くらしを豊かにするモノづくり #03 おくすりパクッとねるねる編
お子さまの服薬をサポートする商品「おくすりパクッとねるねる」。商品誕生までの苦労や部署を超えた連携、商品をお客さまに届けるまでの想いを聞きました。
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服薬補助食品としての
理想系を追求
「おくすりパクッとねるねる」の特徴を教えてください。
「ねるねるねるね」との大きな違いは3つあります。1つは混ぜる粉が1種類だけであることです。普通の「ねるねるねるね」は2種類の粉を混ぜて完成しますが、お薬を飲むのに2度も混ぜる作業を行うのは大変だと考えました。そこで、2つの粉の役割を1つの粉に付与した上で、賞味期限を持たせるための工夫をしました。
混ぜることで色が変わって膨らむ点は「ねるねるねるね」の価値ではありますが、本質的な提供価値は「自分で作って、変化を目で見て楽しむ」という点です。調査でも“作って楽しかった”という結果が得られたので、1剤で大丈夫だと思えましたし、服薬という用途を考えると、簡単に短時間で作れることが優先だと考え、最終的には1剤でみんなの意見が一致しました。
2つ目の特徴は、アレルゲンの特定原材料28品目不使用です。そして3つ目は、1食分の量を通常の「ねるねるねるね」の1/3に抑えたことです。そうすることで、1日3回使っても「ねるねるねるね」1個分の砂糖や摂取カロリー量よりも少なくなるようにしました。他にも、カルシウムを使わず、マスキング成分を配合するなど服薬補助食品としての使用に適した形にしています。
薬は全量を服薬できないと意味がありません。食後のお腹がいっぱいの時でも全量食べ切れることを想定すると、通常の「ねるねるねるね」の1/3は適切だったと思います。
苦味のマスキングはどのように行っていますか?
1番の特徴は泡です。水分の少ない泡沫に薬を混ぜることで、舌と薬の接触を抑えて味を知覚させにくくしています。粉薬は口の中で広がりやすかったり、むせることもあったりと結構飲みにくいんです。この商品は、粉薬をかたまりにしてスプーンで服用できるので、お子さま自身でも簡単に扱え、服用しやすいのも特徴です。
成育医療センターの先生のお話では、子どもが薬を嫌がる理由の一つに「じゃりじゃりとした食感」がありました。苦味のマスキングはできても、食感をマスキングできる商品は珍しいと思います。また、賞味期限が製造から24ヶ月あること、冷蔵保存しなくても外に持って行けるのも強みです。
想いをのせて
商品を届ける
印象的だったことはありますか?
成育医療センターの先生方のお話が印象に残っています。子どもたちは入院生活の中で、日々服薬することによりつらい思いをしている。そんな状況の中で「たとえ服薬であっても楽しみを持たせてあげたい」というお話を直接お聞きし、その想いが心に響きました。試作品をお渡しし「これなら楽しく飲めそう」「自分で作って飲めたことが子どもの自信になる」という言葉をもらった時に、すばらしい仕事をさせてもらっていると感じました。「ねるねるねるね」が貢献できることがありがたかったです。
ただおいしいものを作ればいいだけじゃなく、苦味のマスキングも評価しないといけないので試作は苦くて苦痛でした。ですが、病院への訪問時に入院している子どもたちを目にすると、毎回「この子たちのために何かできたらいいな」と身が引き締まる思いを感じました。本当に、世の中にこの商品が出て良かったです。
お客様に届けるために、モチベーションを高く保ち続けてこられたのは、会議の場で上司が「今村が責任者です」と言ってくれたからです。役割が明確になりましたし、責任を与えてもらえたことが嬉しかったです。その後、いろんな苦労や喜びがありましたが、常にいろんな方が助けてくれたおかげで、1人で課題を抱え込まず、喜びは2倍で今日まで来られました。
最初の打ち合わせから、今村さんは熱量が違ったんです。それで私も「迷惑をかけてはいけない」と奮い立ち、何よりも優先してホームプロダクツの全営業に情報共有をしてきました。今日の話を聞いて、それは「バトンをしっかりつなぐための熱量だったんだ」と気付きました。私自身も「たくさんの人の気持ちがつながってきた商品を、営業を通じてお客様に届ける」という経験を通じてたくさん勉強させてもらいました。
お客様の困りごとをきちんと解決につなげるという姿勢とそれを実現する商品を作り上げたことは素晴らしいと思います。単純に作るだけでなく、薬の効果を妨げない商品設計など徹底して工夫していることも今日の座談会で知り、改めてすごいことだと感じています。今村さんが積極的に旗振り役として奮起されていたことも印象的でしたね。