い
☑ 発熱や熱感がある
☑ 汗をよくかく
☑ 尿の色が濃い
☑ 冷たいものを飲みたくなる
☑ 口や舌が荒れる
☑ 口臭がきつい
カラダに余分な熱がこもることで腸が乾燥し、便が出にくくなっているタイプです。夏の過剰な暑さや、風邪による高熱、また辛いものや味の濃いものの食べ過ぎでカラダに熱がこもったときなどに起こりやすいと言われています。一時的な単純便秘であることが多く、回復も早いのが特徴です。
<おすすめの漢方薬>
このタイプは便を出しやすくすると同時に、カラダにたまった余分な熱を取り除くことが大切です。
●熱だまり便秘に「調胃承気湯(ちょういじょうきとう)」
排便作用だけでなく、余分な熱を冷まし、体力中等度で、便秘や便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満、腸内異常醗酵・痔などの症状を改善します。
●痔を伴う便秘のサポートに「乙字湯(おつじとう)」
痔も併せ持つ便秘におすすめなのが乙字湯です。乙字湯は江戸時代に日本で痔の専門処方として作られた漢方薬で、穏やかな排便作用と同時に余分な熱を取り除き、肛門の緊張を緩めることで便通を整えます。体力中等度以上で大便が硬く、便秘傾向の方のいぼ痔(痔核)、きれ痔や軽度の脱肛に効果があります。
■こんな症状のあなたは「ストレス便秘」
☑ 数日間便秘する
☑ 便意は催すが便が出ない
☑ 抑うつ感がある
☑ ため息が多い
☑ ゲップがよく出る
☑ 上腹部が痞(つか)えて苦しい
☑ 脇腹に膨満感がある
☑ 月経時に胸が張る
☑ 悪心・嘔吐がある
☑ のどの違和感や咳ばらいをよくする
ストレスで食欲が増減したり、緊張で下痢するように、ココロと胃腸の働きにはとても密接な関係があります。このタイプは漢方で言う“気滞(きたい)”の状態で、臓腑をコントロールする“気”がストレスにより乱され、胃腸の動きや機能に不具合が生じ、スムーズに排便できなくなると漢方では考えられています。このタイプは便秘だけでなく、下痢や、下痢と便秘をくり返すなど症状も変化しやすいと言われています。一時的なこともありますが、慢性的なストレスの場合、便秘も慢性化することが多く、ビクビク痙攣便秘に発展することも少なくありません。このタイプは下剤を使うことで腹痛や下痢を引き起こすこともあるため注意が必要です。
<おすすめの漢方薬>
このタイプは排便作用により便を出すことよりも、根本原因となっている気滞をまず整え、胃腸の動きを整えることでスムーズな排便へと導くことが大切です。
●便意はあるのに出ない便秘に「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」
桂枝加芍薬湯は筋肉の痙攣を緩和することで有名な芍薬甘草湯をベースにした漢方薬で、「気」「血」のバランスを整え、腸の動きを整えることで正常な便通へと導きます。体力中等度以下で、腹部膨満感のある人のしぶり腹※や腹痛、下痢、便秘に効果的です。
※「しぶり腹」とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すものを指します。
●イライラなどのストレスサポートに「加味逍遙散(かみしょうようさん)」
便秘がひどくない場合には根本原因となる気滞体質の改善をメインに行うのもおすすめです。加味逍遙散は気の巡りを良くし、血を補うことで、カラダのバランス全体を整え気滞体質をサポートします。体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある人の冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症※、不眠症に効果を発揮します。
※「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
■こんな症状のあなたは「コロコロ腸燥便秘」
☑ 便が硬く、排便が困難
☑ コロコロ便(兎糞便)
☑ お腹の張りや腹痛がある
☑ 残便感がある
☑ 排便回数が少ない
☑ 痩せ型である
☑ のどが乾燥する
☑ 顔色に艶がない
☑ 不安感や焦燥感が強い
☑ 頭のふらつきやめまいがある
腸内の潤いが少ないために便秘になるタイプです。漢方で言う“血虚(けっきょ)”の状態で、カラダに栄養や潤いをもたらす“血”が少ないため、腸が乾燥して便が硬くなり排便が困難になると漢方では考えられています。コロコロした兎糞便が特徴で高齢者や痩せ型の人に多く、特に女性に多いと言われています。
<おすすめの漢方薬>
このタイプは排便作用で便を出しやすくすると同時に、潤いを補って、乾燥した腸に潤いを取り戻すことが大切です。
●腸燥便秘に「麻子仁丸(ましにんがん)」
麻子仁丸は排便作用によって便を出しやすくするだけでなく、腸に潤いを補うことで便を軟らかくし、無理なくスムーズな排便ができるように導きます。体力中等度以下で、便が硬くスムーズに排便できない人の便秘や便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和に効果を発揮します。
■こんな症状のあなたは「ビクビク痙攣便秘」
☑ 便が細いまたはコロコロ便(兎糞便)
☑ 排便が困難
☑ 努力しても少量しか出ない(1回の排便量が少ない)
☑ 残便感が強い
☑ 排便回数が多い
☑ お腹の張りや膨満感がある
☑ しばしば腹痛がある(特に左下腹部)
☑ 痛みは痙攣性で波がある
☑ ガスが出ると痛みや膨満感が楽になる
☑ 便意や腹痛は食後に起こることが多い
このタイプは、腸(下行結腸からS字状結腸にかけて)が痙攣することで排便しにくくなり、便秘が起こると言われています。漢方で言う“気滞(きたい)”体質で、心因性のことが多く、ストレス便秘から発展するケースも多く見られます。
このタイプは下剤を使うことで腹痛や下痢を引き起こすこともあるため注意が必要です。
<おすすめの漢方薬>
ストレス便秘と同様に排便作用により便を出すことよりも、根本原因を明らかにし、胃腸の動きを整えることでスムーズな排便へと導くことが大切です。
●痙攣便秘に「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」
桂枝加芍薬湯は筋肉の痙攣を緩和することで有名な芍薬甘草湯をベースにした漢方薬で、「気」「血」のバランスを整え、腸の動きを整えることで正常な便通へと導きます。体力中等度以下で、腹部膨満感のある人のしぶり腹※や腹痛、下痢、便秘に効果的です。
※「しぶり腹」とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すものを指します。
●精神不安などの心因性のココロのサポートに「加味逍遙散(かみしょうようさん)」
便秘がひどくない場合には根本原因となる気滞体質の改善をメインに行うのもおすすめです。加味逍遙散は気の巡りを良くし、血を補うことで、カラダのバランス全体を整え体質改善をサポートします。体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある人の冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症※、不眠症に効果を発揮します。
※「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
■こんな症状のあなたは「お疲れ胃腸便秘」
☑ 大便が硬いまたは軟便
☑ 数日間便秘する
☑ 数日間排便がないのに腹部に苦痛がない
☑ ときには便意があるが努力しても出ない
☑ 排便時に汗が出て息切れする
☑ 排便後に極度の疲労脱力感がある
☑ 疲れやすい・倦怠感が強い
☑ 物を言うのがおっくう
☑ 声に力がない
☑ 脱肛や胃下垂である
胃腸が弱ると、胃腸の動きも弱くなり上手く排便できなくなります。このタイプは漢方で言う“気虚(ききょ)”の状態で、カラダのエネルギーである“気”が少ないため胃腸のチカラがなく、腸の運動や緊張が低下するため、便を排出することができず長期間便が停滞し、便秘になりやすくなると漢方では考えられています。便秘は慢性的なことが多く、下剤を使うと腹痛や下痢、脱力感などが起こることもあり、小さい頃から長年悩んでいることも少なくありません。
<おすすめの漢方薬>
このタイプは排便作用により便を出すよりも、まず根本原因となっている気虚を改善し、胃腸を元気にすることで、自分で排便できる力をつけることが大切です。
●お疲れ胃腸を元気に整える「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」
補中益気湯は、“中(体の内側)を補い、気を増やす”という意味で名付けられた漢方薬で、気を補うことで、カラダに元気を補うと同時に胃腸の働きを高め、胃腸の消化・吸収機能を整えて疲れを回復します。体力や元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすい人の虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒に効果を発揮します。
●便が硬いときの便通サポートに「麻子仁丸(ましにんがん)」
なかなか便が出ずつらいときには自然に近い穏やかなお通じをもたらす麻子仁丸をプラスして便通をサポートすると良いでしょう。
■こんな症状のあなたは「冷え便秘」
☑ 便秘である
☑ 顔色が青黒い
☑ 手足が冷える
☑ 寒がりである
☑ 温暖を好み寒冷を嫌う
☑ 尿量が多く、尿の色が薄い
☑ 夜中にトイレによく行く
☑ 排尿後に尿がもれる
カラダの冷えが原因で便秘になっているタイプです。腸が冷えると腸の動きが悪くなり排便が上手くいかなくなるため、便秘になりやすいと考えられています。虚弱な老人によくみられ、漢方ではカラダが弱ることでカラダを温める力も弱くなると考えられています。
お疲れ胃腸便秘から発展することも多く、尿のトラブルを併発しやすいのも特徴です。頻尿によってカラダの水分が少なくなることで、大便の潤いが不足することも便秘を助長していると言われています。
<おすすめの漢方薬>
このタイプは排便作用により便を出すよりも、カラダの弱りを補い、温めることで、排便するためのチカラをつけることが大切です。
●冷えやカラダの機能低下に「八味地黄丸(はちみじおうがん)」
八味地黄丸は、カラダを温め、カラダ全体の機能低下を改善する効果がある漢方薬です。気血水を増やし巡らせると同時にカラダを温めることで、体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇がある人の下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れに効果を発揮します。
●無理なくスムーズな便通サポートに「麻子仁丸(ましにんがん)」
なかなか便が出ずつらいときには自然に近い穏やかなお通じをもたらす麻子仁丸をプラスして便通をサポートすると良いでしょう。