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熱中症ってどんな症状が出るの?
日射病・熱射病との違い

近年では天気予報でも「暑さ指数」などがとり上げられ、熱中症予防対策への意識も高まってきました。
しかし、熱中症のことを正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

今回は、熱中症の基本的な知識と今からできる熱中症対策法を解説します。

頭痛や寒気に注意!
熱中症の症状とは

熱中症とは、気温や湿度の高い環境に身を置くことによって体温調節機能がうまく働かなくなり、体温が異常に上昇することで起こる健康障害のことです。
多量の発汗によって体内の水分や電解質も失われるため、全身にさまざまな症状があらわれます。
まずは熱中症を発症すると身体にどのような変化が生じるのか見てみましょう。

なぜ熱中症を発症するの?

私たちの身体は、体温を一定に維持するためにさまざまな仕組みが働いています。
その仕組みをつかさどるのが、「自律神経」と呼ばれる神経です。

暑いときには自律神経が働いて血管が拡張され、体内にこもった熱を放散します。
さらに私たちの身体には、発汗を促して汗が蒸発する際の熱放散によって皮膚の温度を下げる仕組みも備わっています。

こうした仕組みがあるおかげで、通常であれば少しの間暑いところにいただけで熱中症になることはほとんどありません。
しかし、汗が蒸発しないほど高温多湿の環境で長時間運動したり、体内の水分不足によって十分な汗をかけない状態が続いたりすると、このような体温を下げる仕組みがうまく機能しなくなります。

その結果、身体の中に熱がこもって体温が上昇し、熱中症を発症するのです。

熱中症の症状とは?

熱中症を発症すると、軽い症状から命にかかわる重篤な症状まで、段階的にさまざまな症状が見られます。
できるだけ早い段階で適切な対処をとることが大切です。

熱中症の重症度は「具体的な治療の必要性」の観点から、以下の3つに分けられます。

①Ⅰ度(軽度)

現場での応急処置で対応できる軽度の熱中症です。
大量の発汗のほか、強いのどの渇きや動悸、たちくらみ、めまいなどの症状が現れ始めます。
    
また、発汗によって体内の電解質も失われるため、筋肉運動のバランスが乱れることによる「こむら返り」、いわゆる「足がつる」状態になることもあります。
    
発汗は体温を調節するために起こるものですが、汗をかくと体内は水分が失われてしまうため、「身体を冷やす」と同時に「水分を多く摂る」などの応急処置を行いましょう。
    
具体的には、エアコンが効いている室内や、風通しのよい日陰に避難する、首の周りや脇の下、脚の付け根などを冷やす、水分・塩分、経口補水液※などを補給することなどが有効です。
※ 水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの



②Ⅱ度(中等度)

Ⅱ度は、病院への搬送を必要とする中等度の熱中症です。
体温はますます上昇し、発汗によって水分と電解質が失われ続けるため、体内のバランスも大きく乱れていきます。
    
極度の脱水によって「身体がぐったりする」「力が入らない」などの症状が目立つようになります。
さらに、頭痛や腹痛、吐き気、下痢、寒気などの身体症状や、判断力や注意力の低下といった精神症状が見られることもあります。
    
人によって症状の現れ方は異なりますが、これらのうちいくつかの症状が同時に起こることが多いとされています。
    
少しでも意識がおかしい場合は、Ⅱ度以上と判断し早急に病院への搬送が必要です。病院では点滴などによって治療を行います。



③Ⅲ度(重度)

Ⅱ度に進行した段階で速やかに適切な対処をとらなかった場合は、Ⅲ度に進行。
体温は40度前後まで上昇し、意識障害やけいれん、手足の運動障害などが見られる重篤な状態となります。
また、意識がない場合はすべてⅢ度(重症)の熱中症です。
    
この段階では、極度の水分不足や電解質バランスの乱れだけでなく、高熱による脳へのダメージも生じ始め、おかしな言動や行動が現れます。速やかに病院での治療が必要です。



    参考:環境省熱中症予防情報サイト
    https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/2-1.pdf

どんなときに熱中症が悪化しやすくなる?

熱中症は、気温や湿度の高さなど環境による要因が発症に関わっています。 また一方で、身体のコンディションの良し悪しも大きな要因の一つとなります。

熱中症発症の要因の一つである「発汗の不足」は、体内の水分不足によって引き起こされるもの。
運動する前や暑い日の外出前に下痢や二日酔いなど脱水状態となりうる状態であるときは、熱中症を発症しやすくなるので十分注意しましょう。

特に熱中症になりやすい気候のときは、身体のコンディションを整えてから運動や外出をすると安心ですね。

日射病・熱射病との違い

熱中症と同じように、「日射病」や「熱射病」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
いずれも熱中症の一種ですが、厳密には発症する条件や症状などが異なります。
それぞれの特徴を見てみましょう。

日射病とは?

熱中症は、気温や湿度が高ければ曇りの日や室内でも発症しますが、炎天下で発症した場合は「日射病」と呼ばれることがあります。
よく晴れた屋外で長時間運動するなどした際、強い日差しによって体温が上昇し、体温調節機能が破綻することで発症します。

日射病を予防するには帽子や日傘などで直射日光を避けることが重要です。

熱射病とは?

熱中症の症状から見て、Ⅰ度は「熱けいれん」「熱失神」、Ⅱ度は「熱疲労」、Ⅲ度は「熱射病」と診断されることがあります。
つまり、熱射病は熱中症の中でも特に重篤なものを指す言葉です。

「意識障害」「体温40度以上」「発汗停止」が代表的な3症状とされ、早急に適切な治療を行わなければ、命にかかわる危険があります。

熱中症の進行具合や症状の現れ方は人によって大きく異なるため、発症した場面や呼称にとらわれず、適切な処置が必要であることを覚えておきましょう。

今からできる!熱中症対策

近年では地球温暖化の影響から、夏だけでなく春や秋に気温が高い日が続くことも少なくありません。 熱中症を予防するには次のような対策がおすすめです。

高温多湿を避ける

熱中症は気温が30度を超えると発症するリスクが高くなります。
気温が30度前後になると予想される日は屋外での長時間の運動などを避け、活動する場合は比較的気温が低い午前中や夕方に行うようにしましょう。

また、湿度が高いと汗が蒸発しにくく体温調節がうまくできなくなるため、運動をする場合は風通しのよい場所を選んでください。
熱帯夜の翌日なども気をつけましょう。

水分摂取

暑い日は自覚がなくても大量の汗をかいて水分不足になりがちです。
失われた水分や電解質を補うために、こまめな水分補給を行いましょう。
水分は経口補水液のように電解質が含まれたものがおすすめ。

コーヒーや緑茶などカフェインが多く含まれるものは利尿作用があるため、水分が失われやすいので摂り過ぎには注意が必要です。

涼しい服装

体温を調節するためにかいた汗を蒸発させるには、服装に気を配ることも大切です。
汗をかきやすい日は通気性がよく、汗を吸収しやすい服装を心がけましょう。

また、汗でぬれてしまった衣類はできるだけ早く着替えるのもポイントの一つ。
衣類の下に通気性のよいシャツを着ると身体の熱がこもりにくくなるのでおすすめです。

熱中症は重症化することも!
適切な対策を行いましょう

熱中症は発症していることに気付かないことも多く、適切な対処を怠ると重症化してしまうこともあります。

また、熱中症はここでご紹介した対策を徹底することで発症するリスクを大幅に減らすことができます。
まずは日常生活の過ごし方から注意しましょう。

参考:厚生労働省 熱中症関連情報
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/

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