桂枝茯苓丸料加薏苡仁 基礎研究のご紹介
公開日:2022年12月28日最終更新日:2022年12月28日
桂枝茯苓丸料加薏苡仁は、にきび、シミ、手足の肌あれなどに効果的な漢方薬です。肌のシミには、多くの原因が知られています。クラシエの漢方研究所では、その中でも、日焼け止めだけでは防げないシミに対する、桂枝茯苓丸料加薏苡仁の効果について研究をしています。
<シミ対策への効果検証>
更年期、生理不順、妊娠期など、女性ホルモン(特に黄体ホルモン)が変動することでシミができます。
紫外線が目に当たることで脳からホルモンが分泌されるとシミができます。
❶女性ホルモンの影響によるシミ
月経期のシミが減少しました。
対象
健常女性12名(20~40歳)
方法
月経初日から次の月経期まで「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキス錠(4錠×2回/日)を服用し、定期的に顔面の色素沈着評価を全顔画像撮影解析システム(ロボスキンアナライザ™)を用いて行いました。
結果
月経初日から翌月の月経まで桂枝茯苓丸料加薏苡仁を服用したところ、服用していない周期に比べてシミの個数が減少しました。
(Means±SE, n= 12, paired t-test, *p <0.05)
❶女性ホルモンの影響によるシミ
黄体ホルモン変動による色素沈着が減少しました。
対象
雌の6週齢マウス
方法
黄体ホルモンをマウスに腹腔投与しながら、各薬剤を20日間経口投与し、21日目に耳の表皮の色素産生細胞数(Dopa陽性メラニン産生細胞)を比較しました。本試験では「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキス錠に使用しているエキスを投与しました。
◎なお、桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキスを服用しても、体内での女性ホルモン(黄体ホルモン・卵胞ホルモン)の分泌には影響を与えず、色素を生成する経路を直接抑制することを確認しています。
結果
生理不順や更年期・妊娠期などでみられる黄体ホルモンの変動によって生じる色素細胞のメラニン産生を抑制しました。
※Means±SE, n= 7-8, vs 未治療, *p <0.05, **p <0.01, ***p <0.001,Turkey検定
※各薬剤の投与量は、市販薬(OTC)のヒト1日服用量または成分の1日最大配合量の動物換算値を使用
~女性ホルモンの影響によるシミとは~
黄体期(排卵後から次回の月経までの約2週間程度)においては、黄体ホルモンが分泌され、体温は高温になり、体重増加、むくみ、イライラ、眠気、そして、シミやニキビを含む肌荒れが起きやすくなります。同じ現象が、妊娠期や月経不順においては強めに起きるため、その時期の肌荒れやシミが増えることがあると報告されています(J Invest Dermatol. 1966 47:147-55)。
一方で、桂枝茯苓丸料加薏苡仁は、正常な女性ホルモンのリズムには影響は与えずに、シミができるメカニズムを直接抑える働きがあると考えられます(Yakugaku Zasshi. 2011,131:1613-9)。
❷目に紫外線が当たって分泌されるホルモンによってできるシミ
色素産生刺激ホルモンによる色素沈着が減少しました。
対象
雄の6週齢マウス
方法
αMSHを腹腔投与しながら各薬剤を5日間経口投与し、6日目に耳の表皮色素産生細胞数(Dopa陽性メラニン産生細胞)を比較しました。本試験では「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキス錠に使用しているエキスを投与しました。
結果
目に紫外線が当たることで分泌される色素産生刺激ホルモン(αMSH)の投与によって生じる色素細胞のメラニン産生を抑制しました。
※Means ± SD, n = 10, ** p < 0.01, *** p < 0.001vs 未治療, Dunnett検定
※各薬剤の投与量は、市販薬(OTC)のヒト1日服用量または成分の1日最大配合量の動物換算値を使用
~目が紫外線にさらされてできるシミとは~
紫外線によるシミ対策の基本は、日焼け止めやUVブロックウェアを使って、肌を紫外線から守ることですが、目に紫外線が当たることも、全身のシミやそばかすの原因となることが知られており、以下のようなメカニズムが明らかとなっています(J Invest Dermatol. 2003, 120:123-7)。
- 目が紫外線にさらされた刺激が脳に伝わる
- 下垂体と呼ばれる部位から色素産生刺激ホルモン(αMSH)が血中に分泌される
- 血液を介して肌の色素細胞を活性化する
出典:
- 黄体ホルモンによる水分貯留と色素沈着誘発作用に対する桂枝茯苓丸料加ヨクイニンの効果
日本薬学会第129年会誌、2009, 3, p223、範本文哲、藤田日奈、小菅弘美、与茂田敏、森元康夫 - 女性の心身バランスと額部真皮水分変化
日本香粧品学会第32年会誌、2008, 32, p235-36、藤田日奈、小菅弘美、与茂田敏、糸村美保、寺島嘉宏、浜崎智仁 - Effects of keishibukuryoganryokayokuinin (gui-zhi-fu-ling-wanliao-jia-yiyiren) on the epidermal pigment cells from DBA/2 mice exposed to ultraviolet B (UVB) and/or progesterone
Hisayoshi Norimoto, Satoshi Yomoda, Nina Fujita, Hiromi Tohno-Kosuge, Seiwa Michihara, Masayo Kannari, Toshiki Okubo. Yakugaku Zasshi. 2011;131(11):1613-1619. - 黄体ホルモンによる色素沈着に対する桂枝茯苓丸料加ヨクイニンの効果
日本薬学会第56東北支部年会誌、2017, PB-05、李峰、千葉殖幹、藤田日奈、高橋隆二 - α-Melanocyte Stimulating Hormone誘導メラニン産生に対する桂枝茯苓丸加ヨクイニンの抑制作用
日本薬学会第142年会誌、2022, 27PO1-pm1-56、李峰、新口加奈子、日高葵、千葉殖幹、高橋隆二
※なお本内容は、あくまでも基礎研究に基づくものであり、すべての方に同様な効果を保証するものではありません。
また動物を使った試験に関しては、ヒトにおいて同様な効果があることを保証するものではありません。