【HSP(敏感気質)の方へ】HSP研究家・上戸えりなさんに聞く「自分らしく生きるコツ」とは

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細かいことが気になってずっと引きずったり、人付き合いに疲れてしまう……それは敏感気質(HSP)のせいかもしれません。ご自身も敏感気質で、HSPの研究をしながら情報発信をしている上戸えりなさんに、敏感体質を軽減し、自分らしく生きるコツを教えていただきました。

良い面がたくさんあるHSP気質を認めて自分らしく生きる

何人かの人が自分の方を向いて話していると「私のことを話してる?」と気になったり、大きな音や強いにおいが苦手だったり、「私の言葉は、あの人を傷つけたんじゃないかしら?」と、クヨクヨ悩んだりすることはありませんか?

そんな繊細すぎる気質は「HSP(Highly sensitive person)」と呼ばれます。

『HSPの教科書』や『HSPさんがママになりまして……』などの著者である上戸えりなさんは、昔から敏感さや繊細さ、共感性が高く、生きづらさを感じていたそうです。

心理学を学んでいた大学生の時に、インターンシップで虐待を受けた子たちが生活をしている施設へ行ったところ、その子たちに共感しすぎ「ずっと泣いている始末」。

小学生の頃も、友達が叱られているのに上戸さんまで泣いてしまうこともあったそうです。

上戸さんが、自分の生きづらさの理由がHSPだと気づいたのは、エレイン・N・アーロン博士というHSPの提唱者の本と出合ったことからでした。

「本を読んで一番響いたのは、気にしすぎ、考えすぎ、深く悩みすぎなどは、『気にしなければいいよ』って。それまでは、『鈍感力をなぜつけようとしないの?』と言われ続けてきましたが、それができないのは、私がダメだからではなくて、そういう気質なんだと。それを知ったときの安堵感は、今でもはっきり覚えています」

「ただHSPといっても人それぞれです。これは病気ではないので、『私は敏感すぎる?』と気づいたら、それを否定するのではなく、自分らしく生きるコツを見つけることと」と、上戸さん。

感受性が強かったり、相手のことを思いやることができるなど、HSPの人には良い面がたくさんあります。それを長所と考えて、前向きに生きていく方法を、上戸さんは提案しています。

自分がHSPかどうか知るためのチェックリスト

HSP(敏感気質)には、大きく分けて4つの特徴があります。他人がどう言っているかではなく、自分はどう思うかで、下記の項目に当てはまるかどうか確認してみましょう。

深く考え込みやすい
相手の言葉の裏を考えたり、「人生とは?」「生きる意味とは」など、深く掘り下げる傾向があります。
□相手が驚くような深い質問をする
□行動を起こすまでに時間がかかる
□いろいろな可能性を考えて、なかなか決断できない

共感・同調しやすい
感受性が豊かで、人のことを自分のことのように感じる共感力に優れています。人から悩みを相談されると落ち込んでしまったりすることも……。
□物事、出来事の意味を深く感じ取る
□周りの人のストレスによく気がつく
□人の心を読むことに長けている

ささいな変化に気づきやすい
人の表情や声音などの変化に気づき、「私のせいで不機嫌なのかも」と悩みがち。相手の本音がなんとなくわかってしまうことも……。
□人や場所などの変化に気づく
□相手の表情から本心に気づきやすい
□PCを打つ音などささいな音が気になる

強い刺激が苦手
大きな音やにおいに敏感なため、人ごみが疲れやすく、親しい友人でも長時間一緒にいると疲れてしまうことも……。
□大きな音が怖く、過剰に驚いてしまう
□人と一緒にいると1人になりたいと思う
□人に見られていると本来の力を出せない

敏感気質とよく似た症状に、「うつ」があります。落ち込んで長期間立ち直れないほど、思いが“深く・強い”場合は、うつを疑って、一度、医師の診断を受けてみましょう。

繊細すぎる生まれつきの気質は、努力で変えることはできません。でも、気質は考え方や対処法を身につければカバーすることができます。

※敏感気質かどうかわからなくても大丈夫です。自分の気質に気づくきっかけとして利用してください。

敏感力を軽減させる生活のコツとママとして実践していること

そこで、上戸さんに敏感気質と向き合い、少しでも軽減する方法を教えてもらいました。

「とても敏感になってめまいがする、頭痛がする……などの状態の場合、体調が関わっていることがあります。例えば、睡眠不足だったり、栄養が足りていない、ミネラル不足、といった原因で自律神経のバランスが悪くなり、いつもより敏感になってしまうのです」

自分と向き合う時、心のチェックだけでなく、ちゃんと睡眠は取れているか? 食事はバランスよく食べているか? ちゃんと栄養を摂っているか? といった、体のチェックも必要ということです。

「そのうえで、すぐに結果を求めないことです。徐々に、ゆっくりでいい。どんどん自分を甘えさせてください。自分で自分を褒められるようになったら、『自分の気質が気にならなくなった』という方は多いのです。心のことも体のことも、完璧じゃなくていい。ゆっくり向き合って、少しできたら自分を褒める。それを続けてください

自分を褒めたりいたわることは、とても有効な方法です。そして家族のためにもなります。

例えば、受験の子を持っているお母さんなら、その時のタイミングで更年期症状とぶつかって、全部のバランスがわからなくなり、そもそも何で悩んでいるのかさえわからなくなっていく。そんな方がたくさんいるそうです。

HSP(敏感気質)で、ずっと生きづらさを感じてきた上戸さんも、いまは4人の子のお母さん。しょっちゅう悩んで迷走しているそうです。

「でも、いま私は、子どもたちのおかげで、おおざっぱになる練習をさせてもらっています。もしも子どもが一人だけだったら、完璧を目指してすごい過保護になっていたかもしれませんが、4人もいるから(笑)。一人ひとりをじっくり見れないから、自然に手を抜いている状態ですね」

そして、夜は一人きりでのんびりできる時間を持っているそうです。

上戸さんのようにめまぐるしい生活をしていなくても、結婚していなくても、若くても高齢でも、自分なりの生活の中で、自分をいたわる時間を持つことが必要。

「HSPさんてね、一人反省会がとても上手なんですよ。あの時ああしておけばよかった……。子どもにあんなにキツく言うんじゃなかった……。私ってダメな母親だ……。それを引きずって、引きずって」

そんな方へのアドバイスとして、例えば、“一日一言をノートに書く”“自分を褒めるだけの日記をつける”など、自分の心をアウトプットすると良いのだとか。

「女性は普通、おしゃべりでアウトプットする方が多いですが、HSPさんは聞き役になりやすいんです。すぐ相手のために話を聞いて、疲れちゃう。そういう方、すごく多いんですね」

だから一人時間を大切にして、ノートにアウトプットしたり、高級なお茶でほっとしたり、海外のドラマを楽しんだり、「自分にご褒美をあげてください」。

「漢方薬に頼るのも一つの方法」と上戸さん。

「めまいや頭痛がしたり、寝つきが悪かったり、不安がつのった時に、漢方薬を利用することでバランスが整い、前を向けるなら、自分に合った漢方薬を見つけておくといいですね。病院でも漢方薬を処方するぐらいですから」

特に、子どもの受験時期と更年期がかぶっていると、無意識に頑張って、頑張って、ツラさを抱えている方は多いそうです。

「薬や病院に抵抗のある方もいますが、その時期を乗り越えるために利用することは、自分にとってだけではなく、家族のためにもなると思います」

敏感気質を軽減させる工夫のしかたがわかってきた上戸さん。本も「昔の自分に教える」つもりで書いているそうです。

「敏感気質と仲良くなったといっても、チクッと心に刺さる痛みは変わりません。何しろ気質なので、完全になくなることはないのです。ただ、その傷口にすぐに絆創膏が貼れるようになったり、早く治す工夫は自分でできるようになります。それを敏感気質の方々に見つけて欲しいですね」

上戸さんのSNSには、HSPの方へのアドバイスがたくさん載っています。一度チェックして見ては?

上戸えりな

上戸えりなさん
プロフィール
HSP研究家。関西国際大学心理学部卒業。沖縄生まれで、現在も住んでいる。4児の母。自身も敏感気質であることから、主にSNSで発信を行なっている。著書に『HSPの教科書』『HSPさんがママになりまして……』(ともにClover出版)。
オフィシャルブログ:https://ameblo.jp/kamitoerina/
X:https://x.com/elinaokinawa
Instagram:https://www.instagram.com/hsp_elina/

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