目次
- 多汗症とは?
- 多汗症は病気なのか?
- 自分が多汗症か見分ける方法
- 漢方でみる多汗の原因!あなたはどのタイプ?
- 汗っかきと多汗症の区別の仕方
- 何もしてなくても汗をかきやすい人の特徴
- 脇汗が多い理由と対策
- 汗タイプ別、原因とおすすめ食べ物など生活アドバイス
- 汗をコントロールする力を鍛えよう
人前で突然汗が吹き出してドキドキ…、汗をたくさんかくけど、カラダの冷えも気になる…、病気と言うほどではないけれど、悩んでいる人にとっては「汗っかき」という一言では片付けられないほど辛いものです。そんな汗の悩み、漢方の知恵で解決してみませんか?漢方的考えで汗のタイプを4つに分類!汗タイプ別の原因とおすすめ食べ物などの生活アドバイスをご紹介します。
多汗症とは?
気温がそれほど高くなく、カラダを激しく動かしたわけでもないのに、異常なほど汗をかいてしまうことを多汗症と言います。手足、脇下など限定した場所の汗の場合と、全身の汗の場合があります。
多汗症は病気なのか?
日常生活に支障をきたすほどの多汗が続く場合には、疾患として認められます。
多汗症には、原因が明らかなものとそうでないものがあり、原因が明らかなものは、他の疾患や薬剤などによって引き起こされる二次性多汗症と呼ばれます。原因が明らかでないものは、頭部や顔面、手のひらや足の裏などに限局した局所性多汗症と、全身に広がる全身性多汗症に分けられます。
局所性多汗症は、遺伝的な要素や自律神経系の異常が関係していると考えられています。特に腋の下などに多量の汗を分泌する人は、運動や食事などで汗の量を調節することが必要です。全身性多汗症は、生活習慣やストレス、緊張などが影響しているとされています。
自分が多汗症か見分ける方法
多汗症かどうかを見分ける方法は、以下のチェック項目を参考にしてください。
- ● 暑い日や緊張したときに、手や足がびしょびしょになる
- ● 手のひらや足の裏に汗が滴るほど出る
- ● 脇の汗が服に気になるほど染みてしまう
- ● 汗の量が日常生活に支障をきたす
- ● 睡眠中にも多量の汗をかく
これらに当てはまる場合は、多汗症の可能性が高くなります。多汗症は、生活習慣やストレス、ホルモンバランスなどが原因で起こることが多いものです。心当たりがある場合は、食事や睡眠、リフレッシュ等生活習慣の見直しとストレス軽減をお勧めします。状況によっては受診されてもよいと思います。なお、漢方薬による対処方法もあります。後ほど詳細を記述しますが漢方薬での対処をする場合は、自分の体質や状態に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。漢方薬は、他の薬と併用する場合の注意点や副作用がある場合もありますので、医師や薬剤師に相談してください。
漢方でみる多汗の原因!あなたはどのタイプ?
漢方の世界では、「五臓六腑」のどこかに不調があると汗の異常が起こると考えられています。そこで、漢方的考えで汗のタイプを4つに分け、それぞれのタイプに見られる不調の特徴や、それに対するアドバイスをご紹介します。 汗の悩みをしっかり解決したい!そんな人はぜひ漢方の知恵を取り入れてみてください。
1. エネルギー不足の「ぐったり汗」タイプ
・ちょっとカラダを動かしただけで疲れて汗が出やすい。
・カラダが弱く体調を崩しやすい、疲れやすい方には、補気薬(剤)例えば補中益気湯(補気健脾)、または冷え性で手足が冷たくて白い汗をかく人は温補薬(剤)例えば八味地黄丸
2. 更年期の女性に多くみられる「ほてり汗」タイプ
・突然カラダが熱くなって発汗する。
・不眠、イライラが強い。
・生理のサイクルが乱れてきた。
・更年期を意識し始めて、若い時は気にならなかった心身の不調が気になり始めた方には、理気薬(剤)、例えば柴胡桂枝乾姜湯
3. 余分な水分と熱が溜まった「ベタベタ体臭汗」タイプ
・きつい汗の臭いがしたり、黄色い汗染みが服につく。
・体臭や便の臭いが気になる。
・口の中がネバネバして気持ちが悪い。湿熱タイプで利湿薬(剤)、例えば 竜胆瀉肝湯
4. ココロとカラダが消耗している「ドキドキ汗」タイプ
・緊張するとドキドキして、汗をたくさんかいてしまう。
・疲れやすく食欲があまりない。
・考えごとをして眠れないことがよくある方には、理気薬、安神薬(剤)例えば桂枝加竜骨牡蛎湯・等汗の原因に着目し原因を対処し汗対策をとります。
<PR>
- カラダが弱く体調を崩しやすい、疲れやすい方に
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 詳しく見る
汗っかきと多汗症の区別の仕方
汗っかきと多汗症は、汗の量や原因によって違いがあります。
汗っかきは、暑い日やカラダを激しく動かした時などの外的な刺激に反応して多くの汗をかくことです。
一方、多汗症は、外的な刺激と関係なく、日常生活に支障をきたすほどの過剰な汗をかく病気です。多汗症は、自分だけでなく周りの人の視線も気になる場合があります。多汗症かどうか判断できなかったら、医師による診断をおすすめします。自分の汗のタイプや原因を知ることで、適切な対処法を見つけることができます。
何もしてなくても汗をかきやすい人の特徴
何もしてなくても汗をかきやすい人は、生活習慣やストレスなどにより自律神経のバランスが崩れている可能性があります。
自律神経は、体温、血圧、心拍などの生命維持に関わる機能を調整する神経で、交感神経と副交感神経の2つの系統から成り立っています。
交感神経は体を活動的にし、緊張や興奮に対応します。
副交感神経は体をリラックスさせ、休息状態に対応します。自律神経のバランスが崩れて交感神経が過剰に刺激されると、汗腺にも影響を及ぼす可能性があります。
汗腺は、体温調節のために汗を分泌する器官であり、交感神経の過剰刺激によって多量の汗を出します。これが多汗症の一つの原因とされています。特に手、足、脇、顔などの特定の部位において過度の汗分泌を伴い、日常生活に支障をきたすことがあります。
また、自律神経失調症の症状のなかには「何もしていないのに異常なほど汗をかく」といった多汗症状が多く見受けられます。 緊張する場面でないのに、脇や手のひら・足の裏などに大量の汗をかいてしまう場合は、自律神経失調症も疑われます。
自律神経が原因の時は、バランスを整える治療法を受けることで、多汗症の症状を改善することができます。
脇汗が多い理由と対策
脇は、体温を調節するために発汗する部位の一つです。腋窩(わきのくぼみ)には、汗腺が多く集まっています。汗腺は、気温や運動などの外的刺激や、ストレスや緊張などの内的刺激に反応して発汗を促進します。
脇汗が多い人は、以下のような原因が考えられます。
多汗症:汗腺の働きが過剰になる病気で、特に腋窩多汗症というタイプがあります。原因は不明ですが、遺伝的な要素や自律神経の乱れなどが関係していると考えられます。
気候:暑い季節や湿度の高い場所では、体温を下げるため発汗量が増えます。
服装:合成繊維やタイトな服は、汗を吸収しにくく、蒸れやすくなります。また、暗い色の服は、光を吸収して熱を発するため、発汗を促します。もともと発汗量が多い人は、これらの要因によってさらに脇汗が増える可能性があります。
また、脇汗の対策としては、以下のような方法があります。
漢方薬:漢方薬は、体質や原因に合わせて処方されることが多く、多汗症の場合は、気血両虚(きけつりょうきょ)や肝胃不和(かんいふわ)などのタイプに応じて選ばれます。上述した補気薬タイプ、温補薬タイプ、理気薬タイプ、利湿薬タイプ、自分がどのタイプなのか観察いただき、薬剤師と相談いただき漢方薬を選択されることをお勧めします。漢方薬は、体内のバランスを整えて発汗を抑える効果が期待できます。但し難しい場合は、医師や専門家に相談することをお勧めします。
制汗剤:制汗剤は、腋下に塗ることで、汗腺の出口を塞いだり、殺菌したりして発汗や臭いを抑えることができます。ただし、刺激が強いもの利用したりや長期間使用したりした場合は皮膚トラブルを起こす可能性があるので注意が必要です。
服装:綿や麻などの天然素材やゆったりした服は、汗を吸収しやすく通気性が良いためおすすめです。また、明るい色の服は、光を反射して熱を逃すため発汗を抑えます。
多汗症の対策としては、適切な制汗剤の使用や適度な運動、気候の変化に合わせた対策を考えることが重要です。また、漢方薬も多汗症の症状を和らげるのに役立つことがあります。多汗症に悩む人は、自身の症状のタイプや原因を理解し、適切な対策を講じることが必要です。
汗タイプ別、原因とおすすめ食べ物など生活アドバイス
あなたの汗タイプは何でしたか?タイプ別にみる原因とおすすめの食べ物や生活アドバイスをご紹介します。ぜひ、生活に取りいれてみてくださいね。
1. エネルギー不足の「ぐったり汗」タイプの原因とアドバイス
<漢方的にみる原因はコレ!>
漢方では、食べ物から取り入れた栄養は、内臓の力でエネルギー源に変えられてカラダの隅々にまで運ばれると考えられています。ですから、内臓の元気がなくなるとカラダはエネルギー不足の状態に……。
エネルギー不足はカラダの内側と同時に表面にも見られるようになります。体表部を覆うエネルギーによるバリア機能がうまく働かないために、皮膚が緩むことで汗が漏れ出やすい状態になります。
<おすすめ食べ物と生活アドバイス>
このタイプの人は、山芋、にんじん、じゃがいも、さつまいも、栗、レンコン、クコの実など自然な甘みのある食材の他、カラダの冷えが気になる場合はシナモン、胡椒、クローブ、ニラ、ニンニク、ねぎ、生姜など適度にスパイスを取り入れるのがオススメです。
また、カラダを冷やす習慣をつけないよう、夏でもお風呂に入ってしっかり温まるようにしましょう。
2. 更年期の女性に多くみられる「ほてり汗」タイプの原因とアドバイス
<漢方的にみる原因はコレ!>
このタイプは閉経前後、エストロゲンの分泌が減少し、ホルモンバランスが乱れてくることが原因と言われています。
このタイプの人の中には、カラダの「熱感」と「冷え」両方が気になる人も多いようです。
<おすすめ食べ物と生活アドバイス>
辛いもの、アルコール度数の高いお酒、喫煙、脂っこい料理などはカラダの潤いを減らすとされているので、避けましょう。ぶどう、いちご、レモン、梅、梨、ビワなど酸味のある食材や水分を豊富に含む食材、豆乳など大豆製品や葛湯、牡蠣を普段の食生活に取り入れることがオススメです。また、肉や魚を食べる時は軟骨や筋、皮などを一緒に食べるようにしましょう。
「上半身は熱くて汗をたくさんかくのに足腰は冷える」という人は、半身浴や足湯で下半身を温めるようにしましょう。
3. 余分な水分と熱が溜まった「ベタベタ体臭汗」タイプの原因とアドバイス
<漢方的にみる原因はコレ!>
このタイプの人は梅雨から夏にかけての暑くジメジメした気候に不快を感じやすく、カラダの不調が強くなることが多いようです。水分をいくら摂っても口や喉の渇きが癒えないのは、カラダの内側に余分な熱がたまっているから。漢方では、暴飲暴食や夜更かしやストレス、喫煙などの生活習慣、生姜やニンニク、ネギなど薬味類、スパイシーな料理、脂っこい料理や肉類はカラダの熱を増やして「ベタベタ体臭汗」を重くすると考えられています。
<おすすめ食べ物と生活アドバイス>
食生活では腹八分目を心がけ、薄味で胃腸に負担のかからないものを中心にしましょう。
薬膳の考えでは、豆類や雑穀類はカラダにたまった余分な水分と熱を出してくれる食材とされていますので、普段のご飯も豆ごはんや雑穀米にしたり、間食を摂るときは洋菓子よりアズキを使った和菓子を選んだりすることで手軽にベタベタ汗のケアをすることができます。
キュウリやニガウリ、冬瓜などウリ科の野菜もオススメです。また、「普段のお茶で汗対策をしたい」という人には、緑茶やミント、トウモロコシ(ひげ)茶、はと麦茶をオススメします。
4. ココロとカラダが消耗している「ドキドキ汗」タイプの原因とアドバイス
<漢方的にみる原因はコレ!>
このタイプの人は悩み事が多かったり、日常的に頭脳労働をしている人に多く、ちょっとしたストレスにも敏感になりがち。くよくよ考え続けたり、ドキドキして眠れなくなってしまうことで、カラダにも疲労がたまってしまいます。漢方ではココロとカラダには深いつながりがあると考えられているので、どちらかのバランスが崩れるともう片方に影響が現れるとされます。
<おすすめ食べ物と生活アドバイス>
心身が疲れ、甘いものが食べたくなったら、ドライフルーツや黒糖、ハチミツなど自然素材の甘みを取り入れることがオススメです。ただし糖分を摂りすぎてしまうと、その時は気分が良くなったように感じても、少し時間が経つと反動で気持ちが落ち込んでしまうこともあるので、ほどほどにすることが肝心です。
また、胃腸に元気がないと感じる時、乳製品や肉類などの動物性食品、ナッツなど油分の多く含まれた食材の食べ過ぎは、倦怠感につながることもあるので注意しましょう。
また、カラダを鍛えることでココロの安定を目指すこともできます。中でも、気功、太極拳、ヨガ、ストレッチ、ウォーキングなど、ゆったりとした深い呼吸で行うことのできる運動がオススメです。
<PR>
- 更年期にも見られる、ホットフラッシュ・強いほてりなどに
クラシエの知柏地黄丸
- 詳しく見る
<PR>
<PR>
- あなたの体質タイプが60秒でわかる「クラシエの漢方診断」
体質タイプ別症状や改善アドバイスを見る
- 詳しく見る
汗をコントロールする力を鍛えよう
私たちのカラダは、「汗」を通して季節に応じた体温調節をし、健康を維持しています。
夏、冷房の効きすぎた室内で長時間過ごすことで「夏でも汗をかかない」状態が続き、冬、暖房の効きすぎた室内で長時間過ごすことで「冬でも汗が出ている」状態が続くと、汗のコントロールが低下した状態になります。漢方の考え方では、汗のコントロールが低下することでカラダ全体の不調につながるとされています。
朝晩の比較的涼しい時間は外に出て自然の風や日光を浴びながら散歩や運動をしたり、ゆっくり入浴して意識的に汗を出す機会を作ることも大切です。汗をコントロールする力を鍛えることは、汗の悩みを解消する近道と言えるでしょう。
ベタベタ、じっとり……、嫌な汗の悩みを解消して、爽やかな気分で毎日を過ごしたいですね。漢方の知恵を取り入れた生活アドバイスを参考に、自分のカラダに合ったケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
<PR>
- あなたの体質タイプが60秒でわかる「クラシエの漢方診断」
体質タイプ別症状や改善アドバイスを見る
- 詳しく見る
<PR>