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鼻水はどうして出るの?
鼻水が止まらないときは?
症状別の対処法 最終更新日 2024年09月13日

花粉症の方が増え、大量の鼻水に悩まれている方は少なくありません。また、鼻水が長く続いたり、鼻水に色やにおいがあったりすると心配なものです。ここでは、鼻水の役割や、鼻水が出る原因、鼻水が出る時の対処法などについて解説します。

どうして鼻水が出るの?鼻水の役割とメカニズム

かぜをひいたときなどに出てくる鼻水。身近な症状ですが、意外とその仕組みを知らない人が多いのでは?ここでは、そんな鼻のはたらきと、鼻水が出る仕組みをご紹介しましょう。

鼻はからだの「加湿空気清浄機」

鼻から吸い込まれた
空気は

鼻腔内で温度を調整・加湿

細かいホコリなどを除去

などの処理をされ、

肺に送られる

鼻はからだの「加湿空気清浄機」

鼻水が出ていなくても、鼻の内部(鼻腔)が常に湿っているということは、多くの方が経験的に知っているのではないでしょうか? 鼻は口と並んで空気を取り込む“吸気口”ですが、通常、取り込む外気は体温よりも低温で、乾燥しています。さらに、ホコリなども含まれるため、そのまま体内に入るとからだへの負担が非常に大きいのです。そこで、空気を鼻から吸い込んだ際、鼻腔内で温度を調整・加湿するとともに、細かいホコリなどを除去するといった処理をしてから肺に送ります。いわば、からだの「加湿空気清浄機」のようなものです。

もう少し詳しく見ていきましょう。鼻腔内では、吸った空気に湿り気を与えたり、粘膜を保護したりするため、鼻粘膜から常に少しずつ粘液が分泌されています。この鼻粘膜に異物がくっつくと、粘膜の表面にある細かい突起の「線毛(せんもう)」が動き、ベルトコンベヤーのようなはたらきで、粘液といっしょに鼻腔の奥に運んでいきます。運ばれた異物は、のどから「たん」として排出されたり、本人が気づかないうちに胃の中に飲み込まれたりして取り除かれます。こうして鼻は常にきれいに保たれ、適切な空気を肺に送り届ける機能を維持しているのです。

鼻水は鼻の「洗浄液」

くしゃみ … 異物を外に出す

鼻水 ……… 異物を洗い流す

鼻づまり … 異物の侵入を防ぐ

などのからだの防衛反応

鼻炎

鼻水は鼻の「洗浄液」

先に説明したように、鼻腔内では常に粘液が分泌されることで、適度な湿り気が保たれています。ところが、鼻粘膜にウイルスなどの病原体や花粉などの異物がくっつくと、それを排出しようとして粘液が多量に分泌され、鼻から出てくることがあります。これが、いわゆる鼻水です。ウイルスなど、からだにとっての異物を排除するための、生体の自然な防御反応です。このように鼻水は、鼻腔内をきれいに洗い流してくれる洗浄液のようなものといえるでしょう。

くしゃみや鼻づまりにも理由がある

〈くしゃみ〉〈鼻づまり〉

鼻炎症状

〈花粉・ハウスダスト〉

アレルギー性鼻炎

なお、鼻水以外にも、鼻や口から勢いよく空気を吹き出すことで異物を排出する「くしゃみ」や、鼻腔が腫れて狭くなることで異物の侵入を防ぐ「鼻づまり」なども、同じく人体の防御反応といえます。このように、「鼻水」などの症状が現れる状態を「鼻炎症状」と呼んでいます。

ちなみに、本来からだに害がないはずの花粉やハウスダストなどでも、鼻炎症状が出ることがあります。これらを「アレルギー性鼻炎」と呼びますが、こうした本来無害なものに反応する「アレルギー」は、いわば“からだの勘違い”です。そのため、体質の違いによって「反応する人」と「反応しない人」、つまりアレルギー性鼻炎になる人とならない人が存在するというわけです。

鼻水が出る原因

鼻水が出る原因にはいろいろありますが、代表的なのは、感染症、アレルギー、血管運動性鼻炎などです。それぞれ説明していきましょう。

感染症(かぜ・インフルエンザなど)

鼻水が出る原因の代表といえるのが、ウイルスや細菌による感染症です。ウイルスや細菌が鼻腔に侵入すると、防御反応のひとつとして鼻の分泌物を増やして排除しようとするため、鼻水が出ます。
さらに、ウイルスや細菌が鼻腔で増殖して炎症を起こすと急性鼻炎となり、くしゃみや鼻づまりをともないます。また、鼻の症状だけでなく、倦怠感や発熱、寒気など全身の症状が続いて起こることもあります。
感染の初期の頃の鼻水は水っぽくさらっとしていますが、鼻の周りにある副鼻腔にウイルスや細菌の感染がひろがると、ドロッとした粘りのある鼻水に変わってきます。

ウイルス

アレルギー(花粉・ほこりなど)

鼻水の原因が感染でない場合、何らかの異物に対するアレルギー症状であることが多いです。何らかの物質を体が異物と認めると、防御機構が働いて抗体を作り、再びその異物が入るとアレルギー反応を起こしてくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状があらわれます。季節に関わらず一年中鼻水やくしゃみなどの症状に悩まされている場合は、ダニやほこり、ゴキブリやガ、猫や犬など動物の毛、フケなどがアレルギーの原因物質の可能性があり、こうした症状は通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。
また、アレルギーの原因の花粉が飛ぶ季節にだけ症状がある場合は、季節性アレルギー性鼻炎といい、いわゆる花粉症です。スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、シラカンバが季節性アレルギー性鼻炎の原因として良く知られています。

アレルギー

血管運動性鼻炎

鼻水が出る原因として、くしゃみや鼻水の症状があるもののアレルギー性鼻炎の検査をするとすべて陰性になる血管運動性鼻炎があります。
一般的には、季節の変わり目などに、温かい室内から屋外に出た時に、急にくしゃみや鼻水などの症状が出るため、寒暖差アレルギーと呼ばれることもあります。
血管運動性鼻炎が起こる理由は明らかになっていませんが、寒暖差により鼻の自律神経のバランスが崩れて、交感神経が弱くなって起こると考えられています。寒暖差の他にタバコの煙や排気ガス、精神的ストレス、香料などの刺激も誘因となるようです。

その他

鼻かぜやアレルギー性鼻炎による鼻水は両側から出ることがほとんどですが、片側からしか出ない場合の原因として、小児では鼻の中の異物が挙げられます。
豆やナッツ、ビーズ、ボタン電池、小石の他、綿や紙などが一例として挙げられます。こうした異物が鼻に入ると気道をふさぎ、感染症を起こして、鼻水や分泌物、鼻血が出ます。

また成人では副鼻腔のひとつである上顎洞(じょうがくどう)に発生する上顎がんがあります。上顎がんは長年の重症の慢性副鼻腔炎から発生することが多いと考えられており、初期には症状が出にくく、進行すると鼻づまり、悪臭のある鼻水、鼻血、歯痛、頬の腫れ、視力障害などの症状があらわれます。

鼻水の色・状態から考えられる症状

鼻水はその色や状態から、鼻水が出る症状を推察することができます。鼻水の色と性状別にそれぞれ説明していきましょう。

最初は水っぽく、
徐々に粘り気が強くなる

最初は水っぽく、徐々に粘り気が強くなる鼻水は、かぜの症状と考えられます。
かぜが原因の場合は、鼻水のほかに発熱や寒気、痰(たん)や関節痛などの症状をともなうことが多く、時間の経過とともに色や性状が変化することが特徴です。

かぜのひき始めは水っぽく垂れやすいさらさらの鼻水で、鼻腔の粘膜に付いたかぜのウイルスなどの侵入を防いでいます。かぜの経過とともにウイルスなどによって炎症が起き、鼻の粘膜が腫れると鼻水は白っぽくなり、性状も粘り気が強くなってきます。

透明で水っぽく、大量に出る

透明で水っぽく、大量に出る鼻水は、アレルギー性鼻炎の可能性があります。
アレルギー性鼻炎の鼻水は鼻から垂れたり、のどの奥に流れたり、いくらかんでも出るほど大量です。何度も続けて出るくしゃみやひどい鼻づまりをともなうことがほとんどです。こうした症状は、アレルギーの原因物質を追い出すための防御反応です。

濃い黄色や緑色、粘り気がある

濃い黄色や緑色、粘り気がある鼻水は、副鼻腔炎(ふくびくうえん)の可能性があります。かぜなどが原因で副鼻腔に炎症が起こり、臭いのある粘り気の強い濃い黄色や緑色の鼻水が出ます。頬や鼻の周囲、額などに痛みがあらわれたり、顔やまぶたが腫れたり、発熱をともなうこともあります。

鼻水

鼻水が止まらない、ひどいときはどうすればいい?

いくらかんでも鼻水が止まらないと、鼻は赤くなり、鼻の周りの皮膚もすりむけてヒリヒリするなどつらいものです。鼻水ばかりが気になって集中力もなくなり、生活に影響が出ることもあります。鼻水が止まらない時の対処方法を紹介していきましょう。

鼻や体を温める

電子レンジなどで温めた蒸しタオルを鼻にあてたり、マグカップに熱湯を入れて温かい蒸気を吸い込んだりすると、鼻の周囲の血行がよくなり、鼻水の症状が和らぎます。
また体を温めると全身の血行がよくなり、鼻水の症状が和らぎます。首や足首、背中や腰などを温めると全身が温まります。シャワーや入浴は、体が温めるだけでなく、鼻の加湿にもなります。

部屋の湿度を上げ、乾燥を防ぐ

乾燥は、鼻の粘膜を刺激する原因となります。部屋の湿度は50~60%に保ちます。加湿器だけでなく、お湯を沸かしたり、濡れタオルを室内に干したりすると効果的です。
さらにマスクをすると、鼻の乾燥を防ぐだけでなく、異物などの刺激を防ぐことができます。

吸引器や点鼻スプレーを使う

市販の鼻水吸引器を使う方法があります。またアレルギー性鼻炎が原因の場合には、ステロイド薬の点鼻スプレーがあります。毎日使用することで効果が期待できるので、医療機関で相談してみましょう。

薬を服用する

大量の鼻水で日常生活に支障がある場合には、鼻水を和らげる薬を服用すると良いでしょう。くしゃみ・鼻水・鼻づまりに使う市販薬には、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、抗アレルギー薬が配合されています。
いずれも眠くなる薬が多いため、車の運転や高所作業のある方は注意が必要です。また、のどが渇いたり、尿が出にくくなったりする副作用場合がもあります。最近は、眠くなりにくいタイプの薬もあるので、医師・薬剤師に相談すると良いでしょう。
漢方薬は、眠気を催さずにさまざまなタイプの鼻水に効果が期待できます。水っぽい鼻水には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)などがあります。

子どもの鼻炎・鼻水はどうすればいい?

子どもの鼻腔は大人よりも狭いことや、免疫の働きが弱くかぜをひきやすいため、鼻水や鼻づまりなど鼻炎の症状を起こしやすくなっています。ただ、放置すると中耳炎や副鼻腔炎になることもあるため注意が必要です。ここでは対処方法をご紹介します。

鼻水を吸い取る

鼻水はのどの奥に流れて咳の原因になったり、中耳炎になることがあるので、放置せずに鼻をかんだり、鼻水吸引器を使うなどして、吸い取ってあげるようにしましょう。

横向きに寝かせる

鼻水や鼻づまりがひどい時は、枕を重ねて頭を高くしたり、横向きで寝たりすると呼吸が楽になります。

医療機関を受診する

次のような場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

・鼻水や鼻づまりで呼吸が苦しい。または苦しくて寝られない。
・鼻水の他に、発熱、下痢、嘔吐、咳などの症状がある。
・耳が痛い、鼻の周囲の頬が痛いなどの症状がある

鼻に関する病気・疾患

鼻に関する代表的な病気を紹介します。

鼻炎

鼻水や鼻づまりがひどい時は、枕を重ねて頭を高くしたり、横向きで寝たりすると呼吸が楽になります。

代表的な鼻炎 鼻炎を起こす原因 症状や特徴
急性鼻炎 細菌・ウイルスによる感染 くしゃみ、鼻水、鼻づまりのほか、発熱・悪寒などかぜの症状をともなう
慢性鼻炎 鼻の炎症が持続したり、繰り返すことで鼻炎の症状が持続
アレルギー性鼻炎 ・通年性アレルギー性鼻炎(ダニ、ハウスダスト、ペットの毛など)
・季節性アレルギー性鼻炎(植物の花粉)
くしゃみ、大量の水っぽい鼻水、鼻づまり
目や全身にかゆみなどの症状が生じることもある
血管運動性鼻炎 寒暖差や刺激物、ストレスなど 急な温度変化によるくしゃみや鼻水など

急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎は、30日未満で治る副鼻腔の炎症のことです。副鼻腔は鼻の周りにある4つの空洞のことで、鼻腔と空気や鼻水が通る通路でつながっています。その副鼻腔内の粘膜に炎症が起きている状態を副鼻腔炎といいます。

急性副鼻腔炎の原因は主にウイルス感染による鼻かぜで、鼻の粘膜が腫れて副鼻腔の開口部が閉じやすくなり、副鼻腔の中に鼻水などが排泄されずにたまって細菌の温床となり発症します。
症状としては、黄色~緑色の膿性の鼻水、頭痛、鼻づまり、頬・鼻の周囲の痛み、嗅覚の異常、口臭などがあります。全身倦怠感や、発熱・悪寒が出ることもあります。 参照元:MSDマニュアル家庭版/副鼻腔炎/急性副鼻腔炎

蓄膿症

蓄膿症は「慢性副鼻腔炎」のことで、急性副鼻腔炎と同じ症状が90日以上続いている場合をいいます。
元々副鼻腔の開口部が閉じやすい構造の方、アレルギー性鼻炎や鼻茸がある方、タバコの煙や環境汚染などが、慢性副鼻腔炎が発症する要因になるといわれています。 参照元:MSDマニュアル家庭版/副鼻腔炎/慢性副鼻腔炎

まとめ

鼻水が出るのは、ウイルスや細菌、アレルギーの原因となる異物に対して、しっかりと免疫が働いて、追い出そうとしている証拠でもあります。しかしながら、花粉症の時の大量の鼻水は日常生活に支障をきたし、かぜの時の鼻水や鼻づまりは味や臭いがしなくなるなど、つらいものです。
鼻水が出る原因や鼻水の状態から症状を知り、適切な対処を心がけると、つらい鼻水を少しでも楽に過ごすことができるでしょう。

小谷敦子

薬剤師免許取得後、病院薬剤師として就職。ライフステージの変化にともない、調剤薬局の薬剤師とメディカルライターとしての実績を積んできた。東洋医学専門診療科のある大学病院の門前薬局では、漢方薬の処方に対する数多くの服薬指導を経験。

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