新しい毛髪観察技術と、毛髪内部成分の分布状況の可視化に成功
「うねり毛」の内部成分の偏り『毛髪のゆがみ』をミクロレベルで確認
クラシエホームプロダクツは、毛髪内部の成分分布状況の可視化に成功。その結果、「うねり毛」などの原因となる毛髪内部成分の偏り、いわゆる『毛髪のゆがみ』状態をミクロレベルで確認しました。
消費者の髪の悩みは35歳付近を境として、「髪の傷み」から「髪の衰え」へと変化します。うねり、くせ、パサつきなどがその悩みの上位に挙げられ、髪質が変わったと実感します。
加齢による髪自体の変化としては、「うねり毛」の増加がよく知られており、これまでに「うねり毛」の内部に存在するタンパク質の偏り状態については、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡、X線回折装置などを使用する手法により明らかにされてきました。
しかしながら、「タンパク質」とともに、物性に影響し、重要な役割を果たす「脂質」の毛髪内部での分布状態は明らかになっていませんでした。
今回、世界最高性能の大型放射光施設(SPring-8)の顕微IR装置を利用しました。顕微IR装置とは、顕微鏡と赤外分光光度計を組み合わせ、特定の領域の成分分布を測定できる装置です。一般的な装置では、微細な領域の情報を得ることが難しく、毛髪横断面の成分分布に関しては詳細なデータを得ることはできませんでした。今回、毛髪内部のタンパク質と脂質を同時に観察できる顕微IR装置を利用し、さらに、毛髪の切断方法や測定条件について種々検討を行い、観察および解析に最適な条件を見つけ出し、毛髪横断面測定を行いました。
その結果、標準的な真円に近い毛髪では、タンパク質(アミド結合)と脂質(CH結合)が横断面全体に均一に偏りなく分布しており、毛髪内部で均一な組成分布となっていることを確認しました(図1)。
一方、うねりを伴う毛髪は、タンパク質が密な状態(アミド結合の値が高い)では脂質が疎の状態(CH結合の値が低い)であり、タンパク質が疎な状態では脂質が密であることを見出しました(図2)。
毛髪内部でタンパク質と脂質などの成分が偏った状態になっていることをミクロレベルで確認、従来よりも詳細な毛髪成分の分布状況の可視化に成功しました。
以上、新しい毛髪観察技術を活用し、「うねり毛」では「タンパク質が密」の部分では「脂質が疎」となる成分が偏った状態、いわゆる『髪のゆがみ』が起こっていることを明らかにしました。
すなわち、「うねり毛」内部のタンパク質と脂質の偏りを是正することが、髪のうねり改善に繋がると考えています。
この解析手法の確立により、ヘアケア成分中の脂質(オイル成分等)の作用部位やメカニズムが明らかとなり、偏りを是正するヘアケア商品の開発に応用できると考えています。
当社は、今回の成果を来春のヘアケア製品の開発に応用する予定です。
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