温清飲 基礎研究のご紹介
公開日:2024年06月19日最終更新日:2024年06月19日
温清飲は、肌が赤くかさついて、かゆみが強い方の湿疹や皮膚炎に効果的な漢方薬です。アトピー性皮膚炎などの一部の皮膚疾患では、肌のバリアが壊れて乾燥が進み、強いかゆみが生じることがあります。このかゆみによって肌を掻きすぎて傷つけ、肌状態を悪化させ、さらにかゆみが増すという悪循環が生じることが知られています。クラシエの漢方研究所では、温清飲が我慢できないかゆみや肌の乾燥に対してどのように作用するのかを研究しています。
<これまでに確認できた温清飲の作用>
❶かゆみを鎮めて、掻き傷を早く治す
対象
アトピー誘発物質の塗布によるアトピー性皮膚炎モデル
マウスの背中にアトピー誘発物質DNFB*を含む有機溶剤を2週間に一度、計3回塗ることで、アトピー性皮膚炎を誘導しました。
* DNFB (1-fluoro-2,4-dinitrobenzene):アトピー性皮膚炎を誘発する物質
方法
3回塗布後、温清飲(1000mg/kg)を2週間飲ませた群と、飲ませていない群に分け、かゆみ(掻く回数)及び肌状態を比較しました。
効果➊-1 かゆみを抑制
方法
DNFBの塗布や温清飲の服用の有無で、皮膚を掻く回数を測定しました。
結果
DNFBを塗布すると掻く回数の顕著な増加が見られましたが、温清飲を服用することで、掻く回数を有意に抑制しました。
効果➊-2 傷の修復を早める
方法
DNFBの塗布や温清飲の服用の有無で、肌にできたかさぶた(痂皮*1)の治療10日後の重症度を評価しました。
*1 痂皮(かひ):炎症やかゆみによって傷ついた皮膚から漏れ出した体液や血液が固まった肌状態のこと。
結果
DNFBを塗布すると、痂皮面積が顕著に増えましたが、温清飲を服用することで、痂皮面積が早期に減少し、傷が早く治りました。
痂皮の形成メカニズム
➋肌バリアを回復し、肌の乾燥を改善
対象
皮脂と保湿成分除去による乾燥肌モデル
有機溶剤(アセトン・ジエチルエーテル)と水を、マウスの背中の皮膚に1日2回繰り返し塗布する事で、肌の乾燥を誘導しました。
方法
温清飲(1000mg/kg:1日量)を1日1回繰り返し飲ませた群と、飲ませていない群に分け、乾燥を始めとする肌状態を比較しました。
効果➋-1 肌の乾燥を改善する
方法
有機溶剤の塗布や、温清飲の服用の有無で、肌水分量を比較しました。
結果
有機溶剤を塗布すると、肌水分量が減少して乾燥が進んでいましたが、温清飲を服用することで、早期に肌水分量が回復し、乾燥が改善されました。
効果➋-2 肌のごわつき(表皮肥厚*2)を抑制
*2 表皮肥厚(ひこう):肌の表皮細胞が異常増殖することで、表皮層が分厚く固くなり、ごわついた肌状態になること。
方法
有機溶剤の塗布や温清飲エキスの有無で、12日後の表皮の厚みを測定しました。
結果
有機溶剤を塗布すると、表皮が厚くなっていましたが、温清飲を服用することで、表皮の厚みが改善しました。
効果➋-3 肌の粉ふき(鱗屑*3)を抑制
*3 鱗屑(りんせつ):肌の乾燥や皮脂不足で、皮膚の角層が剥がれ落ちたものや粉ふき状になっているもの。
方法
有機溶剤の塗布や、温清飲の服用の有無で、9日後の肌の鱗屑(粉ふき状態)の重症度を評価しました。
結果
有機溶剤を塗布すると、顕著な鱗屑の発生がみられましたが、温清飲のを服用することで鱗屑の発生を抑制していました。
出典:
- 谷川七海,李峰,新口加奈子,長谷川景太,千葉殖幹,皮膚の乾燥及びかゆみに対する温清飲の効果,医学と薬学,81(5),317-328,2024
※なお本内容は、漢方処方に対する基礎研究に基づくものであり、特定製品の効果を評価したものではなく、また人に対して同様な効果が得られることを保証するものではありません。