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鼻炎

鼻炎に効果的な漢方とは|予防・治療方法とおすすめの漢方薬4選

なかなか治らない鼻炎に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では鼻炎に悩んでいる方へ向けて、鼻炎の種類や原因、症状に合った治療方法、おすすめの漢方薬を紹介します。鼻炎のメカニズムを理解し、症状を緩和するための正しい治療方法を知って、快適な日常を過ごせるようにしましょう。

目次

鼻炎の原因

鼻炎とは、その名の通り、「鼻粘膜に起こる炎症」のこと。鼻炎の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがよく知られています。鼻は顔の中心にあり容姿を決める重要なパーツというだけでなく、いくつかの重要なはたらきを担っています。まずひとつは、「においをかぐ」という機能。「鼻がつまって料理の味がわからなくなった」という経験はありませんか? これは鼻づまりによって外気がとり込めないため起こる現象です。

また、鼻には体内に入る空気をきれいにするはたらきもあります。外気には、ハウスダストをはじめ、花粉や細菌などさまざまな異物が含まれています。鼻には、粘膜などで異物をキャッチするという役割があり、それらがそのまま肺に入らないように、とり除くはたらきをしているのです。いわゆるフィルターのような役目を果たしています。
そのほか、鼻には吸い込んだ空気の温度や湿度を調整するはたらきもあります。鼻の内側には3つの大きなひだがあり、吸い込まれた空気がこのひだの間を通ることで、冷たい空気や乾いた空気も一定の温度と湿度に調整されて、肺に入るようになっているのです。

鼻炎の種類

次に、鼻炎の種類について見ていきましょう。鼻炎には、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、副鼻腔炎などがあります。


急性鼻炎

急性鼻炎は、主にウイルスや細菌に感染することで鼻の粘膜に急性の炎症が起きる病気で、一般的に鼻かぜと呼ばれるものです。鼻からのどにかけての乾燥感や多量の鼻汁、くしゃみ、鼻づまりなどの症状があります。


慢性鼻炎

慢性鼻炎は、鼻の粘膜炎症が治まらず長期間続いているものです。鼻づまりが起こることが多く、鼻水やくしゃみを伴うことが多いです。


アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、特定の異物に対するアレルギー反応によって起こるもので、ほこりやチリなどのハウスダストが原因で季節に関係なく起こる通年性アレルギー性鼻炎と、花粉が原因で花粉の飛散する時期のみに起こる季節性アレルギー性鼻炎に分けられます。アレルギー性鼻炎の症状はひどくなると、頭がボーッとしたり、イライラしたりして、日常生活にも支障が出てくるといわれています。また、「においがわからない」「かゆみがある」といった不快な症状が続きます。


副鼻腔炎

鼻(鼻腔)の周りには「副鼻腔」と呼ばれる4つの空間(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)があり、この空間で炎症が起きている状態を「副鼻腔炎」といいます(「ちくのう症」とも呼ばれます)。急性期では鼻づまり、ドロっとしたにおいのする鼻汁、頬・鼻周囲・額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱などの症状があります。症状が一段落したあとも、すっきりしないという場合には炎症が慢性化している可能性があります。

鼻炎の症状を抑える方法

次に、さまざまな鼻炎のつらい症状を抑える方法を見ていきましょう。


鼻炎薬

鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの鼻炎の症状に使われる内服薬といえば、抗ヒスタミン成分、抗アレルギー成分などが代表的です。なお、抗ヒスタミン成分は、眠気が起こりやすいので注意が必要です。


点鼻薬

点鼻薬は、抗アレルギー成分、抗ヒスタミン成分、ステロイド成分、血管収縮成分などが配合されています。抗アレルギー成分は、アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎に有効です。アレルギーのシーズンに入る前(鼻炎の予防)から使われることもあります。効果発現はマイルドで2週間程度要します。ステロイド成分は、投与2~3日程度で効果が現れ、使い続けることで効果が得られます。血管収縮成分は、鼻粘膜(鼻の中)の血管を収縮させることで鼻の中の空気の通り道を広げ、鼻づまりを改善するものです。ただし、だんだん効かなくなること(理由は諸説あり)と、繰り返し使用すると薬剤性鼻炎を起こし、鼻づまりが悪化するおそれがあります。

鼻炎の改善・予防方法

次に、鼻炎の改善・予防方法について見ていきましょう。


室内の掃除

室内をキレイに掃除すると、日常生活の中で鼻に入るアレルゲンの量を減らすことができます。アレルゲンの量を減らすことは、鼻炎の症状を軽くする効果があります。ハウスダストは肉眼では確認できませんので、たまりやすい場所を重点的に掃除して、上手に除去しましょう。また、効率的な掃除はまだ誰も起きて活動しておらずハウスダストが舞っていない朝一がおすすめです。


寝具の掃除

ふとんは就寝時に口や鼻を近づけるため、とくに気をつけて掃除をすることが大切です。ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないようなカバーをかけるようにすると効果的です。こまめにふとんを干し、よく掃除機をかけることを心がけましょう。


冷え対策

気温差が原因で、くしゃみなどの鼻炎症状が出ることがあります。寒暖差アレルギーなどと呼ばれ、一般的に7度以上の気温差がある場合に起こるといわれています。血管運動性鼻炎とも呼ばれます。寒いと感じるときはカーディガンやショールなどでこまめに体温調節して、気温差を小さくするようにしましょう。また、体を温めるショウガやニンニクなどを食べるのもおすすめです。


自律神経を整える

ストレスが多い生活をしていたり、夜遅くまで起きているなど不規則な生活を続けたりしていると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。自分にあったリラックス方法で体を休めて、規則正しい毎日を送るようにしましょう。


マスクの着用

空気の乾燥も症状を悪化させる要因となります。外出をする際にはマスクをするなどして鼻や喉の保湿を行いましょう。

鼻炎に効果的な漢方薬4選

次に、鼻炎に効果的な漢方薬をご紹介します。

鼻水・鼻炎でお悩みの方に

水っぽい鼻水が出るタイプ

  • 小青竜湯のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

鼻みず・鼻炎でお悩みの方におすすめする漢方処方

小青竜湯 第2類医薬品

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)


体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症



一般的に「鼻炎」に使われる漢方薬
「小青竜湯」の解説を見る


鼻づまり、慢性鼻炎の方に

鼻づまりが強いタイプ

  • 葛根湯加川芎辛夷のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

鼻づまり、慢性鼻炎の方におすすめする漢方処方

葛根湯加川芎辛夷 第2類医薬品

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)


比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎



一般的に「鼻炎」に使われる漢方薬
「葛根湯加川芎辛夷」の解説を見る


慢性化した鼻炎、ちくのう症の方に

目や鼻の周りが重だるいタイプ

  • 荊芥連翹湯のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

慢性化した鼻炎、ちくのう症の方におすすめする漢方処方

荊芥連翹湯 第2類医薬品

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)


体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび



一般的に「鼻炎」に使われる漢方薬
「荊芥連翹湯」の解説を見る


鼻づまり、ちくのう症の方に

黄色い鼻水が出るタイプ

  • 辛夷清肺湯のイメージ
  • こんな症状に心当たりはありませんか?

鼻づまり、ちくのう症の方におすすめする漢方処方

辛夷清肺湯 第2類医薬品

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)


体力中等度以上で,濃い鼻汁が出て,ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり,慢性鼻炎,蓄膿症(副鼻腔炎)



一般的に「鼻炎」に使われる漢方薬
「辛夷清肺湯」の解説を見る

まとめ

いかがでしたか? これまで鼻炎の種類や対処方法についてご紹介してきました。鼻炎薬を使用する場合は、自身の体調や症状を考慮して選びましょう。症状のタイプにあった漢方薬も効果的です。鼻炎症状が長引いたり、つらかったりする場合は、早めに病院で受診するようにしましょう。





鼻炎Q&A 漢方のギモンを解決!

Q 花粉が気になる時期になると、鼻水やくしゃみはなんとか治まっても、鼻づまりだけが長引いて苦しいんですが・・・。
A 鼻炎症状の中でもとくに“鼻づまり”を強く訴える人がいらっしゃいます。漢方では鼻づまりの状態を、体が冷えて起こるものと、熱がこもって起こるものと、2タイプに分けて考えます。どちらも体に溜まった余分な「水(すい)」が原因と考えます。体が冷えて起こる鼻づまりには、体を温めて水分代謝をよくする漢方薬、逆に熱が原因で起こる鼻づまりには、体を冷ます作用のある漢方薬と、同じ鼻づまりの症状でも、選ばれる漢方薬は異なります。
Q 漢方の鼻炎薬と他の鼻炎薬(坑ヒスタミン剤など)を併用してもいいですか?
A 漢方の鼻炎薬と他の鼻炎薬は、いずれも鼻炎の症状を改善する作用が重なるため、注意が必要です。薬剤師または登録販売者にご相談ください。
Q 花粉症には漢方薬の「小青竜湯」が効くって聞いたんですけど、本当ですか?
A 確かに「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」には「花粉症」という効能があります。ただ、漢方薬はその人の症状の現れ方や体質に合わせて飲むもので、「小青竜湯」は花粉症のなかでもさらさらした水っぽい鼻水、くしゃみが出るといった症状がある方に向いています。
Q 鼻炎に効く漢方薬は、のんでから効果が出るまでどのくらいかかりますか?
A 個人差がありますので、一概にはいえませんが、早い方で1~2回の服用で効果が現れる方もいらっしゃいます。1カ月ぐらい服用しても症状に改善が見られない場合には、薬剤師や登録販売者に相談して、薬を選び直してください。
Q 鼻炎に用いる漢方薬は眠くならないんですか?
A 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」をはじめ、漢方に用いられる鼻炎薬には眠くなる成分が含まれていないため、眠くなる心配はほとんどありません。
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