更年期のメンタル不調を対策する漢方薬5選【落ち込みやイライラが止まらない…。】

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更年期のメンタル不調を対策する漢方薬5選【落ち込みやイライラが止まらない…。】

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心が不安定になり、落ち込みやイライラに振り回されやすくなる日が増える40代半ば以降。「疲れが溜まっているから」「最近いそがしかったから」など、不調の理由が思い浮かぶこともありますが、もしかしたら更年期特有のトラブルの可能性もあります。今回は仕事や家事、育児など、まだまだ体力と気力が必要な世代に訪れる更年期の不調と、この時期を軽やかに過ごすためのポイントをご紹介しましょう。

人には相談しづらい更年期の悩み。気づくまでに時間がかかることも

仕事や家事、子育て、人によっては介護も始まる40〜50代。自分のことは後回しにして、家族のために奔走している方も多いでしょう。
そんな日々をこなすので精一杯な時に、イライラしたり、ほてりや冷えを感じたり、動悸が起きて異常な汗をかいたり…
そういえば最近ちょっと変かも?と思ったら、更年期の不調を疑ってみても良いかもしれません。

厚生労働省が2022年に実施した意識調査(https://www.mhlw.go.jp/content/000952295.pdf)によると、50代女性の38%が「自分は更年期障害の可能性がある」と考えていることが分かりました。その一方で、医療機関を受診していない40〜50代女性は、約8〜9割を占めているそうです。

女性の更年期は主に、月経前後の40代半ば〜50代半ばの約10年間を指します。「更年期」という言葉そのものがマイナスイメージで捉えられがちですし、女性ならではのカラダの変化なので、人に相談しづらく自覚するまで時間がかかることも。真面目な人ほど感情をコントロールできない自分を許せず、さらに落ち込んでしまうという悪循環も心配です。

激しい感情の起伏やメンタル不調が更年期に起こる理由

閉経が近づくと卵巣機能が低下してくるため、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が減ってきます。
女性ホルモンといえば、排卵や妊娠など子宮の発達と関係がありますが、実は自律神経のバランスを整えたり、内臓の働きや体温を正常に保ったりするなどの重要な働きも担っているホルモン。
そのため、女性ホルモンの減少によって、少しずつ月経量が減るとともに、自律神経の働きが乱れてイライラや抑うつ、パニック、不安などの精神症状があらわれやすくなるのです。また、肌や髪にツヤがなくなるのも、女性ホルモン減少による影響かもしれません。

また、エストロゲンが減ると、幸福感を得るために欠かせない脳の神経伝達物質「セロトニン」も不足。感情をコントロールすることが難しくなり、イライラしたり、やる気や集中力が起きなくなったりします。
ちなみに漢方では、ストレス耐性が低くなる肝気の高ぶりや気の滞り、血の不足や滞りなどが精神不安につながると考えます。

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更年期のトラブルを対策する漢方薬5選

漢方薬には、更年期ならではの精神症状に働きかけ、高ぶりがちな神経を落ち着かせたり、沈んだ心を整えたりする種類があります。体質や気になる症状に合わせて、取り入れてみましょう。

イライラなどの神経症や肩こりが気になる人に

■加味逍遙散(かみしょうようさん)

不眠やイライラ、不安といったメンタル不調のほかに、冷えやのぼせ感、肩こり、疲れやすさなどの症状が気になる人に役立つのが加味逍遙散。婦人科三大漢方薬のひとつで、女性ホルモンの変動によってあらわれる不調に役立つ処方です。

加味逍遙散は、上がりがちな気を降ろして全身にめぐらせ、余分な熱を冷やし、不足している血(けつ)を補うことで、カラダのバランスを整える漢方薬。交感神経の興奮によるイライラや不眠症など、更年期女性の神経症状によく用いられます。また、のぼせを鎮めて血行を促進する働きも。更年期だけでなく、疲れやすい人にもおすすめです。

胃腸が弱く、ちょっとしたことで怒ってしまう人に

■抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

加味逍遙散と同じく、自律神経の乱れでイライラや不眠、緊張、怒りっぽいといった精神症状に使われる漢方薬。胃腸がやや弱いなどの虚弱体質の人におすすめの処方です。

抑肝散加陳皮半夏は、高ぶりがちな肝気を抑えることから「抑肝」という名がついています。神経を落ち着かせることで興奮や怒りを鎮め、更年期の症状を改善する効果が期待できるでしょう。更年期の不調以外にも、子どもの夜泣きや神経症、かんしゃくを和らげたいときにも役立ちます。

ホットフラッシュやほてりを伴う更年期不調に

■知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

加齢とともに失ったカラダの潤いや栄養を補い、更年期に多いホットフラッシュなど顔や手足のほてりを改善する漢方薬です。生命エネルギーの「精気」が不足すると、のぼせやほてりの症状があらわれがち。そうした症状に適応した処方「六味丸」に、知母と黄柏を加えたのが知柏地黄丸です。

漢方薬を使い分けるなら、ストレスやイライラする人のホットフラッシュには加味逍遙散を、全身のほてりや口渇がある人のホットフラッシュには知柏地黄丸が向いているでしょう。また、知柏地黄丸は、ほてりやすい方の頻尿や排尿困難、むくみの症状にも用いられます。

血行や代謝が悪く、冷えが気になる人に

■当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

更年期の貧血や冷え、めまい、頭重感の強い人に使われることが多い漢方薬。冷えや生理不順につながりやすい「血」の不足を補い、カラダのすみずみまで栄養や熱を届ける働きが期待できます。

また、血行を良くすると同時に、水分代謝を整えることで、足腰の冷えや生理不順、気血水のめぐりを改善。更年期の精神不安だけでなく、顔が青白い、月経量が少ないといった不調にも使われることが多い処方です。

冷えを伴う生理痛、しみ、肩こり、打ち身などに

■桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

しみやアザができやすい、冷えている場所とほてっている場所がある、生理痛がつらいといった、「血」のめぐりが悪くなって起こる不調に役立つ漢方薬。血が滞ると、いわゆる「冷えのぼせ」が起き、血流の乱れによって肌にも栄養が行き届かなくなります。

桂枝茯苓丸は、血のめぐりを促すことで不調を改善。PMSや更年期のイライラを改善したり、下半身の冷えを改善したりと、血流のバランスを整えます。また、ニキビやしみなど、栄養不足で起きていた肌悩みにも効果が期待できるでしょう。

完璧主義はいったんお休み。何もしない空白の時間を作ろう

慢性的な不調は「少し休憩しようよ」とカラダが送っているサイン。次から次にタスクをこなす姿はとてもカッコいいのですが、そんなパワフル女子にも休みは必要です。完璧を目指しすぎる時ほど、いったん立ち止まって休む「空白の時間」を意識的に作りましょう。何でも抱え込むのではなく、たまには「断る勇気」も大切ですよ。

そして、エストロゲンの減少によって不足しがちなセロトニン分泌を増やすには、セロトニンの材料となる必須アミノ酸の一種「トリプトファン」が豊富な食材を積極的に取り入れるのも有効です。

[トリプトファンが豊富な食材]

  • ・マグロなどの赤身魚
  • ・豆腐、納豆、みそなどの大豆製品
  • ・チーズやヨーグルトなどの乳製品
  • ・ナッツ類

おすすめの食材については、「薬膳食材図鑑」をご覧ください。

それから「朝日を浴びる」習慣も、体内のセロトニンを増やす効果が期待できる行動です。日照時間が短い冬は、とくに朝日を浴びることを意識して過ごしましょう。

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