漢方について
東洋医学の主役といえる漢方。今、多くの医療機関で漢方薬が処方されるなど、東洋医学の可能性について大きな期待が寄せられています。この秘めたるパワーをもった漢方のことをもっと知りたいという方へ贈る、10分で読める漢方コラムです。
冬場は要注意、血圧・血管の漢方的養生法
生活習慣病と、冬場に血圧・血管のリスクが増えるメカニズム
寒さが厳しくなる冬場。この季節は、主に血圧や血管の問題が発生しやすいと考えられます。
寒くなると、体温を逃がさないために体表血管が収縮し、血圧は上昇。心臓の負担は大きくなります。ゆえに冬では狭心症や脳血管障害の発生率が他の季節より高くなるわけです。また、冬は汗の量が少ないため、口渇を感じにくく、水を飲む量が減って体内の水分量が不足する可能性も高くなり、合わせて冬では室外での運動不足、循環器系の機能(血液やリンパ液を体内で循環させる器官の機能)の病理変化、生活習慣病も発生しやすくなります。
しかし、冬であっても、漢方の考えに則った養生法を行い体質改善させることで、冬の寒さによる循環器系への悪影響を予防することが可能になります。とくに、動脈硬化によってこうした疾患のリスクが高い人にはおすすめしておきたいところです。
冬対策における漢方薬膳・飲み物の例
血流を改善
(食材例:生姜・くわい・黒きくらげ・チンゲン菜・酢・酒・唐辛子・にんにく)
唐辛子・生姜酒:乾燥した唐辛子5gと乾燥生姜10gを紹興酒500mLに漬けます。毎日1回、食後20mLを飲みます。
内臓の調子を改善、免疫力の増強
(食材例:そば・玉ねぎ・大根・えんどう豆・みかん・オレンジ・ゆず・ジャスミン)
朝鮮人参・りんご酢:りんご酢500mLに朝鮮人参乾燥スライス3g、にんにく300gを入れ2週間漬けます。毎日1回、にんにくを5個食べます。お酢を10mLぬるま湯100mLに入れて飲みます。
倦怠の改善、体力の回復
(食材例:小豆・はと麦・とうもろこし・里いも・へちま・とうがん・海藻)
山査蓮実(さんざれんじつ)のお粥:乾燥山査子(サンザシ)15g、蓮の実12g、小豆10gをミキサーで粉にして、お米20g、水500mLにつけて、とろ火で30分煮ます。そのあと自然に冷まし、500mLを3回に分けて、お粥として食べます。
消化不良の改善、食欲の回復
(食材例:大根・山査子・かぶ・オクラ・キャベツ・豆腐・トマト)
大根の煮物:大根100g、山査子20g、かぶ20g、オクラ20g、みかんの皮20g、豆腐80g、生姜10g・鶏肉100gを煮たものをお惣菜として毎日2回食事時に食べます。
衰弱虚症の改善、体力の回復
(食材例:いんげん・しいたけ・栗・松の実・黒ごま・卵・鴨肉・スッポン・貝類)
中華風紅焼羊肉(シシカバブ):羊肉300g、椎茸6g、唐辛子3g、大茴香2枚、山椒1g、ねぎ5g、生姜5gを合わせて紹興酒30mLで炒めます。お惣菜として毎日1回食事時に食べます。
貧血虚症の改善、体力の回復
(食材例:米・山いも・にんじん・ほうれん草・ぶどう・豚レバー・鶏レバー・黒糖)
朝鮮人参火鍋:鶏肉300g、にんじん50g、山いも80g、しいたけ30g、絹さや5本、生姜5g、ねぎ5g、朝鮮人参10g、なつめ3g、枸杞5g、山椒2gで炒め、紹興酒小さじ2をかけます。お惣菜として毎日1回食事時に食べます。
以上を漢方養生・薬膳の例とし、薬食同源の理論から、長年の経験で効果が高い天然の食材をうまく活用することで、冬の心臓・血管リスクを改善することが可能です。