これまでの漢方基礎知識はいかがでしたでしょうか?漢方についての知識は深まりましたか?
さて今回は、企画担当者にこれまでの漢方基礎知識のポイントを教えてもらいました。
「漢方基礎知識」を企画した理由
普段からカンポフルライフの記事を読んでいる方は、漢方は体質改善にいい、もしくは漢方をもっと知りたいと思っている方だと思います。でも、漢方に関する基礎知識がないのに、例えば「春は肝の気が高ぶりやすい」といわれても意味がわからなくて、理解がストップしてしまう方も多いのかもしれません。そこで、このコンテンツでは漢方のもっとも基礎的なところから説明しようと思いました。漢方を楽しく理解していくためには、基礎理論が一番大切です。基礎を理解しておかないと、それぞれの人の体質や体調に合わせた漢方薬を選ぶのが難しくなってしまいます。
五行・気血水・陰陽などのつながりを頭に入れて、どうやって診断しているのかが理解できると漢方はもっとおもしろく感じてもらえると思い、今回の漢方基礎知識を企画した次第です。ぜひ、全ての記事を順番に沿って読んでもらい、漢方の考え方を学習してみてください。
漢方薬は長く飲み続けるもの?
せっかくの機会なので、「漢方薬は長く飲み続けないと効かないの?」という、よくある質問にも回答したいと思います。
結論から言うと、即効性のある漢方薬もありますし、カラダを改善するために時間のかかる漢方薬もあります。
人は、年をとるごとにどんどんカラダは衰えていきます。例えば、足腰が痛い、だるい、耳鳴りがあるなどの症状は漢方では腎の衰えを意味します。これを腎虚といい腎の機能が劣っている状態を現します。これらの症状に、痛み止めなどの対症療法をとったとしても、また同じ症状が出てしまいます。そこで利用されるのが漢方の根本治療です。
腎虚の説明は、漢方の基礎知識5「虚実とは」を参照してください。
漢方基礎知識13でも紹介したのですが、漢方には標治(ひょうち)と本治(ほんち)という考え方があります。
標治とは、一時的な痛みやかゆみなどをやわらげる対症療法のこと。本治とは、病気の治癒・根治を目的とした根本的な治療のことです。標治の病気は比較的早く治るので漢方薬を服用する期間も短いです。一方、本治は長い間服用します。
標治と本治については、漢方の基礎知識13「本治と標治」を参照してください。
漢方基礎知識のコンテンツで一番知ってもらいたいこと
さて、漢方基礎知識の中で、特に重要なのは、漢方の基礎知識2「五行とは」 3「気血水とは」 4「陰陽とは」 5「虚実とは」です。この4つのコンテンツは順番に読んでいただくことに意味があります。例えば、五行色体表が読めると、その季節に起こりやすい症状や養生法が理解できるようになります。その次に気血水が読めると現在の自分のカラダの状態と五行色体表を見比べることができます。
ここを理解すれば、次の6「五臓とは」 7「六腑とは」 8「病因病機とは①」 9「病因病機とは②」がスムーズに理解できるようになります。
特に、この中で一番知ってもらいたいのは「五行学説」です。五行色体表をしっかりと読めるようになるとどんどん漢方がおもしろくなります。例えば、五季の春の行が読めると、春は何をしたらいいのか?ということが全部書かれています。
例えば、春は五臓の肝に負担がかるので、肝の疏泄を主る働きが崩れやすく、メンタル的な不調が現れやすかったり、目の不調が起こりやすいという考えがあります。春にかすみ目など目の不調が起こったら、肝の機能をおぎなう漢方薬を利用しますが、かすみ目は老化である腎が影響するので、肝と腎の漢方薬を両方服用するといった考え方もできるようになります。
五行については、漢方の基礎知識2「五行とは」を参照してください。
漢方薬には、対症療法のように総合感冒薬や鎮痛剤といった概念はありません。ひとりひとりの体調や体質に合わせた漢方薬が用意されています。
もしかしたら、この記事を読んでくださっている方の中には、私にはどの漢方薬が合っているのかわからない…と思っている方もいるかもしれません。
まずは、これまでの漢方基礎知識のコンテンツを読んで、自分のカラダが今どんな体質で状態なのかをイメージしていくのが大事だと思っています。
西洋医学との違いについては、漢方の基礎知識1「東洋医学と西洋医学の違いとは」を参照してください。
最後に
漢方の基礎知識は、最初は難しく感じるかもしれません。ですが、読めば読むほど意味が理解できるようになります。1回読んで終わりではなく、ブックマークをして何度も読んでもらいたいコンテンツです。現在、自分自身のカラダに責任を持ち、軽度なカラダの不調は自分で手当する、セルフメディケーションが推進されています。漢方の知恵を学ぶことにより、みなさんが今よりももっと健康で楽しい生活が送れるようになることを願っています。
これからもKampoful Lifeを読んでいるみなさんが漢方の楽しさに気づいてもらえるようなコンテンツをもっと増やしていきたいと思っています。