【アロマの第一人者・宮川明子さんが実践する】自然の香りを活用する『アロマ生活』とは

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日本でまだまだアロマエッセンスが普及していない頃から、フランスへ精油を買い付けに行って自分でブレンドし、妊娠・出産時の女性の体と心のケアをしてきた宮川明子さん。現在は僧侶となって、より自然な生活を提唱しています。そんな宮川さんが実践する、自然の香りを活用したアロマ生活について教えてもらいました。

全身のオイルマッサージを取り入れると、自然出産を待つ妊婦がリラックスするように。

「人間は、生まれてすぐに働くのは味覚と嗅覚と触覚です。お母さんのおっぱいの味と香り、そして触った感覚がわかります。その中の嗅覚は、脳の大脳辺縁系に直接伝達されるもので、動物的な生きる力とすごくつながっています。おっぱいって、お母さんが食べた食べ物でにおいも味も変わるんです。そんなおっぱいを毎日飲んでいるうちに、嗅覚がどんどん発達していきます。だから『これ嫌だな』と思う香りって、からだにもあまり良くない。『これいい香りだな』と思うものは、からだに良い作用をするのです」

鍼灸マッサージ師の資格を取り、妹さんと一緒に助産所を開き、より良い自然出産のためにアロマを活用してきた宮川明子さん。

「いいお産をするためには、妊婦さんをリラックスさせなければいけません。しかし、妊婦さんはなかなか頭の中を空っぽにして、からだの筋肉をゆるめることができない。そこで、妊婦さんに全身のオイルマッサージをしていました。そうすると、気持ちがゆるんで、妊婦さんは気持ちよく寝てしまうようになったのです」

植物は、動物と違って動くことができません。そのため香りを発散して、植物を傷つけようとするものから身を守っているのだとか。その香りは、植物によって様々ですが、消毒殺菌効果や忌避効果などがあります。

「精油というのは、植物の香りを人工的に濃縮したものです。簡単に香りが得られて使いやすいですが、香りが強すぎる。嗅覚というのは疲労する器官ですから、心身を本当にリラックスさせるのは淡い香りなんです。そのために、精油を使う時はごく薄くして使うことをおすすめしています」

生活の中で、 摘んでもいい葉っぱに出合ったら、冷凍して自然茶づくり

助産所の経営や鍼灸マッサージ師としてだけでなく、日本のアロマテラピー界の第一人者として30年近く活躍した後、スリランカで出家して僧侶となった宮川さん。現在は、四国の瞑想センターとスリランカを行き来する生活を送っています。

また、妹さんと一緒に産前産後の女性を支える「ドゥーラ協会」を運営しています。ここで重要なのは食事です。食べたものはお母さんの血液になり、おっぱいになる。お母さんが人工的でない自然な食材から作ったものを食べていれば、それが赤ちゃんの大脳辺縁系に作用し、生きる力を育むのです。

「お母さんが毎日違うものを食べることで、おっぱいのにおいが変わる。それと同じで、ハーブティーを飲む時も、毎日変化させた方がいい。そういう感性を豊かにするような生活がアロマテラピーになるのです」

しかし、食べるものも淹れるお茶も、必ず自然なものがおすすめ。

「スリランカでも四国でも、いたるところにいろいろな薬効成分を含む植物が自生しています。東京のど真ん中の駐車場などでも、クワの葉やドクダミ、ヨモギなどを見つけることができます」

それらを干してもいいし、干すのが面倒なら、そのまま煎じたり、ポットに入れてお湯を注ぐだけでもいいのだそうです。

「四国にいる間には、クズの花に出合うことができます。クズの花もいい香りです。それを干しているとお部屋はいい香りに満たされるし、クズの花のお茶ってイソフラボンが多いから、女性にはとてもいい効果が期待できます」

以前は、植物の葉を蒸して手間ひまかけてお茶を作っていたそうです。でも、「要は細胞壁を壊して成分を出せばいいのだと」気づいてからは、多めに採ってきた葉をビニール袋に入れて、空気を抜いてから冷凍庫で保存しているそうです。

「冷凍庫から出した葉っぱをグシャグシャとさせれば、美味しいお茶が飲めます」

乾燥する季節には、加湿器やお風呂に自然茶を入れる

「雑草ならば採っても怒られませんし、生垣から出てきているものなどは『これもらっていいですか』って聞くと、『どうぞどうぞ』といって、いくらでももらえます」

しかし、植物の名前を知らなければ、どの葉がどんなお茶になるのかもわからないものです。

「最初は、売っているクレソンや大葉などを冷凍してもいいのですが、ベランダでもあれば大葉など簡単に無農薬で作れますね。大葉の香りは、気を和らげてくれたり、頭をクリアにしてくれます。お茶として飲むだけでなく、茂りすぎて葉が硬くなったら、ミキサーにニンニクと松の実とオリーブオイルと塩を一緒に入れて、ジェノベーゼにすればいいですね」

また、硬くごわごわだった葉は、入浴剤にするのもいいそうです。ネットに大葉をたっぷり入れて、少し干しておくだけ。

秋から冬の間は、乾燥がひどくなる季節です。そんな時は加湿器に自然な葉で淹れたお茶を入れれるといいそうです。

「温かい湯気が出る加湿器にアロマオイルなんて垂らしたら、加湿器が壊れちゃいます。お茶を入れればいいんです。例えば、毎日違う種類のハーブティーを入れたり、冷凍した葉で淹れたお茶を入れてもいい。買ってきたラベンダーの花でお茶を淹れても、微かな香りをお部屋に満たすことができて、とてもリラックスすることができます」

寒くなれば、お風呂や足浴にしっかり浸かりたくなりますが、そんな時、菊の花を浮かべれば一興です。また、雑草としてあまり喜ばれないセイタカアワダチソウも、花の部分を冷凍して、入浴剤として使用すれば、からだも心もポカポカ。

植物って、ほとんどが薬のもと。冷えている時や睡眠に問題がある時など、シャンプーをした後でも、自然の入浴剤を入れたお湯をかぶって、香りを少し残すぐらいにしてからお風呂を上がるといいでしょう」

睡眠に問題があるなら、ツルドクダミで作ったお茶がおすすめだとか。

「自然の葉の香りですから、肌にもいいんです。入浴剤なんて買わなくても、野草やベランダで育てた植物で十分。もちろんお塩と混ぜたり、重曹と混ぜたりしてもいいですね。そうやって自然な香りを楽しみ、活用するすべてが『アロマ生活』です」

宮川明子

宮川明子さん
プロフィール
鍼灸師、東洋医学・植物療法研究家、シュタイナー教育研究家、アロマセラピスト、レイキマスター。現在は僧侶として、瞑想を中心に各地で活動
https://dhammaway.amebaownd.com
https://www.therapynetcollege.com/courses/ch/ch434.html

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