鼻づまり
公開日:2018年08月01日最終更新日:2019年08月01日
鼻づまりに効果的な漢方とは|原因と症状別に有効な漢方薬を紹介
息苦しく不快な鼻づまりについて悩んでいる方も多いのではないでしょうか? 「鼻がつまって眠れない…」など、日常生活に支障が出ることも少なくありません。この記事では、鼻づまりの症状に合う漢方薬などをご紹介します。
目次
鼻づまりの症状
鼻炎とは、その名の通り、「鼻粘膜に起こる炎症」のこと。鼻炎の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがよく知られています。なかでも、鼻づまりは、鼻の粘膜が腫れ、空気の通りが悪くなり鼻呼吸が困難になった状態です。鼻づまりになると、味覚が低下するといわれていますが、これは、鼻がつまってにおいがにおいを感知する部分(嗅上皮)に届きにくくなり、においがわかりづらくなった結果と考えられています。また、集中力の低下や、睡眠障害なども引き起こすといわれています。
鼻づまりの原因
鼻づまりの原因は多種多様です。かぜなどのウイルス感染、細菌感染、鼻アレルギーの慢性化、鼻粘膜や副鼻腔粘膜の炎症、精神的ストレス、緊張、気候の変化、疲労の蓄積、冷え、内臓機能の失調、食事の不摂生などが考えられます。
漢方医学で考える鼻づまり
漢方では、体の中の余分な「水(すい)」が鼻炎の原因のひとつであると考えます。「水(すい)」とは体に必要なすべての水分のことで、体をうるおすものです。「水(すい)」は、体のさまざまな排泄経路から外に出されますが、その排泄がうまくいかない人では余分な「水(すい)」が体にたまっていきます。余分な「水(すい)」は体を冷やし、体を守る力を低下させるため、体内に細菌やウイルス、アレルギー物質などが入りやすくなってしまうのです。
こうした刺激が体表をふさいで毛穴が閉じると、水分が十分に発散できなくなり、体の「水(すい)」がさらに増えてしまいます。すると、「水(すい)」はほかの通路から外に出ようとします。これが鼻からあふれたものが鼻水、たまったものが鼻づまりです。
鼻づまりの改善・治療方法
ここでは、鼻づまりの改善方法や治療方法をご紹介します。
鼻を温める・冷やす
水様の鼻水が出る鼻づまりには、鼻を温めると、鼻づまりが楽になることが多いです。鼻を蒸しタオルなどで温めると鼻孔が広がったり、粘膜の血流が良くなったりして、鼻の粘膜のうっ血が解消し、一時的に鼻の通りがよくなります。蒸しタオルのほどよい蒸気で加湿にもつながります。一方、粘った鼻水、慢性的な鼻づまりの場合は、冷やしタオルで熱をとることで鼻の通りがよくなります。
鼻うがいをする
鼻うがいを行うと、鼻の粘膜に付着したほこりなどの異物を洗い流すことができます。鼻づまりの改善とともに、鼻の粘膜を湿らせておくことで鼻腔内の乾燥を防ぐことができ、ウイルスの侵入を防ぎ、かぜの予防なども期待できます。鼻うがいのコツは、適切な濃度・温度の食塩水を使用すること、片鼻ずつ交互に行うことです。なかなかうまくできない方は、市販の簡単にできる鼻うがい専用の吸入器を使用してみるのもおすすめです。
ツボを押す
鼻づまりを解消するといわれている、犬歯の根本に位置して、左右の小鼻のくぼみにある「迎香(げいこう)」、もしくは、迎香のやや上に位置し、鼻の付け根の両側にある「上迎香(じょうげいこう)」というツボを押す方法も効果的です。指圧をするとスッキリとして、鼻の通りがスッと良くなり、鼻づまり改善に役立つとされています。
部屋の掃除をする
室内のダニやホコリなどのハウスダストは、とても小さく軽いため、空気中に舞い上がりやすいのが特徴。舞い上がったハウスダストを吸い込むと、アレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー疾患を引き起こしてしまうことも。ハウスダストは肉眼では確認することができません。溜まりやすい場所(寝室、カーテン、浴室、洗面所、クローゼット等)を重点的に掃除して、上手に除去しましょう。
食生活から改善する
鼻づまりを起こしやすい人は、粘膜が弱い体質と考えられます。β-カロテンには粘膜を丈夫にするはたらきがあるといわれているため、積極的に食事に取り入れましょう。また、緑茶に含まれるカテキンは抗菌力と殺菌力に優れておりおすすめです。
医薬品による治療
西洋医学では、鼻づまりには点鼻薬が用いられることがあり、即効性はありますが、血管収縮成分を配合している場合もあるため、何度も使っているとだんだん効かなくなる、鼻の粘膜が腫れてくるというデメリットもあると考えられています。長引く場合は早めに病院を受診し、治療を受けるようにしましょう。
一方、漢方では、「症状緩和」よりも「体全体にはたらきかける」というところを重要視しています。水分代謝を良くして体全体の調子を整えながら、鼻炎(鼻水、鼻づまり等)を改善していきます。また、眠くなる成分が入っていないのが漢方薬の特徴です。
鼻づまり改善に効果的な漢方薬
次に、鼻づまりに効果のある漢方薬を見ていきましょう。
鼻づまり、慢性鼻炎の方に
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
(体を温める「葛根湯」をベースにした処方で、余分な「水(すい)」が鼻にたまりむくんだ鼻づまり症状などに効果があります。余分な「水(すい)」の発散を促して、鼻づまりなどの症状を改善していきます。眠くなる成分は入っていません。)
比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎
一般的に「鼻づまり」に使われる漢方薬
「葛根湯加川芎辛夷」の解説を見る
鼻みず・鼻炎でお悩みの方に
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
(「水(すい)」によって冷えた部分を温めながら水分代謝を促すとともに、「気」を動かして、鼻水・くしゃみなどの症状を抑えます。眠くなる成分が入っていないので、就業時や車の運転をされる方にも適しています。)
体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症
一般的に「鼻づまり」に使われる漢方薬
「小青竜湯」の解説を見る
ちくのう症、慢性鼻炎の方に
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
(余分な「水(すい)」が鼻づまりを起こしますが、繰り返すことで「気」や「血(けつ)」の流れをさまたげ、たまった「気」が熱に変わります。余分な熱を冷やして追い出すとともに、鼻の通りを良くします。また、「気」をめぐらせることで、鼻づまりを改善していきます。首から上の炎症に効く処方なので、鼻づまりや濃い鼻水が出るなどのほか、扁桃炎やにきびなどにも効果が期待できます。眠くなる成分は入っていません。)
体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
一般的に「鼻づまり」に使われる漢方薬
「荊芥連翹湯」の解説を見る
まとめ
鼻づまりの改善方法や治療方法について参考になりましたか? 鼻づまりは我慢したり放置したりせずに、しっかりと原因を調べて適切な対策をすることが大切です。漢方薬でのケアもつらい鼻づまりに役立ちますので、一つの方法として選択肢に入れてみてください。