むくみ
公開日:2018年08月01日最終更新日:2019年08月01日
むくみに効果的な漢方とは|その原因・改善方法とおすすめの漢方薬
朝の顔のむくみや、夕方の足のむくみなどに困っている方は多いのではないでしょうか。この記事ではむくみの症状・原因・改善方法を解説しています。むくみを改善できる食べ物・漢方薬を紹介しているので、ぜひ役立ててください。
目次
むくみとは
人体の約60%は水分で、その大部分は細胞内のほか、血管、リンパ管中に存在しています。これらの水分は、細胞や血管からしみ出したり、戻ったりして入れ替わっています。ところが、この水分がうまく回収されず、細胞のすき間にたまってしまった状態が「むくみ」です。
足のむくみ
朝すんなり履けた靴が、夕方脱ぎにくい! というような経験はありませんか? 心臓から送り出され、足などの体の末端へ運ばれた血液は、ふくらはぎなどの足の筋肉のサポートによって、心臓に向かって送り返されます。ところが、立ちっぱなし、座りっぱなしなど、同じ姿勢を続けると、この機能が弱まり、血液がうまく戻りません。そして血管から余計な水分がしみ出し、むくみとなってしまうのです。
顔のむくみ
朝起きると、まぶたが腫れぼったくなっていたりしませんか? 起きている間は体の下の方にたまりがちな水分が、横になることで体の上のほうに行きわたるため、朝は顔がむくみやすくなります。とくに、まぶたは体の中でもやわらかい組織の一つです。むくみはやわらかい部分に現れやすいため、目元がむくみやすいといわれています。
手のむくみ
お酒を飲み過ぎた次の日など、指輪がきつくなったりしたことはありませんか? 手がむくむと手の指を曲げたり伸ばしたりする際につっぱった感じがしたり、手のしわが消えてパンパンに腫れた感じがします。体に入ったアルコールを代謝する過程で、アセトアルデヒドと呼ばれる有害物質が産生され、血管を拡張させすき間から血中の水分が漏れ出すことで引き起こされます。
全身のむくみ
何日もむくみがとれなかったり、全身がむくむといったりする場合は、内臓疾患(腎臓、心臓、肝臓等)の可能性がありますので、病院で検査を受けるようにしましょう。とくに、動悸、息切れ、体重の増減が激しい、尿の量が減る、食欲不振、疲労などの症状を伴う場合は早めに受診しましょう。むくみは内臓疾患を知らせるサインにもなりますので注意しましょう。
むくみの原因
体に栄養や酸素を運ぶ役割の血液と血管があり、末端部分は、毛細血管が細胞に必要な成分を運んでいます。さらに、毛細血管から細胞に成分を届けてくれる「細胞間液」は、老廃物を伴った水分として静脈やリンパ管へ運ばれていきます。むくみは、静脈やリンパ管の流れが悪くなってしまうことで、水分や老廃物が回収されずに皮膚の下にたまってしまう状態といわれています。
生活習慣
水分や塩分を摂り過ぎると、体内の水分量が増え、むくみやすくなります。塩分の多いインスタント食品や外食を控え、減塩を心がけましょう。また、アルコールの飲み過ぎや睡眠不足、運動不足もむくみの原因のひとつと考えられています。
きつめの衣服を着ていると血液の循環が悪くなりますし、窮屈な靴をはいていても、足がむくんでしまいます。自分のサイズにあった衣服や靴を選んで、身につけるようにしましょう。
女性特有のホルモンバランスの変化
生理前や妊娠中、更年期などの時期はホルモンのバランスが変化するため、自律神経の乱れなどから血行が悪くなりむくみやすくなるといわれています。
内分泌疾患の可能性
甲状腺の疾患によるむくみもあります。むくみがしばらく続くようでしたら医師の診断を受けるようにしましょう。
内臓疾患の可能性
心臓、肝臓、腎臓が何らかの原因により機能の低下することでむくみが生じる場合があります。むくみがしばらく続くようでしたら医師の診断を受けるようにしましょう。
むくみの改善方法
次に、むくみの改善方法についてご紹介します。
適度な運動で筋肉をつける
むくみやすい人は、ふくらはぎやももの筋肉が弱まり、血液の流れが悪くなっています。ウォーキングや散歩などで体を積極的に動かして筋力をつけていきましょう。また、足の先を動かすとふくらはぎの筋肉も動いて血液の流れが良くなりますので、つま先を上げたり、かかとを上げたりする運動を心掛けましょう。
入浴・マッサージなどで体を温める
入浴時にしっかり温まることができれば、血流が良くなり、体内の余分な水は自然と体の外に排出されます。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かると効果的です。また、お湯に浸かると、水圧によるマッサージ効果で、むくみの緩和をサポートしてくれます。なお、入浴中は汗をかきますから、水分不足にならないよう入浴後は水分補給を意識しましょう。むくむからといって、脱水は禁物です。
むくみの原因となる飲食物を控える
塩分が多い食べ物は、体の塩分濃度を下げようとして水分を取り込み、むくみやすくなってしまうので注意しましょう。練り製品やハムなどの加工食品、ラーメンやうどん、そばなどの汁、梅干しや漬け物などを食べるときには量に気をつけるよう心掛けましょう。
漢方で冷えを改善する
「水(すい)」は、うるおいを全身に巡らせる必要不可欠なものですが、「水(すい)」のめぐりが滞り体に溜め込んでしまうと不調を引き起こす原因となってしまうことがあります。漢方では、このように水分代謝が悪く、水の排出が停滞している状態のことを「水滞(すいたい)」といいます。そんな「水滞」の状態には、体内の水分を調整する漢方薬がおすすめです。
むくみを改善できる食べ物4選
次に、むくみを改善できる食べ物を見ていきましょう。
カリウムを多く含む食べ物
体の中ではナトリウムとカリウムがバランスを取り合って、細胞の浸透圧を維持したり水分保守などを調整したりしています。ナトリウム(塩分)が多くなれば、水分などをため込んで濃度を一定にしようとします。カリウムは、増えすぎたナトリウム(塩分)を汗や尿として排出するはたらきがあるため、カリウムを摂取することがむくみには効果的です。カリウムが多く含まれている食べ物は、野菜・イモ類(ホウレンソウ、キャベツ、トマト、サトイモ、サツマイモ等)、果物(リンゴ、バナナ、アボカド等)、海藻(海苔、ワカメ、ヒジキ等)があります。
利尿作用のある食べ物
体にたまったナトリウムを排出しやすくする利尿作用のある食べ物もむくみ予防などに効果的です。スイカ、キュウリ、小豆、冬瓜、トウモロコシなどを積極的に食べるようにして、余分なナトリウムを体にためないようにしましょう。
血行を良くする食べ物
血行を良くするのは健康の基本です。代表的な食べ物としては、タマネギ、ニンジン、ナットウ、ショウガ、ブロッコリーなどがあります。ほかに、ターメリックやクミン、コリアンダーなどのスパイスもじわじわと体を温め血行をよくするといわれています。
水分を十分に摂取する
むくむからといって水分を控えている人はいませんか? 水分が不足すると尿量を減らすホルモンが分泌されて、体に水分をためこもうとするため逆効果といわれています。むくんだときこそ、水分を十分に摂取して、排出することが重要です。ただ、ジュースなど糖分の多い飲み物はカロリー過多になりますし、味の濃い食べ物、辛い食べ物を食べたあとに、水分を大量に飲んだりするのはむくみの原因となりますので控えましょう。
むくみに効果的な漢方薬
次に、むくみに効果的な漢方薬をご紹介します。
むくみがあり、太り気味の方に
ぽっちゃりむくみタイプ
こんな症状に心当たりはありませんか?
むくみがあり、太り気味の方におすすめする漢方処方
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
一般的に「むくみ」に使われる漢方薬
「防已黄耆湯」の解説を見る
まとめ
いかがでしたか? 余分な水分が体にたまってしまうことで起こるむくみ。こちらで紹介したむくみに効果的な食べ物を食事に取り入れたり、適度な運動を心掛けたりして、むくみの予防、改善に役立てましょう。漢方薬でのケアも選択肢のひとつとしておすすめです。
一般的に「むくみ」に使われる漢方薬
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