目次
- もともと重曹は食べられるもの。掃除に使い出したのは家庭から
- 重曹を使ったヘルスケアテクニック5選
- ┗ 1.〈重曹で作る経口補水液〉
- ┗ 2.〈スポーツドリンク〉
- ┗ 3.〈重曹で作る歯磨き粉〉
- ┗ 4.〈重曹入りバスソルト〉
- ┗ 5.〈お風呂に入れない時の重曹湯〉
- 重曹生活でつくる、やさしい循環の輪
重曹やお酢を使って、地球にやさしいお掃除を提案している岩尾明子さんに、重曹を使ったヘルスケアテクニックを5つ教えてもらいました。重曹で健康飲料や歯磨き粉まで作れば、家計のためにもなるし無駄がない。そんな地球にもカラダにもやさしい生活をおすすめします。
もともと重曹は食べられるもの。掃除に使い出したのは家庭から
もともと自然志向だった岩尾明子さんは、ある日『Clean House, Clean Planet(天使は清しき家に舞い降りる)/著:カレン・ローガン』という本に出会いました。その本には、主に重曹と酢、エッセンシャルオイルを使って、安心・簡単に家をきれいにできるノウハウが詰まっていました。
その本の日本での出版に携わった岩尾さんは、その後、WEBサイトと『クリーン・プラネット・プロジェクト(CPP)』というNGO団体を立ち上げました。そして、日本国内で重曹の大きなムーブメントを起こし、海外の団体(主にアメリカとヨーロッパ)ともお互いに協力し、教え合ってきました。
「重曹はもともと、小麦粉でパンやクッキーなどを焼く文化のあるところで生まれました。重曹は別名『ベーキングソーダ』といって、そこに熱と水を加えても苦味や後味が残らないように調整したものがベーキングパウダーです。つまり、もともと重曹は食べられるもの。昔のレシピでつくる素朴なドーナツ『オールドファッション』には、重曹が入っているので、ちょっとほろ苦いような味がすると思います」
ちなみに、パンなどを焼く時に酵母(イースト)菌を加えてから寝かせて膨らませますが、重曹を使えば寝かせるという工程を省いてすぐにパンを膨らませることができるんです。そのため、欧米のスーパーでは、塩やこしょうなどと並んで調味料の棚に並んでいるそうです。
そんな食品として生活に溶け込んでいった重曹が、なぜ掃除にも使われるようになったのかというと・・・?
「パンを作る時、小麦と一緒にバターとか脂っぽいものを使いますよね。だから後片づけが大変なのですが、重曹がかかった部分は、とてもサラサラしてすぐにきれいに落ちるので『これは掃除に使える!』と家庭から広がっていったんです。日本に製法が伝わったのは明治時代で、その後、国産の重曹づくりが始まりました」
でも、食品として使われてきたといっても、重曹は工場で作られるもの。本当にカラダに安全なのでしょうか?
「重曹は、正式には『炭酸水素ナトリウム』(NaHCO3)といいます。それは塩=塩化ナトリウム(NaCl)と同様、体液中にある化合物です。それが体内にあるものと認識されるようになって、まだ200年強ぐらいですが、いまでは血液や体液のペーハー(pH)を中和して弱アルカリに保つ働きがあったり、唾液に含まれていて口内細菌が出す酸を中和することが知られていて、医療などにも広く利用されています」
※市販の重曹の中には「掃除用」として食用に適さないものもあるので、用途に応じてご利用ください。
重曹を使ったヘルスケアテクニック5選
1.〈重曹で作る経口補水液〉
私たちのカラダの中にもある重曹を使って、熱中症予防のために飲まれる経口補水液を作ることもできるそうです。経口補水液とは、汗などで失われた体液を補給するもので、より体液に近いバランスの良い飲み物。ふだんはもちろん、スポーツの後や、汗をたくさんかいた暑い日などに飲むと良いでしょう。
材料
水……2L
天然の海塩……1g
重曹……1g
※食用として販売されている重曹をお使いください。
作り方
上記3つの材料を容器に入れて溶かす(できるだけその日のうちに飲み切りましょう)。
2.〈スポーツドリンク〉
材料
水……500ml〜1L
海塩などの自然塩……1g
重曹……1g
※食用として販売されている重曹をお使いください。
砂糖……18g(お好みで蜂蜜などでも)
作り方
上記3つの材料を容器に入れて溶かす(できるだけその日のうちに飲み切りましょう)。
3.〈重曹で作る歯磨き粉〉
口内細菌が出す酸を中和することができる重曹で、歯を磨きましょう。
下記の要領で歯磨き粉を作っても、歯ブラシに重曹だけを直接ふりかけても大丈夫。口の中の汚れを取って、虫歯予防になるだけでなく、口臭もとり除きます。多少なら飲み込んでも安心なので、子供にも使えます。
材料
重曹……大さじ4
※食用として販売されている重曹をお使いください。
グリセリン……大さじ1
ティーツリーのエッセンシャルオイル……数滴
作り方
小さめの容器に、すべての材料(ティーツリーのエッセンシャルオイルはお好みで)を入れてよく混ぜます。それを歯ブラシにつけて使う。
4.〈重曹入りバスソルト〉
バスソルトとは、入浴剤の一つ。重曹によって、肌がスベスベするだけでなく、炭酸ガスが末梢の血管まで刺激して血行がよくなるといわれます。また、塩を入れることによって、保湿と保温の効果が生まれます。
材料
重曹……2カップ
海塩などの自然塩……2カップ
ラベンダーのエッセンシャルオイル……約10滴
作り方
1. ふたのぴったりしまる広口のガラス容器を用意する。
2. すべての材料をよく混ぜる。
3. それを1の容器に入れ、冷暗所に2〜3日置いてなじませる。
4. 1回の入浴に、大さじ2〜3をお風呂のお湯に溶かして使う。
5.〈お風呂に入れない時の重曹湯〉
赤ちゃんの湯あみや具合が悪くてお風呂に入れない時、寝たきりの人のからだを清拭する時、お湯に重曹を入れてタオルで拭けば、汚れが落ちるだけでなく、消臭にもなります。病院や高齢者施設でも行われているので安心です。
材料
お湯……洗面器1杯
重曹……2〜3g
作り方
1. 洗面器に入れたお湯に重曹を溶かす。
2. 1にタオルを入れて、しっかり絞ったら、やさしくからだを拭く。
重曹生活でつくる、やさしい循環の輪
「重曹生活を始めると気が楽になるんです。排水溝から重曹が流れていっても、『この重曹たちがパイプを通りながら周囲をきれいにしていって、ふるさとの海に帰っていくんだな』と思えます。掃除に使ってもヘルスケアに使っても、地球と私たちの間に、やさしい循環の輪ができていることは、重曹生活をしていて嬉しいことの一つです。」
プロフィール
クリーン・プラネット・プロジェクト(CPP)代表。未来型ナチュラル生活研究家。重曹や酢などの専門知識や検査技術を持つ「食」の専門家でもあり、フードスペシャリスト。風邪のひき始めには、塩と重曹でうがいをし、葛根湯をのんでいるそうです。食生活も自然栽培や無農薬栽培の野菜とお米を使い、腸活や免疫力を高めるために発酵食品を意識的に食べるといい自然派です。著書に『重曹生活のススメ』(飛鳥新社)、『重曹とお酢でナチュラル生活』(主婦の友社)など多数。
インターネットサイト「地球に優しいお掃除」:
https://www.cleanplanet.info
クリーン・プラネット・プロジェクト(CPP):
https://www.cleanplanet.info/staff/