お悩みの症状について
夜尿症(おねしょ)
夜尿症は夜間睡眠中に尿を漏らしてしまうことをいいます。日中意識があって尿を漏らす尿失禁と病理機序はよく似ていますが、意識の無い睡眠中の方がより漏れやすく発生しやすい疾患です。
尿は膀胱に貯蔵され、しかるべきときに排泄を行います。睡眠中については排泄をさせないように膀胱ははたらきます。しかし、膀胱の機能が弱っていると、尿と留めておく力が弱ってしまい夜間睡眠中の尿漏れが起こります。
漢方では膀胱の出口を縛って尿を留めておく力を約束機能と呼び、夜尿症は約束の機能不足として考えます。約束機能は内分泌系・泌尿器・生殖器系の臓器(腎)のエネルギー(機能)によって調節されています。腎の機能が不足すると約束機能が低下してしまい夜尿症が発生してしまうのです。
腎の機能不足は虚証といわれる虚弱体質や疲労状態、栄養不足状態の時に発生しやすくなります。下半身が冷える、疲れて元気が無い、発育が遅いといったことは腎の機能不足が原因であることが多くあります。
夜尿症の漢方治療としては、虚(不足)を補う治療が用いられます。夜尿は3歳以下の小児では病態とはいえません。大体3~6歳の頃に尿を出したり止めて溜めておいたりする膀胱の約束機能が備わってくるといわれているためです。6歳以上で虚証が見られる方や、高齢者の夜尿症には漢方治療を試す価値があります。