新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生は、私たちの暮らしを一変させた。いままでとは異なる日々が続く中で、健康管理について改めて考える機会となり、特に「食」を科学的に分析する予防医学に注目が集まっている。そこで、ウイルス学に精通する医師が自ら食べている健康食を紹介。コロナ禍を生き抜くヒントが隠されている。
医科学者の前田浩さんは、抗がん剤の研究や細菌学・微生物学・ウイルス学研究の世界的権威。約30年前にはインフルエンザウイルスの感染症発現のメカニズムを発見。その論文は医学界に衝撃を与え、現在の新型コロナウイルス研究にも生かされている。
そんな前田さんがコロナ禍で食べている健康食が「野菜スープ」だ。「野菜スープはウイルス感染しにくい体作りに有効」と、長年続けている。
◆生野菜より熱した野菜の方が抗酸化力が高い
「野菜に含まれるファイトケミカル(抗酸化物質)には、活性酸素を中和させたり免疫細胞を元気にさせる力があります。生野菜より熱を加えた野菜の方が抗酸化力がはるかに高いので、スープは有効だと考えています」
前田さんの朝食は、野菜のポタージュスープから始まる。大きめのマグカップで250ml~300ml飲むそうだ。
「具沢山スープは重く感じますが、ポタージュにすると喉越しがよく飲みやすくなります。まずスープを飲んでから、コーヒー、オートミール、ヨーグルトなどを摂ります」
多忙なときでも飲めるよう、多めに作り、小分けにして冷蔵保存するのも前田家流だ。
「野菜スープはビタミン、ミネラル、カリウムなどバランスよく摂れる総合栄養剤。いままで健康でいられるのもスープのおかげです」
前田さんがスープにする野菜は6~7種類ほど。「こだわりは野菜の種類を多くしてさまざまな抗酸化物質を摂ること。栄養バランスを考えて、キャベツ、にんじん、玉ねぎ、かぼちゃ、抗酸化力の高い大根の葉やセロリの葉、パセリ、クレソンなど緑の濃い野菜も積極的に摂るようにしています」。
《作り方》
【1】キャベツ、玉ねぎ、にんじん、小松菜、かぼちゃ、セロリ、ほうれん草、ブロッコリーの茎をポタージュの材料に。
【2】鍋に野菜類を入れて、野菜の2~3倍ほどの水で40~60分煮た後、ハンドブレンダーでトロトロのポタージュにする。
【3】減塩を意識してスープに味を付けないのが基本。時々隠し味として、岩塩、みそ、しょうゆ、カレー粉などを少量加える。
【完成!】出来上がり。「野菜はできるだけ旬の露地物を選んでいます。野菜スープは誰でも簡単に作れる点も魅力です」。
《主な材料の栄養価》
キャベツ(ビタミンC・K・U)、にんじん(α-カロテン、β-カロテン)、玉ねぎ(ビタミンB6・C、硫化アリル、ケルセチン)、かぼちゃ(β-カロテン、ビタミンC・E)
※画像はイメージです。
1938年、兵庫県生まれ。抗がん剤研究の第一人者。熊本大学名誉教授、大阪大学招聘教授、東北大学特別招聘プロフェッサー、バイオダイナミックス研究所所長。2016年、抗がん剤の研究で世界のトップ5に選ばれ、ノーベル賞候補と目される。著書に『最強の野菜スープ』など。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号
この記事は、小学館『女性ポストセブンプラス』(初出日:2020年9月17日)より、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。