“皮膚常在菌”が作り出す「短鎖脂肪酸」が
肌のバリア機能を向上させることを発見!
「短鎖脂肪酸」を作り出す素材「グルコオリゴ糖」に着目
クラシエホームプロダクツ ビューティケア研究所は、「皮膚常在菌」について研究する中で、皮膚常在菌が作り出す「短鎖脂肪酸」が表皮細胞に作用して、肌のバリア機能を向上させることを発見しました。さらに、皮膚常在菌が短鎖脂肪酸を作り出すための素材(栄養)となるプレバイオティクス成分として「グルコオリゴ糖」を見出しました。
1.背景
人の身体には腸内、皮膚、口腔などに数多くの微生物が共生しており、それらは「常在菌」と呼ばれ、人の健康に様々な作用をもたらしていることが知られています。腸内細菌については近年、多くの研究が行われており、肥満、アレルギーや認知症といった疾患にも関わっているとされ、健康を考える上で重要なキーワードとなっています。
一方、肌の常在菌である「皮膚常在菌」については肌の水分量に関係していることなどが知られていますが、その役割についてはまだ十分に解明されていません。当社では、肌に共生する「皮膚常在菌」の肌への作用について研究を続けてまいりました。
その中で、腸内細菌の作り出す代謝物が腸管のバリア機能向上に関係していることから、肌でも同様の作用があるのではないかと考え、「皮膚常在菌」が作り出す代謝物に着目し、健康な肌の実現に向けた役割について解明しました。
2.皮膚常在菌について
肌には約40種類、100万個/cm2の常在菌が棲息しています(図1)。主な菌としては表皮ブドウ球菌、アクネ菌などが知られており、皮脂を分解して脂肪酸などの代謝物を作りだして肌を弱酸性に保つことで常在菌以外の外来微生物の増殖を抑制、グリセリンを作り出して肌の水分保持などに関与しているとされています。
3.皮膚常在菌と肌のバリア機能
肌のバリア機能には①皮脂、②角層(細胞間脂質、天然保湿因子)、③タイトジャンクション(細胞同士を密着させる装置)が重要な役割を果たしています(図2)。
短鎖脂肪酸を三次元表皮モデルに作用させると、バリア機能の指標である水分蒸散量が低下すること、つまり、バリア機能が向上することがわかりました(図3)。
4.プレバイオティクス成分の探索と、肌のバリア機能向上の確認
プレバイオティクス成分とは、肌の特定の菌の増殖および活性を変化させることで肌に有益な影響を与える成分です。試験管培養系にて皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌)が短鎖脂肪酸を作り出すための素材(栄養)を探索したところ、グルコオリゴ糖によって培養系のpHが低下しました(図4)。
健康な肌は弱酸性であることが知られていることから、本結果は肌を弱酸性に保つことに関与している可能性を示しています。
さらに、皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌)がグルコオリゴ糖から短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、乳酸)を作り出していることがわかりました(図5)。
皮膚常在菌が短鎖脂肪酸を作り出すための素材(栄養)である「グルコオリゴ糖」を配合した化粧品を連用すると、肌の水分蒸散量が低下することが確認され、肌のバリア機能が向上することがわかりました(図6)。
4.まとめ
(1)「短鎖脂肪酸」が表皮細胞に作用すると、水分蒸散量が低下して、肌のバリア機能を向上させることを発見しました。
(2)“皮膚常在菌”が「短鎖脂肪酸」を作り出すための素材(栄養)となるプレバイオティクス成分として「グルコオリゴ糖」を見出しました。
(3)プレバイオティクス成分である「グルコオリゴ糖」を使用することにより、皮膚常在菌の力を介して肌のバリア機能が向上することが分かりました。つまり、皮膚常在菌は肌に共生し、肌の健康維持に重要な役割を果たしています。
今回の研究成果は2023年12月頃に学術発表を予定しています。
今後、今回の研究成果を2023年秋発売予定のスキンケア製品に応用する予定です。
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