漢方薬を選ぶ

倦怠感

倦怠感の改善に効果的な漢方薬とは|原因と体質から適切な漢方薬を選ぶ

目次

疲労・倦怠感とは

疲労と原因

慢性的に疲労が続くと、「身体がだるい」「疲れが取れない」といった「倦怠感」が現れます。
疲労は痛みや発熱と同様に、人間の体における警告(アラーム)のひとつです。日本疲労学会では「疲労とは、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独自の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義されています。疲労は、心身への過負荷によって生じた活動能力の低下のことを言い、思考能力の低下や注意力の低下、行動量の低下などが生じます。

疲労の原因としては、エネルギー不足、活性酸素、病気などが考えられます。

西洋薬と漢方薬

西洋薬では、ビタミンを主成分としたドリンク剤や内服薬などがよく用いられて、エネルギー産生を促進することで疲労を改善します。一方、漢方薬では、エネルギー産生の過程だけでなく、より幅広く体の機能を高めることで疲労を改善します。漢方薬は、体質を見直すことで疲れにくい体質を目指すことができるほか、疲労だけでなくそのほかの全身症状もケアすることができます。

漢方薬でのアプローチ

疲労・倦怠感の捉え方は

漢方では、胃腸(脾胃)で取り込んだ飲食物をもとに、エネルギー(気)・栄養物質(血)が正常に作られて、全身に行き渡ることで生命活動が営まれていると考えます。よって、体の中に「気」「血」が十分にあれば、疲れが生じることはないのですが、何らかの原因で脾胃の機能が低下して、これら(とくに「気」)の生成に問題が起こると疲れが生じると考えます。

疲労・倦怠感のタイプ

疲労・倦怠感を生じるには大きく2タイプがあります。一つ目は「脾血虚」タイプで、脾の機能低下によって「気」が不足している状態です。二つ目は「気血両虚」タイプで、「気」だけでなく「血」も不足している状態。そのため、「気」「血」を生み出す源である胃腸(脾胃)のはたらきを立て直しつつ、不足した「気」「血」を補うことで改善していきます。また、飲食物を取り込む胃腸のはたらき(消化・吸収)も活発にするため、食欲がなく栄養が取り込めず元気がないという方にも漢方薬はおすすめです。

倦怠感に効果的な漢方薬・生薬製剤2選

次に、倦怠感に効果のある漢方薬、生薬製剤を見ていきましょう。


疲労倦怠、食欲不振の方に

補中益気湯 第2類医薬品

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)


体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒



一般的に「倦怠感」に使われる漢方薬
「補中益気湯」の解説を見る


朝起きられない低血圧、体がだるい方に

知柏地黄丸 第3類医薬品

四物血行散(しもつけっこうさん)


貧血に伴う全身倦怠、低血圧、月経異常、婦人科諸疾患に起因する神経症状(目まい、のぼせ、耳鳴、頭痛、不眠、憂うつ症、不安感)、子宮出血、産前産後及び妊娠による貧血、妊婦の強壮、産婦の強壮



一般的に「イライラ」に使われる漢方薬
「四物血行散」の解説を見る

よくある質問

Q 「補中益気湯」は、疲れだけではなく「夏バテ」にも効果的ですか?
A 「補中益気湯」は、単なる疲れだけではなく、胃腸機能が低下し、食欲が落ちる夏バテのような状態にも適しています。
Q 「補中益気湯」とビタミン剤の違いは何ですか?
A ビタミン類は、エネルギーを作るための補酵素としてはたらきますが、不足するとエネルギーが十分に作れません。一方、「補中益気湯」は、飲食物の吸収・代謝を助けて胃腸の調子を整えます。その結果、エネルギー産生を助けて疲れをケアします。