ヨクイニン基礎研究のご紹介
公開日:2022年5月23日最終更新日:2022年5月23日
肌あれとは、肌に炎症や乾燥が生じて、粉ふき状に角質が剥がれたり、ごわついている状態を指します。
洗剤や石鹸などに含まれる界面活性剤は、過剰な皮脂や汚れを落とす作用がありますが、使用しすぎると、肌のバリア機能が失われ、肌が刺激を受けやすくなります。このため、肌が赤くなったり、腫れて固くなったり、粉ふき状に角質が剥がれたり、肌の乾燥が進むなど、肌あれの症状を引き起こします。
クラシエの漢方研究所では、この界面活性剤を原因として生じる肌あれに対して、ヨクイニンエキスが、4つの症状を改善することを明らかにしました。
対象
界面活性剤塗布による肌あれモデル
洗剤などに含まれる界面活性剤のSDS(10%)を、マウスの背中肌に 5日間、1日1回10分間塗布する事で、肌あれを誘導しました。
SDS: Sodium Lauryl Sulfate
テスト方法
SDSを塗布し終わるまでの4週間、ヨクイニンエキス(500mg/kg)を飲ませた群と、飲ませていない群に分け、乾燥を始めとする肌あれの状態を比較しました。
ヨクイニンの効果❶
肌の水分を保持(肌の乾燥を防ぐ)
方法
SDSの塗布や、ヨクイニンエキス服用の有無で、肌の水分量を比較しました。
結果
SDSを塗布すると、肌水分量が低下し乾燥が進んでいましたが、ヨクイニンエキスを飲ませていると、水分の保持が認められ、肌の乾燥を防ぎました。
Means ± SD (n = 5), ###p < 0.001 vs. 正常群; * * * p < 0.001, vs. SDS塗布のみ; Tukey‘s test.
ヨクイニンの効果❷
肌のごわつき(表皮肥厚*1)を抑制
*1 表皮肥厚(ひこう):
表皮細胞が異常増殖することで、表皮層が分厚く固くなり、ごわついた肌状態になること。バリア機能も失われる。
方法
SDSの塗布やヨクイニンエキス服用の有無で、表皮の厚みを測定しました。
結果
SDSを塗布すると、表皮が約2倍に厚くなっていましたが、ヨクイニンエキスを飲ませていると、厚みの上昇を抑制しました。
Means ± SD (n = 5), ###p < 0.001 vs. 正常群; * * p < 0.01, vs. SDS塗布のみ; Tukey‘s test.
ヨクイニンの効果❸
肌の粉ふき(鱗屑*1)を抑制
*1 鱗屑(りんせつ):
乾燥や皮脂不足で、肌の角層がかさかさとして剥がれ落ちたものや肌あれで粉ふき状になっているもの。
方法
SDSの塗布やヨクイニンエキス服用の有無で、肌の鱗屑の重篤度を評価しました。
結果
SDSを塗布すると、顕著な鱗屑の発生がみられましたが、ヨクイニンエキスを飲ませていると、鱗屑の発生を効果的に抑制しました。
鱗屑増加スコア: 鱗屑の発生状態を「なし: 0」「軽度: 1」「中等度: 2」「高度: 3」「顕著: 4」の5段階で評価。
Means ± SD (n = 5), ##p < 0.01 vs. 正常群; *p < 0.05, vs. SDS塗布のみ; Steel’s post-hoc test.
ヨクイニンの効果❹
肌の赤み(炎症)を抑制
方法
SDSの塗布やヨクイニンエキス服用の有無で、肌の赤みと表皮への炎症細胞の浸潤を測定し、肌の炎症状態を評価しました。
肌の赤みを抑えた
SDSを塗布すると、肌の赤みが顕著に上昇しましたが、ヨクイニンエキスを飲ませていると、赤みの発生を軽減しました。
Means ± SD (n = 5), ###p < 0.001 vs. 正常群; *p < 0.05, vs. SDS塗布のみ; Tukey‘s test.
炎症細胞の表皮での出現を抑えた
SDSを塗布すると、表皮周辺の炎症細胞数が顕著に増えましたが、ヨクイニンエキスを飲ませていると、その数は減少しました。
Means ± SD (n = 5), ###p < 0.001 vs. 正常群; * * * p < 0.001, vs. SDS塗布のみ; Tukey‘s test.
出典:
- 新口加奈子, 李峰, 千葉殖幹, 藤田日奈, 高橋隆二, 肌の乾燥に対するヨクイニンの効果およびそのメカニズム, 日本薬学会第142年会, 26PO6-am2-12, 2022
- Li F., Nakanishi Y., Murata K., Shinguchi K., Fujita N., Chiba S.,Takahashi R., Coix Seed Extract Prevents Inflammation-mediated Skin Dryness Induced by Sodium Dodecyl Sulfate Exposure in HR-1 Hairless Mice. Planta Medica International Open, 2022, in press.
※なお本内容は、あくまでも基礎研究に基づくものであり、必ずしも人に対して同様な効果が得られることを保証するものではありません。