かぜの80~90%はウイルスによる感染によって引き起こされます。残りは細菌などが原因です。よく知られているインフルエンザウイルスをはじめ、ライノウイルス、アデノウイルスなど多くの種類が存在します。抗ウイルス薬で治療しようとする場合、それぞれのかぜの原因となるウイルスを時間をかけて特定し、それに合った治療薬を選ばなければなりません。
そのため、のどの痛み、せき、発熱、鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、たん、頭痛、悪寒、関節の痛み、筋肉の痛みといったかぜの症状を速やかに緩和させる目的で、一般的には総合感冒薬が用いられます。一方漢方では、かぜの状態は、気候や環境の変化に身体が対応できなくなって起こる状態の一つ、と考えています。そのため、身体本来の機能や免疫を高める作用によって、かぜの症状を緩和させていきます。まだウイルスが発見されなかった遠い昔、人びとは、かぜの症状を季節因子の一つである風が運んできた病邪(びょうじゃ)「風邪(ふうじゃ)」と考えました。
現在でも、かぜには「風邪」の文字が使われるのはこの名残といえるでしょう。