薬膳料理の基礎知識

この記事をクリップする

薬膳料理の基礎知識

目次

薬膳料理には、どのようなイメージをお持ちですか?健康や美容によさそうと思われる反面、おいしくなさそう、食べるものを制限されそうなどネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。でも、実は薬膳料理は、スーパーなどで販売されている食材で作ることができるものなのです。今、あなたの家の冷蔵庫の中にあるもので、できるのです。また、普段みなさんが食べている食事に食材をプラスするだけでも立派な薬膳料理です。
今回は誤解されがちな薬膳料理の基礎知識を紹介します。

薬膳料理とは

薬膳料理はなにも特別な食材で作られるものではありません。普段みなさんが食べている食材の多くが実は、薬膳料理の食材です。
みなさんは、「医食同源」という言葉を聞いたことはありますか?漢方や薬膳料理でよく使われる「医食同源」とは「食べものと、薬になるものの源は同じ」という意味です。例えば、みなさんが普段のお料理に使っている生姜(しょうが)は風邪や肩こりの際に服用される漢方薬「葛根湯」に含まれています。

人間が生きていくために必要な後天の精とは

漢方の考えに基づくと、人間が健やかに美しく生きていくためには、腎(じん)に精(せい)をたくわえることが大切です。精とは人間の成長や発育、生殖活動を維持するためのエネルギーのようなものです。
腎の機能が低下すると、カラダに不調が起こります。例えば、幼児期では体が大きくならない、思春期では生理が始まらないなどがあります。また、耳が聞こえにくい、歯が抜けるなどの老化現象が現れることもあります。このように腎は人間が生きていくためにとても重要な臓腑なのです。
そして、腎に貯蔵されている精には、「先天の精」(せんてんのせい)と「後天の精」(こうてんのせい)があります。先天の精は両親から譲り受けたもので、後天の精は食べものや飲みものを摂取することで生成されていくものです。そして、先天の精は生まれたときから減っていきますが、後天の精は補充することができるものです。つまり、元気の元となる精を貯蔵するためには毎日の食事が重要なのです。

薬膳が誕生した歴史とは

中国最古の書籍「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」には、医者の種類は4つに分けられていると書かれています。医者のランクには食医(しょくい)・疾医(しつい):(内科医)・瘍医(ようい):(外科医)・獣医があり、この中で食医は最高ランクに位置づけられていました。
食医は皇帝の食事を管理する医師で、皇帝が病気にならないように食事を管理・指導していました。

薬膳や漢方薬に使われる食材や生薬は、漢の時代に成立した「黄帝内経(こうていだいけい)」「神農本草経」「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」の3つの書物をもとに考えられており、現在の漢方医学でも重要視されています。「神農本草経」では、漢方薬に含まれる生薬を上品(じょうほん)・中品(ちゅうほん)・下品(げほん)に分類しています。
上品は生命を養う薬で長く食べられるもの中品は健康を保つための薬で病気の治療に利用するもの下品は病気の治療に利用される薬で長期間服用できないものと考えられています。
例えば、上品には「はとむぎ」(薏苡仁)や「ごま」(胡麻子)、中品には「生姜」や「梅の実」、下品には生薬でよく使われる「附子」(ぶし)「半夏」(はんげ)などがあります。このように、漢方薬で使われる生薬は、みなさんが毎日食べている食材にも当てはめることができるのです。

薬膳料理の効果は五行色体表をもとに考えられている

漢方で考える薬膳料理とは、健康を維持し病気の予防や長寿などを目的とした食事のことを意味しています。
漢方でよく利用される「五行色体表」を使えば、私たちの取り巻く世界を五行に分けて判断することができます。

例えば、季節で考えると五味は酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん)に分かれています。春はすっぱいもの・夏は苦いもの・土用は甘いもの・秋は辛いもの・冬は鹹い(塩からい)ものといった味で、五色は青・赤・黄・白・黒に分かれており、春は青・夏は赤・土用は黄・秋は白・冬は黒といった色で食材を選ぶこともできます。
五行色体表が理解できれば、どんな食材をどの季節に摂取すると効果があるのかを自分で選ぶことができます。また、五臓は肝・心・脾・肺・腎に分かれ、春は肝・夏は心・土用は脾・秋は肺・冬は腎といった部分に負担がかかるため、その季節に合わせた養生が必要となるというのも知ることができます。

五行色体表については、漢方の基礎知識2「五行とは」をご覧ください。

薬膳料理を普段の生活に取り入れて、健やかな人生を送りましょう。

食材にはそれぞれ五味・五性・帰経といったものが意味づけられています。五味は味・五性は温めるもの冷やすもの・帰経は五味と臓腑の関係を意味しています。
これらを季節や自分の体調に合わせて利用すれば、健康の維持や病気の予防にもつながります。

五味・五性・帰経については、「薬膳食材図鑑」をご覧ください。

また、今の自分の体質や体調にはどんな食材を使った料理が合っているかを選ぶことを「弁証施膳」(べんしょうせぜん)といいます。
弁証とは、漢方の考えによる体質や体調または季節などに合わせて診断することで、施膳とは、弁証の結果をもとに食材を選び料理を考えることをいいます。

例えば、春になるとイライラすることが多くストレスがたまりやすい方は気血水タイプの「気滞」(きたい)だと考えられます、気滞の方には、しそ・にら・レモンなどの香りのよい食材がおすすめです。豆腐にしそをのせたり、紅茶にレモンを入れたりといったものもあります。レシピといっても複雑な料理が必要ではありません。普段の料理にカラダに合った食材をプラスするだけでも薬膳といえるのです。これまで、薬膳料理はむずかしいと思っていた方には、まずは自分の体質を調べ、自分に必要な食材を選んでみることをおすすめします。

あわせて読みたい>>薬膳料理家がおすすめする季節の薬膳レシピ

<PR>

クラシエの漢方診断

まずは、自分の体質をチェック!

クラシエの漢方診断

詳しく見る


カンポフルライフ会員になって日々の暮らしを楽しく豊かに!

漢方の知恵を始め、美と健康に役立つ情報を手に入れてみませんか?会員メリットをご確認ください。

SHARE