秋に起こる肌荒れの原因とは?

vol. 002

2022/10/28

秋に起こる肌荒れの原因とは? 秋の夜長に自分の肌をいたわりませんか

全国の行楽地では紅葉が見頃を迎え、すっかり秋めいてきました。ジリジリと照りつけるような日差しも、じっとり汗ばむような蒸し暑さも無い、とても過ごしやすい季節ですが、油断は禁物。実は、この時期のお手入れ次第で、真冬に向けての肌の状態が大きく変わってくるのです。夏の間に受けた肌のダメージは、涼しくなったからといって簡単にリセットされるものではありません。真冬ほど空気が乾燥しておらず、肌に刺激を与える北風も吹かない秋の間こそ、冬に向けての“肌準備”を整えておくべきなのです。秋の夜長、自身の肌を優しくいたわりながら、うるおいをチャージしませんか。

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目次

寒暖差? 花粉? 秋の肌荒れの原因とは

「ゆらぎ肌」という言葉を耳にしたことはありますか? 医学的な用語ではありませんが、肌が非常に不安定な状態となり、些細な外的刺激にも肌が過剰に反応することを表す言葉として用いられています。
肌には、乾燥や紫外線から皮膚の組織を守るために、様々な“防衛機能”が備わっています。特に夏場は、紫外線から肌を守るためにメラニンの分泌量が増えたり、角質が厚くなったり、気温の影響で皮脂の分泌量が増えたりと大忙しの状態。ところが、秋になって気温も紫外線指数も下がり、空気が乾燥気味になってくると、フル回転だった肌の機能が不安定になり、ちょっとした刺激でカサつきやピリピリ感、ゴワゴワ感など、肌荒れの症状が生じるようになるのです。
秋のゆらぎ肌がもたらす肌荒れの原因としては、以下のようなものが挙げられます。

<寒暖差>

地域によって異なりますが、東京を例に挙げると、10月の平均気温は20℃前後・最低気温は10℃前後。11月になると平均気温16℃前後・最低気温8℃前後と、1日のうちに8~10℃ほどの寒暖差が生じます。同時に、相対湿度も70%RH未満の日が増えてきます。
肌は、肌表面の皮脂膜や角質層中の天然保湿因子、細胞間脂質の働きによってうるおいが保たれています。また、細胞間脂質には肌を外的刺激から守る「うるおいバリア機能」が備わっています。1日の寒暖差が大きいと、これらの機能も乱れがちになって、肌のコンディションが悪化しやすくなるのです。

<花粉アレルギー(花粉症)>

くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが代表的な症状である花粉アレルギーですが、花粉に触れる機会が多い顔(特にまぶたや頬)、首などにも「花粉皮膚炎」が現れることがあります。
花粉症と聞くと、スギ花粉の量が一気に増える春の疾患と思われがちですが、秋~冬はブタクサ花粉、ヨモギ花粉などが飛散する季節。鼻水や目のかゆみなどの症状は無いのに、皮膚症状だけが現れる人も多いようです。

<エアコン>

前述の「寒暖差」に近い要因ですが、エアコンで暖房している部屋に長時間いると、部分的に温風が当たり続けることでその周辺の肌だけが異常に熱を帯びたり、室内全体が乾燥気味になったりすることで、肌のうるおいバリア機能が乱れがちになります。

秋におこる肌荒れの対策とは

前項で述べたように、うるおいを保つ機能やバリア機能が不安定な状態になっている肌に、大きな寒暖差や室内・外の乾燥、花粉などの外的刺激が加わることによって、秋の肌荒れが引き起こされます。
したがって、肌の状態を落ち着かせる(整える)ことと、外的刺激を減らすことの2点が、秋の肌荒れを抑えるための二大対策と言えるでしょう。それぞれのやり方についてご紹介します。

<肌の状態を整える方法>

●睡眠をしっかりとる

睡眠時間や睡眠の質は、肌のコンディションと密接な関わりがあります。ターンオーバー(皮膚の新陳代謝)のサイクルを司る成長ホルモンは、深い眠りに入っている時に分泌されるので、睡眠不足や質の悪い睡眠が続くと、ターンオーバーのサイクルも乱れがちになるからです。
過度のストレスも、血管の収縮や体温・血圧の上昇、筋肉や皮膚の緊張状態などを生じさせ、肌に十分な血液が供給されなくなる恐れがあります。
就寝前に軽い運動をして、筋肉や皮膚の緊張を緩和させる、入眠前にスマホなど光を発するものを見ないなどの対策で、質の良い睡眠を十分に取るようにしましょう。

●お風呂上がりにはすぐ保湿

お風呂上がりの肌は、入浴前よりも水分が蒸発しやすい状態になっています。肌の表面は皮脂の薄い膜で覆われていて、肌内部の水分が必要以上に蒸発しないよう“ふた”の役割を果たしているのですが、この皮脂膜が、入浴によって流れ落ちてしまうからです。
お風呂から出たらすぐに、化粧水やボディクリームなどを塗り、水分の蒸発を抑えましょう。マッサージオイルを使ったセルフマッサージも、血行が良くなって肌のトーンアップにつながるオススメの対策です。

<外的刺激を減らす方法>

●ボディ洗浄時にこすり過ぎない

入浴時、スポンジやタオルでゴシゴシとこするのは、紛れもなく「外的刺激」の1つ。肌のうるおいバリア機能を維持する上で重要な肌表面の角質層が、こすり過ぎることによって傷ついてしまいます。
顔はもちろんボディも、「やさしく洗う」のが鉄則。ボディウォッシュや石けんは、まずしっかりと泡立て、泡で包み込むようなイメージでやさしく丁寧に洗いましょう。また、乾燥によって肌荒れが気になる方は、高保湿ボデイウォッシュの使用をオススメします。

●低刺激なスキンケアアイテムを使う

エタノール(アルコール)や香料の入っているスキンケアアイテムを使うと、肌には刺激になる可能性があります。
スキンケア用品を選ぶ際は成分表示を確認し、エタノール(アルコール)フリー、香料フリーなどの表示を確認しましょう。

●花粉を自宅室内に持ち込まない

秋~初冬に飛散量が増えるブタクサやヨモギは、河川敷や公園などに自生することが多い植物。そういう場所にできるだけ近づかないことが最大の対策ですが、どうしても花粉は、風に乗って色んな場所に拡がっていきます。
自宅の室内に花粉を持ち込まないよう、玄関先で上着やパンツなどをパンパンとはたき、帰宅後はすぐに洗顔して花粉を洗い流すようにしましょう。

秋の夜長のおうち時間は、
リラックス&ケアを楽しもう

忙しい日が続くと、洗顔も入浴も、その後のスキンケアも、ついつい雑になりがち。過ごしやすい気候の秋こそ、おうち時間をより充実したものにするため、自分をケアするよう心配りをしてみませんか。自宅ではリラックスした気分で過ごし、質の良い睡眠を十分にとるようにすれば、ホルモンバランスの面でも自律神経の面でも、肌にとってプラスの効果が生まれてきますよ。

●身体を温めてくれる飲み物でホッと一息

ジンジャーティーは、身体を温めてくれる飲み物の代表格。生姜に含まれるショウガオールという辛味成分が、身体を温めたり代謝を高めたりする効果を持っているからです。最初からジンジャーティーとして販売されている商品でもOKですが、自分の好きな銘柄の紅茶に、パウダーやチューブ入りの生姜をプラスして、オリジナルの風味を楽しむのも楽しそうです。
ホットココアもオススメの飲み物。カカオ豆に含まれるテオブロミンという成分には、血管を拡張して血行を促す効果が認められています。血行が良くなれば身体も温まりますし、自律神経を整える効果もあると言われています。
赤ワインに含まれるポルフェノールも同様に、血液の循環を良くする効果が期待できる成分の1つ。お酒なので、量が多すぎると逆に睡眠の質を落とす一因となりますから、ホットワインを1杯だけ、シナモンやクローブなどのスパイスを加えて楽しんでみるのはいかがでしょうか。
ちなみに、秋~冬にはホットミルクを愛飲する女性も多いようですが、これは身体を温める飲み物としてカウントしない方が良いでしょう。確かに、飲んでしばらくは身体が温まりますが、血中のカルシウム濃度が急激に高まると、血管が収縮して血行が妨げられやすくなります。そのため、入眠後に足先や手の指先が冷えやすくなるのです。
ホットコーヒーや熱い緑茶も、交感神経を刺激して、身体を覚醒状態にするカフェインの濃度が高いので、オススメしません。

●アロマの香りでリラックスし、質の良い睡眠を

アロマのリラックス効果は、医学的にもある程度まで解明されています。自律神経やホルモンバランスのコントロールを司る視床下部に、アロマの芳香成分が直接働きかけるという学術論文が多数出されているのです。
入浴時、ぬるめのお湯にアロマオイルを数滴垂らしたり、浴室内にアロマスプレーを一吹きしたりして、ちょっと長めの入浴で心身ともにリラックスしましょう。アロマオイルを使って、ふくらはぎや足裏の土踏まずのあたりをセルフマッサージするのもオススメです。
睡眠時、枕カバーの隅の方にアロマオイルを少しだけ垂らしたり、寝室にアロマスティックを置いたりするのも、睡眠の質を高める効果が期待できそうです。

●睡眠前のスマホやテレビはNG

寝る直前まで、スマホやテレビ、PCの画面を眺めている人も少なくはないようですが、これは睡眠の質を落とすNG行為。特に、部屋の照明を消した状態でスマホ画面などを眺めるのは、光による強い刺激を脳に与えて、交感神経を優位にしてしまいます。
副交感神経が優位な状態を維持しなければ、質の良い睡眠はもたらされません。入眠時も交感神経の方が優位だと、寝付きが悪いだけではなく呼吸や心拍数も下がらず、身体機能が回復しにくくなるのです。
「読書の秋」という言葉があるくらいですから、秋の夜長にはスマホを手放し、読書で心身を癒やす習慣を身につけてみませんか。

秋に起こる肌荒れの対策方法

まとめ

冒頭で述べたように、秋の肌は夏のダメージをリセットしきれずに、“ゆらぎ”の状態に陥りやすくなっています。そういう状態だからこそ、肌をいたわるためにどんなことをすべきか…ということに思いをめぐらせ、毎日の習慣の中に採り入れることが大切だと言えるでしょう。
平安時代の随筆「枕草子」はご存知ですよね。現代でも高く評価されている平安宮中文学の、随筆章段の秋の項には、「秋は夕暮。(中略)日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず」と綴られています。1000年以上も前から日本の女性は、秋の夜長をリラックスした気分で過ごし、風の音や虫の鳴き声を愛でる感性を磨いていたのです。
秋の夜長、慌ただしい日常から少しだけ離れて、ご自身の肌に向き合って素肌をもっと好きになりませんか。

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