
目次
- ベビーマッサージこそ私がやりたかったこと!
- ふれ合うことは、新生児の発育を促し生きる力を生む!
- ふれ合うことで、ママの健康や産後うつ予防も期待できる!
- 【蛯原英里さんに聞く】ベビーマッサージのポイント
小学生の時に入院した時の経験から看護師に憧れ、その後、自身も看護師になった蛯原英里さん。NICU(新生児集中治療室)で勤務したことで、赤ちゃんと「ふれ合う」ことの効果を実感し、チャイルドボディセラピストになりました。「これこそ私のやりたかったこと!」と、胸を張る蛯原さんに、「ふれ合う」ことの効果をお聞きしました。
ベビーマッサージこそ私がやりたかったこと!
「看護師になって1年目に配属になったのがNICUでした」と話す蛯原英里さん。昔から子どもが好きで、配属先の希望も小児科と書いたそうです。ご自身の配属希望と適性検査を踏まえて配属先が決まり、NICUには6年間勤務しました。
その後、看護師をやめてアパレル業界に転職。しかし、雑誌などのモデルは読者の顔が見えないため、「もっと目の前にいる人に、直接何かをやってあげたい」と思うようになったそうです。そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたある日、懐かしさから本屋の医療コーナーへ足を向けました。そこで出合ったのが『ベビーマッサージ』の本でした。
「ベビーマッサージと呼んでいますが、もともとはタッチケアといい、これを始めたのはNICUの看護師さんだという説もあると知りました。私もNICUに勤務していた。しかも、私も生まれた時は1800gという低体重児で保育器育ちなんです。目の前にいる人に何かやってあげたいとい気持ちもあり、点と点がつながったというか、ビビッと縁を感じたんです。これこそ、私がやりたかったことだ!って」
すぐに、資格が取れる学校探しを始めました。解剖学や生理学などを学ぶところ、数日で資格が取れるところなど、いろいろな協会があるため、まず資料を取り寄せることから始めたそうです。もともと看護師だったため、解剖学や生理学はすでに学んでいた蛯原さんですが、やっぱり自信を持って伝えられるようにと、「しっかり勉強できるところを選びました」。
そうして1年弱の学びを経て、赤ちゃんとママのふれ合いをお手伝いする仕事をスタートしました。
ふれ合うことは、新生児の発育を促し生きる力を生む!
蛯原さんはNICUで働いていた時、さまざまな不思議なことに出会いました。
「400gとか500gしかない赤ちゃんでも、手足をバタつかせて暴れ続ける子がいるんです。
でも、親御さんに触れてもらうと、その瞬間に動きが止まって落ち着くんです。そしてそのまま寝てくれたり」
保育器から手だけを入れて、ママやパパが赤ちゃんにふれることはタッチケアといいます。また、ママでもパパでも上着の胸をはだけてもらって、裸の赤ちゃんを抱っこしてもらうというケア方法もあります。こちらはカンガルーケアといいますが、やはり赤ちゃんに哺乳力が出てきたり、落ち着きが出てきて、よく眠るようになるそうです。
「タッチケアやカンガルーケアについては、世界中でさまざまな研究が行われていて、報告も出ています。例えば、よくふれてもらえた赤ちゃんは、リラックスしてよく寝り、ミルクもよく飲んでくれて、体重の伸びがアップして退院までの日数が短くなるそうです。心拍数も落ち着きます。また、赤ちゃんの免疫力や自然治癒力が高まったり、丈夫なからだをつくります。消化がいまいちの赤ちゃんも、消化力がアップしたという報告もあります。ふれ合うことで、まさに“生きる力”がついていくということです」
ふれ合うことで、ママの健康や産後うつ予防も期待できる!
ふれ合うことで元気になるのは赤ちゃんだけではないそうです。
「もう10年以上ベビーマッサージを伝える活動をしていますが、そこで実感するのは、ベビーマッサージはママの気持ちを落ち着かせたり、わが子を大事に思う気持ちを育むもので、実はママに向けてのものなんじゃないかということです」
ふれ合うことで、脳からオキシトシンというホルモンが分泌されます。それによって幸せや愛情を感じることができ、不安やストレスを緩和したり、食欲や代謝をコントロールしたり、血圧を安定させてくれます。
ママのカラダや脳内にオキシトシンが増えていけば、ママの日常生活が豊かになりますし、赤ちゃんへの愛情が倍増していきます。それは他の家族にとってもいい影響を及ぼすはずです。オキシトシンが別名『愛情ホルモン』『絆ホルモン』『癒しホルモン』『幸せホルモン』などと呼ばれるのはそのためです。
「また、妊娠すると急激に増加し、産後は急激に減少する女性ホルモンにエストロゲンがあります。エストロゲンの急激な変化は、産後うつの一因とされています。一方、オキシトシンは心を安定させる働きがあるため、エストロゲンが減少する産後の時期にオキシトシンが分泌されることで、ストレスの軽減や精神的な安定につながり、産後うつの予防に役立つと考えられています」
つまり、ふれ合うことでオキシトシンをたくさん分泌できれば、産後うつも予防でき、ママの心身の回復にも役立つのです。
蛯原さんがベビーマッサージを始めたのは、結婚後の30代初め。
「その数年後に娘を産んでいますが、女性って妊娠や出産でホルモンが変化しますよね。私は、妊娠中も出産してからも仕事をしていましたから、精神状態が不安定になったり、イライラすることもありました」
でも、どんなに忙しくても、子どもとしっかりとアイコンタクトをとりながら「触るよ、いい?」」「大好きだよ」などと伝えながらマッサージしていると、自然と心が穏やかになってきたそうです。そして、「あれ? なんで悩んでいたんだっけ?」なんて。
「現在10歳になる娘と6歳の息子がいますが、その子たちを産んでからずっとふれ合ってきました。ベビーの頃はマッサージをしながら、その後、幼稚園、小学校と、ずっとふれ合いは続いています。最近でも、ハグをしたり、手をつないだり、横に座っていても体のどこかがふれ合っていることが多いですね。ふれ合うことで安心感を与え合っていると思います。実際、更年期にさしかかっている私の気持ちの安定剤でもあります」
『あなたが大好きだよ』『とっても大事に思っているよ』『いつも味方だよ』。そんな言葉を体現するベビーマッサージ。では、実際にやる時の注意点をご紹介しましょう。
【蛯原英里さんに聞く】ベビーマッサージのポイント
「ベビーマッサージに良い効果があるからと、毎日義務のように続けようとするママがいますが、それは逆効果です。毎日やらなくてもいいので、赤ちゃんの機嫌や体調、ママの都合などを見計らって行いましょう。1日15分〜20分までで、食後は避けます」
もちろん、熱がある時、予防接種を受けて24時間以内、皮膚の感染症にかかっている時にはやらないこと。やり始めても、赤ちゃんが嫌がったらすぐにやめることです。
おすすめは、裸の赤ちゃんにオイルを使いながらマッサージする方法ですが、洋服の上からでも大丈夫です。室温は25〜26℃ぐらいにし、床に清潔なバスタオルを敷いて寝かせます。途中でおしっこやうんちをしてしまうこともあるので、バスタオルは何枚か替えを用意。心配ならバスタオルの下に防水シートなどを敷いてもいいそうです。
マッサージは、ママの手にマッサージオイルを塗って行いますが、赤ちゃんの肌はとてもデリケートですので、エッセンシャルオイルなどは避けましょう。蛯原さんのおすすめは、ホホバオイルやスイートアーモンドオイル、グレープシードオイルです。
「マッサージは力を入れる必要はありません。赤ちゃんとアイコンタクトをとりながら手をすべらせ、赤ちゃんの様子を観察しながら行います。マッサージに慣れるまでは、『何が始まったのだろう』というようにポカンとしてしまう子もいますし、気持ちの良さにホワンとする子もいます。泣いたりぐずったりしたら、体調が悪いのかもしれませんし、気持ちが乗らないのかもしれません。そんな時はその日はおしまい。慣れてリラックスしている時は、笑ったりおしゃべりしてくれますよ」
マッサージが終わったら、おくるみやバスタオルで包んで、水分補給をしてあげましょう。「母乳を飲ませるか、あらかじめミルクや麦茶、水などを用意してから始めるといいですね。赤ちゃんが欲しがるだけ与えて大丈夫ですよ」
蛯原さんのベビーマッサージ教室や情報などは、下記からご確認ください。
蛯原 英里 official blog
https://ameblo.jp/ebihara-eri/
蛯原 英里Instagram
https://www.instagram.com/eriebihara/
チャイルドボディケア協会
https://fureai-lab.com/

プロフィール
小学校4年生のときに虫垂炎で入院して、看護師の対応に「素敵だな」と思い、看護師になる。NICUを経て、日本チャイルドボディケア協会ベビーマッサージ講師に。チャイルドボディケア協会を立ち上げ、毎月ベビマオンラインレッスンを開催中。2児のママ。
<PR>
-
- お子さまの服薬を補助する
おくすりパクッとねるねる
- 詳しく見る