漢方的視点から血液の健康を考える漢方から見た血行とは?
血(けつ)と血液は違う!?
漢方の考え方には、「血(けつ)」という概念があります。血(けつ)は、現代の西洋医学でいう血液だけを指すのではなく、血液に含まれる栄養素や、正常に血液が流れるかどうかといった意味も含んでいます。したがって、西洋医学でいう血液より、もう少し広い概念になっています。この血(けつ)が全身の組織や器官に栄養を与えると考えられており、血(けつ)に異常が起こると、
- 血(けつ)が滞る「瘀血(おけつ)」
- 血液や栄養分が足りなくなる「血虚 ※(けっきょ)」
※虚とは必要なものが不足しているという意味
などが現れるとされています。
「瘀血(おけつ)」とは?
瘀血とは、流れが滞った血(けつ)のことをいいます。西洋医学でいう血行不良も瘀血の状態といえます。この瘀血タイプの人にみられる特徴として、以下のようなものがあげられます。
- 顔色やくちびるが暗紫色
- 目のふちにくまがある
- あざやシミができやすい
- 月経不順などの月経トラブルが起こりやすい
- 舌が紫色をしていたり、舌裏静脈に緊張がある
上記のようなタイプの人は、以下のように血(けつ)が滞った場所でさまざまな不調が現れることがあります。
- 頭が重く感じる
- 頭痛が起きやすい
- 慢性的な肩こりに悩まされる
- くらくらとめまいがする
- 動悸がする
瘀血は、漢方では病理的産物とされ、体の内外で起こるさまざまな原因によって体内の血(けつ)が滞る現象といわれています。その原因として、以下のようなものがあります。
瘀血の主な原因
- 過度または長期にわたるストレスや緊張
- 慢性的な冷え
- 脂っこい食事
など
漢方では、「血(けつ)が滞った場所では痛みが発生する」とされており、肩こりや頭痛、月経痛なども瘀血によるものと考えられています。このような痛みのほか、シミや高血圧などの症状も瘀血によって起こるとされ、これらを緩和するために、血流に良いとされる生薬(活血薬)などを組み合わせた処方で対処しています。こうした処方により、体の正常な機能を取り戻すことで、健康な体に導いていくというのが漢方の考え方なのです。
「瘀血」は女性に多い?
女性には月経や出産など、特有の身体的機能・特徴があるように、男性と体のつくりが違います。そのため、漢方的な病理にも男女差があります。
女性は骨盤の底の部分に多くの静脈叢(細かい静脈の集まり)があります。これは、妊娠時に10カ月ほどの期間で胎児を成長させるほど、多くの血液を循環させる必要があるためです。このような構造の違いにより、女性は男性よりも血(けつ)の滞り、つまり「瘀血」が起きやすいとされています。男性でも瘀血による不調が現れる人はいますが、頭痛や肩こりのほか、月経時の痛みなど、女性のほうが瘀血による体の不調を感じやすいといえるのです。
「年のせい」とあきらめないで!
こうした瘀血による症状は、年齢を重ねることで現れやすいのですが、「年のせいだから仕方ない」と思って、まったく対策をしていない方も少なくありません。しかし漢方では、こうした症状の根本原因を明らかにすることで、体のはたらきを正常にし、改善できると考えます。
とくに、高血圧傾向のある方の頭痛・肩こり・めまい、冷えのある方の月経痛・月経不順・めまい・肩こりなどは西洋薬では対処が難しい症状ですが、漢方薬や生薬であれば、対応する効能・効果をもつものがあります。このような症状があるのにあきらめていた方は、ぜひ漢方薬・生薬製剤などを試してみてください。
漢方療法推進会では、瘀血による症状に悩むことのない充実生活を再び手にするため、会員店が懇切ていねいにサポートします。お近くの漢方相談薬局まで、ぜひお越しください。