乾燥
夏のむっとするような湿気が薄れ、乾燥し始めたなと感じる秋。
肌や髪、口が渇くだけでなく、乾いた空気が体内に入り込んで「肺」を侵すため、
せきやたんなどの呼吸器系の症状が起こりやすくなるのです。
秋はこうした乾燥から体を守り、寒い冬に備えて免疫力をつけることが大切です。
食
秋に起こる肌のカサカサやかゆみ、空咳(からぜき)などのトラブルは、大気の乾燥である「燥邪(そうじゃ)」によるものと考えます。とくに呼吸をつかさどっている「肺」は、「燥邪」に侵されやすく、せきやたん、ぜんそくなどの症状を引き起こします。秋は、肌や「肺」にうるおいを与え、体の乾燥を防ぐ食べものをとるとよいでしょう。
体のうるおいアップ
- 梨
シャリシャリと水分を多く含んだ梨は、9月から11月が旬。直接的にのどをうるおして、声がれやせきを止めるのはもちろん、肌にうるおいを与える効果もあります。
生で食べるほか、まるごと煮てコンポートにするのもおすすめ。ただし、梨は体を冷やす性質があるため、食べ過ぎには気をつけましょう。
「肺」をうるおして、熱をとる
- れんこん
れんこんは、「肺」をうるおすとともに、乾燥して熱を帯びた「肺」の熱をとり去る効果があります。
とくに、捨ててしまいがちなれんこんのつなぎ目にはせきや鼻血、喀血を止める作用があり、乾燥したものは漢方薬として使われています。
きんぴらやはさみ焼きなどの料理に使えるのはもちろん、すりおろしてスープにしたり、小さく刻んでお団子やハンバーグに入れたり、さまざまな使い方ができるれんこんは秋のおすすめ食材です。
養生
- マスクをする
- 食事をしっかりとる
- 朝に果物を食べる
秋は、夏の汗で奪われたうるおいを補って、本格的な冬の乾燥に備えるとき。栄養豊富な食事や、うるおいをたっぷり含んだ果物で、しっかりと体づくりをしましょう。
また、免疫力をアップさせるには、鼻やのどの粘膜を守ることが大切です。マスクなどで、体を守りましょう。
秋のコラム
秋の乾燥と「肺」の深い関係。
秋になり、大気が乾燥すると、呼吸によって大気をとり込んでいる「肺」がもっとも影響を受けるといわれています。「肺」が乾燥して熱を帯びると、せきやたん、ぜんそくなどの症状が現れます。
こうした乾燥のトラブルを、東洋医薬学の古典である『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』では、「秋は肺の主(つかさ)どりとなり、肺は皮毛を生じ、鼻を主どり…」と記しており、秋と「肺」は深い関係にあることがわかります。つまり、大気の乾燥による肌のカサカサやかゆみ、鼻炎などの鼻トラブルも、実は根本として「肺」 が影響を受けているために現れる症状なのです。
そんな「肺」のトラブルが気になる秋には、「肺」をうるおす旬の味覚がたくさんあります。とくに、果物では梨、野菜ではれんこん、さつまいも、やまいも、ゆり根などがおすすめ。
本格的に寒くなる冬を迎える前に、「肺」を守って免疫力をアップさせておきましょう。