ストレス(不眠)
公開日:2018年08月01日最終更新日:2023年03月14日
ストレスが原因の症状に効く漢方とは? 症状別のおすすめ漢方を紹介
仕事や家事、育児など、職場や家庭で日常的にストレスを感じている人は多いとされています。ストレスに漢方がいいと聞いたことがある人も多いのでは? ここでは、そんなストレスに伴うさまざまな症状を軽減するために漢方を検討中の方に向けて、ストレスによる健康への影響やおすすめの漢方、そのほかの対処法などをご紹介していきます。あなたのストレスの軽減に役立つ情報をチェックしてみてください。
目次
ストレスによる健康への影響
なにかとストレスを感じやすい現代では、「眠れない」「疲れがとれない」といった症状を訴える人が増えています。ストレスは、心や体などのデリケートな変化によって、さまざまな病気を引き起こす要因になることもあります。
からだに与える影響
ストレスによって体にあらわれる症状としては、主に以下のようなものがあげられます。
- 頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)
- めまい
- ぜんそく
- 高血圧
- 胃痛
- 下痢、便秘
- 腰痛
- 更年期障害
- 睡眠の不調(寝つけない、睡眠中よく目が覚める、寝過ぎてしまう)
- 食欲がなくなる
現代社会で生活していくうえで、ストレスは避けて通れないものですが、過剰なストレスは注意が必要です。ストレスを抱え過ぎていないか、ときどき自分が普段と変わりないかを見つめてみて早めに対処するように心がけましょう。
心に与える影響
ストレスは心にも大きく影響し、以下のような変化が現れることもあります。
- これまで楽しんでいたことへの興味が薄れる
- 憂うつ感、焦燥感
- イライラして怒りやすい
- つねに落ち込んでいる
- 集中することができない
- 心の病(うつ病、不安症)
深刻な状況になる前に、今感じているストレスを軽減することで、症状を抑えられる可能性があります。また、こうしたストレスから来る変化は、誰にでも起こりうることである、と自覚しておくのも大切です。上記のような不調のサインを知っておいて、自分にあてはまっていないかどうかをときどき考えてみましょう。
未病を引き起こすストレス
病気ではないものの、なんとなく具合が悪いという、病気と健康の間の状態は、未病と呼ばれています。自律神経のバランスが乱れ、免疫力が低下している状態です。未病のサインは疲れといわれ、いろいろな生活場面でストレスが体調に関与し、疲れを起こすため、未病の最も大きな要因のひとつがストレスだと考えられています。また、仕事や家事などがストレスを生み、ストレスが未病をまねいて、結果的にまた未病が仕事や家事にも影響するという悪循環が起こりやすいとされています。
忙しい毎日のなかでは、疲れやストレス、体調不良に気づいていながら、改善しようとするまでには至らないのが実情です。しかし、未病の状態を放置すると、悪化しやがてさまざまな病気へとつながります。未病の段階でいち早く変化に気づけば、ストレス要因に気づいて、病気になる前に、本来の健康な体へ戻すことができます。つねに自分の体と向き合うよう心がけたいですね。
症状別おすすめ漢方
「病は気から」とよくいわれるように、ときとして心の状態は体に大きな影響を与えます。漢方薬は、こうした心と体のデリケートな変化にも細やかに対応し、ストレスによる不安神経症、神経質、不眠の症状などを改善していきます。
気分がふさぐ、のどに違和感がある、不安を感じやすい方
こんな症状に心当たりはありませんか?
のどのつかえ感、不安神経症におすすめする漢方処方
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
「半夏厚朴湯」の解説を見る
疲れやすい、神経過敏、眠りが浅いと感じる方
こんな症状に心当たりはありませんか?
ささいなことが気になる方の神経質、神経症におすすめする漢方処方
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
「桂枝加竜骨牡蛎湯」の解説を見る
イライラしやすい、怒りっぽい方
こんな症状に心当たりはありませんか?
周りにあたってしまう・怒りっぽくなってきた方におすすめする漢方処方
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、更年期障害、血の道症、歯ぎしり
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、更年期など女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
「抑肝散加陳皮半夏」の解説を見る
精神的に不安定で、なかなか眠れない方
こんな症状に心当たりはありませんか?
ストレスなどでイライラする不眠症の方におすすめする漢方処方
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
「柴胡加竜骨牡蛎湯」の解説を見る
顔色が悪い、ぐっすり眠れない方、疲れが取れない方
こんな症状に心当たりはありませんか?
貧血や疲れやすい方の不眠症におすすめする漢方処方
気を使い過ぎて、一人になると酷く疲れを感じる方
こんな症状に心当たりはありませんか?
ドキドキしやすい方のストレスなどによる気疲れ、抜けないだるさにおすすめする漢方処方
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときにねあせ、頭部の発汗、口の乾きがあるものの次の諸症:更年期障害、血の道症、不眠症、神経症、動悸、息切れ、かぜの後期の症状、気管支炎
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
「柴胡桂枝乾姜湯」の解説を見る
ストレスへの対処法
ここでは、漢方薬でのアプローチ以外の養生法やストレス軽減方法をご紹介します。
十分な休養を取る
「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの要素からなっています。1つは「休む」ことです。仕事などによって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態に戻していきます。2つ目は「養う」ことです。鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めていきます。
「休養」といっても、単に家でごろごろして過ごすだけでは真の「休養」とはなりません。質の高い睡眠を十分にとったり、リラックスしたり、自分と向き合う時間をつくったりすることで、心身のエネルギーをチャージすることが重要になります。体力、気力を養い、明日へ備えることなどが真の休養につながります。
リフレッシュできることをする
リフレッシュ方法は心と体の双方をケアすることが大切です。まず、心のリフレッシュでは、疲れた心を上手に休ませてあげるのがポイントです。たとえば、買い物に出かける、美味しいものを食べに行く、自分の趣味に没頭する、などです。次に、体のリフレッシュでは、良質な睡眠を取る、マッサージや温泉で癒される、スポーツで汗を流してスッキリする、などです。
単にダラダラ休むというより、自分に合った体力、気力のチャージ方法を見つけて、積極的に行いましょう。
生活習慣を変える
ストレスの対処法は、健康的な生活習慣も影響するといわれています。健康的なライフスタイルはストレスケアの基本となりますので、以下の項目について、とくに気をつけておきましょう。
- 十分な睡眠をとる
- 規則正しく食事をとる
- 標準体重を保つ
- 適度に運動を行う
- 禁煙する
- お酒を飲む場合は適度な量を心掛ける
まとめ
ストレスをためこむと、心と体にさまざまな影響を及ぼします。日頃から自身の不調のサインを気にするようにして、もし、心や体に変化が現れたら早めの対処が大切です。心と体のデリケートな変化にも症状別に対応できる漢方薬でのケアを試してみて、それでも、不十分な場合は、医療機関での受診をおすすめします。
一般的に「ストレス」に使われる漢方薬
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