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コレステロール(LDL(悪玉))とは?
増えてしまう原因と、予防・対策に関して

2024年10月31日

コレステロール(LDL(悪玉))とは?増えてしまう原因と、予防・対策に関して

肥満が原因でLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合、漢方で肥満症を改善する方法があります。食べ過ぎでお腹周りが気になる方と、年齢やストレスによって脂質代謝が落ちる方には、タイプ別で2つの漢方がおすすめです。食欲が旺盛で、お腹まわりに脂肪がつきやすい方には「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」、代謝が落ちて全身に脂肪がつきやすく、特に二の腕・脇腹にも脂肪がつきやすい方は「大柴胡湯(だいさいことう)」が良いでしょう。
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食べすぎてお腹まわりが気になるタイプ:防風通聖散
脂質代謝が落ちて固太りタイプ:大柴胡湯

コレステロールとは、人の体の中にある脂質のひとつで、細胞膜、ホルモン、胆汁酸などを作る材料となる大切な栄養素です。

コレステロールのうちの70〜80%は、糖や脂肪を使って主に肝臓で作られており、残りの20〜30%が食べ物から摂取されます。肝臓で作られたコレステロールは血液によって全身に運ばれ、余分なコレステロールは再び肝臓に戻されます。コレステロールが不足すると、髪や肌がパサついたり、免疫機能が低下するおそれがあり、逆にコレステロール値が高くなると、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞の危険が高くなります。

血中脂質とは、血液中に含まれる脂肪分のこと。

LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称です。中性脂肪とは、肉や魚、食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質のことで、一般的に単に脂肪とも呼ばれます。

これらLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などは油性なので、直接は水分である血液には溶けずに、リポタンパク質やリン脂質とくっつくことで血液中に溶けて全身を回ります。そして、各臓器でエネルギーとして消費されます。余剰分は体脂肪として蓄積されます。

コレステロールというとよく耳にするのが“悪玉コレステロール”と“善玉コレステロール”。2種類あるように感じますが、もともとは同じコレステロールです。

LDL(悪玉)コレステロール

LDLコレステロールとは、「Low Density Lipoprotein(LDL=低比重のリポタンパク質)」と結合したコレステロールです。LDLは肝臓から全身にコレステロールを運ぶ役割があるため、LDLと結合したLDLコレステロールは、血液に入り全身を巡りながら細胞に吸収され、細胞膜を形成したりホルモンを生成したりする働きがあります。しかし、増えすぎて吸収されなかったLDLコレステロールは血管内に蓄積し、活性酸素の影響で過酸化脂質となります。過酸化脂質によって傷つけられた血管壁はコブができて厚くなり、動脈硬化が進行するといわれています。また、血管の傷に血小板が集まって血栓ができることで、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす危険が高まります。これらの理由から、LDLコレステロールは“悪玉コレステロール”と呼ばれています。

HDL(善玉)コレステロール

一方で、高比重のリポタンパク質のことを、「High Density Lipoprotein(HDL=高密度のリポタンパク質)」といいます。HDLは体の使われなくなったコレステロールを肝臓に運ぶ物質です。

HDLと結合したコレステロールがHDLコレステロールとなり、過剰なコレステロールを血管からも回収することができるので、“善玉コレステロール”と呼ばれます。

血液検査をするとわかるコレステロールの値ですが、『日本動脈硬化学会』では以下のように基準を設定しています(健康診断の表にある基準値と同様)。

<脂質異常症が疑われる値>
LDLコレステロール 140mg/dl以上
HDLコレステロール 40mg /dl未満
中性脂肪(トリグリセリド) 150mg/dl以上(空腹時)
中性脂肪(トリグリセリド) 175mg/dl以上(非空腹時)

脂質異常症とは、血液中の脂肪分(コレステロールや中性脂肪)が高すぎる、あるいは、HDLコレステロールが低すぎ、動脈硬化を引き起こすリスクが高い状態です。この値はあくまでも一般的な基準値であり、この値を少しでも超えたり低かったりしたら、すぐに動脈硬化になるというわけではありません。

脂質異常症は、遺伝的要因、生活環境、女性ホルモンの関係など、要因がたくさんあります。中性脂肪の値は、食事を含む生活習慣をトータルで見直すことによって、改善することが可能ですが、コレステロールの場合は、食事の摂取を減らすことで肝臓から過剰に作られることもありますので必ずしも生活習慣を変えても改善しません。

動脈硬化の疾患を起こすリスクが高い、高血圧、糖尿病、喫煙習慣などがある場合は、担当の医師の判断で、薬を使ってコレステロールの値を調整することが必要になってくる場合もあります。

薬剤には、腸からのコレステロールの吸収を抑えるものと、肝臓からのコレステロールの合成を抑えるものがあります。

血液中のLDLコレステロールが多いと、血管に付着し、酸化ストレスが加わることで炎症を起こして動脈硬化を起こします。動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを起こす大きな要因です。

LDLコレステロールは、体の細胞や組織に吸収されて消費されますが、必要分以上のものは余ってしまいます。LDLコレステロールは血液中に残り、循環し続けることになります。

すると体は、LDLコレステロールの値を一定に保ちたいので、肝臓など体で作る量を減らしLDLコレステロールの値を正常に調整します。それが、なんらかの要因で調整できないと、血中のコレステロールの値が高いままになります。その結果として、LDLコレステロールが血管に付着し酸化して、動脈硬化を起こします。

一時的にLDLコレステロールの値が高くなっても体はその値を調整する力を持っていますが、調整機能が追いつかなくなった状態が続くと動脈硬化を起こします。

運動不足や食生活の乱れによって体が酸化しやすい状態になることでリスクが高まりますので基準値を大幅に外れる前に、少しずつ生活習慣を見直していきましょう。食事の食べ合わせや食べるタイミングを調整すれば、脂質の吸収を抑制することができます。

揚げ物や加工食品などに含まれる酸化・劣化した油は、動脈硬化のリスクになりますので、油の質を見直すことも大切です。

体内のコレステロールは、肝臓で作られる量、食事で摂って小腸から吸収される量と、体で消費される量、体に排出される量のバランスで、一定に保たれています。

女性ホルモンやストレスホルモンである副腎皮質ホルモンは、コレステロールを原料にしています。女性の場合は、女性ホルモンが作られなくなる閉経後には、コレステロールが血液中に余って数値が高くなります。

さらに代謝を司る甲状腺ホルモンの働きも、LDLコレステロールを一定に保つために必要です。代謝が落ちると、コレステロールが余って数値が高くなります。

なかでも、LDLコレステロール値が高くなる原因となるのが以下の通りです。

コレステロールを多く含む食材を摂取することで高くなる

コレステロールは体内でも作られているため、摂取量を減らしても血中のLDLコレステロールの数値に改善が見られない場合もあります。コレステロールの合成や吸収を高める作用のある、飽和脂肪酸の摂取量を減らすなど、複合的な改善が必要です。

とはいえ、コレステロールの摂りすぎには注意が必要です。以下に、コレステロールを多く含む食材をご紹介します。

<コレステロールを多く含む食品一覧>
全卵1個(50g)210 mg
フォアグラ1切れ(60g)390mg
鶏レバー焼きとり2本(60g)222mg
うなぎの蒲焼き1串(100g)230mg
するめいかの刺し身1皿(60g)162mg
たらこ1/2本(25g)88mg

『栄養素の通になる』(女子栄養大学出版部)より

食事を見直す際は、コレステロールの含有量だけを意識するのではなく、植物繊維が豊富な野菜類や、不飽和脂肪酸が多く含まれる魚類や大豆製品など、トータルな栄養バランスを考えて食材を選ぶようにしましょう。

肥満になると増える

エネルギーとして使われなかった中性脂肪が内臓まわりに蓄積されたのが内臓脂肪。肥満によって中性脂肪が増えると、脂質の代謝異常が起こり、LDLコレステロールもたくさん作られてしまいます。肥満の人は、適正体重に戻すことが必要です。

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ホルモンバランスの乱れで増える

様々なホルモンによって、LDLコレステロールの働きが一定に保たれるようサポートされています。ストレスや生活習慣の乱れは、このホルモンのバランスを乱すため、LDLコレステロールが高くなることがあります。

体質・遺伝で多い

コレステロールを吸収する量、合成する量、消費する量は個人差があります。人によっては、少量のコレステロールを摂取するだけでも大きく影響することがあります。

また、遺伝の影響もあり、親が高コレステロール症の場合は、子供もコレステロール値が高くなる確率が高いので、健康診断などで経過観察しながら注意しましょう。

食事

LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを良くするための主な食事法をご紹介します。

タンパク質は肉より、魚・大豆で摂る

食事のたびに摂取したいタンパク質ですが、飽和脂肪酸が多い肉類より、魚や大豆などを主菜にして摂るのがおすすめです。夕食のおかずが肉であれば、次の日の夕食は魚にするなど、お肉のおかずの頻度を減らしてみましょう。

コレステロールを多く含む食品を減らす

食事由来のコレステロールの影響は小さいとはいえ、既にLDLコレステロールが高い人は、コレステロールを多く含む卵や肉類の内臓、魚卵などをたくさん食べないこと。

不飽和脂肪酸を含む食品を摂る

不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイル、青魚、アマニ油などには、LDLコレステロールを減少させる効果があります。

炒めものや揚げ物には米油やオリーブオイルを使ったり、ドレッシングにはアマニ油を使うなどすると、良質な不飽和脂肪酸の摂取を増やすことができます。

室温で固まる油(飽和脂肪酸)に注意

油には、室温で固まる油と、固まらない脂があります。バターやマーガリン、霜降り肉、ラードなど、室温で固まる油は飽和脂肪酸を多く含み、LDLコレステロール値を上げるので摂取を控えたいもの。

室温で固まらないオリーブオイル、青魚、ナッツ類、アマニ油に替えたいものです。

食物繊維の多い食品を摂る

食物繊維の多い食品は、コレステロールの吸収を抑え、スムーズに体外に排出してくれる働きがあります。

野菜や海藻類、きのこ、根菜類などに食物繊維は豊富です。脂っこい食事の時には、食物繊維を含む野菜などを先に摂るのがおすすめ。肉類のおかずには必ず、野菜や海藻、きのこなどの副菜をたっぷり添えるようにしましょう。

ご飯を白米から、玄米や雑穀米にするだけでも食物繊維の摂取量は多くなります。

よく噛んで食べる

コレステロールを下げるためには、肥満の予防が大切。そのためには、普段からゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。それだけでも満腹感をアップさせることが可能です。

1口30回を目安によく噛んで食べましょう。我慢することなく、自然と腹八分目で食事を終えることができます。

アルコールは控える

お酒の飲み過ぎは中性脂肪を増やします。間接的には、コレステロールを増やすリスクもあります。

アルコールの1日の適正量は、個人差がありますが、一般的にビールなら500ml、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度になります。アルコールは食欲を増加させる働きもありますので、お酒を飲む頻度を減らすことで、おつまみによる食べ過ぎも減らすことができます。

運動

運動はLDLコレステロールを下げる効果は薄いですが、HDLコレステロールを増やすことが期待できます。

脂肪燃焼を促すために適度な運動をする

運動は、内臓まわりについた中性脂肪を燃焼させるために効果的です。運動の時間をあえて設けなくても、移動の時は電車やバスを使う、一駅前から歩いてみる、エレベーターよりも階段を使うなどで、普段の運動量は増やすことができます。

また、運動は体の筋肉量を増やし、そのためにエネルギー代謝をアップさせますから、体に脂肪が溜まりにくく、運動によって、HDLコレステロールを増やす働きもあります。

生活習慣

LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを良くするための主な食事法をご紹介します。

買い物は満腹の時に行く

空腹時に買い物に行くと、ついつい高カロリーな食材に目がいきがちで、不要なお菓子を買い込んでしまうことも。お腹が満たされているときに買い物に行き、冷静に必要なものだけを購入するようにしましょう。

タバコを控える

喫煙はHDLコレステロールを減らし、LDLコレステロールや中性脂肪の合成を促します。さらに動脈硬化や血栓の生成を促進し、心疾患や脳卒中のリスクを高めます。1日数本でも体には大きな影響がありますので、禁煙を目指しましょう。

ストレスを溜めない

ストレスを感じた際に分泌されるストレスホルモンは、コレステロール値を上昇させる働きがあります。また、ストレスが溜まると血圧が上がり、動脈硬化のリスクを高めます。ストレスは溜め込まず、自分なりのリラックス方法で解消しましょう。

肥満が原因の場合、肥満を改善する漢方薬もおすすめ

中性脂肪が増えすぎると、脂質の代謝異常により、LDLコレステロールが増加しHDLコレステロールが減少します。肥満の改善には、漢方薬を活用する方法があります。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」と「大柴胡湯(だいさいことう)」の2処方は便秘を改善して、脂質代謝を上げて余分な脂肪を分解・燃焼する効果があります。それぞれ使われる体質が違うので、まずは自分の体質に合わせて処方を選ぶことが大切です。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」のタイプ:食べ過ぎや間食が多く、代謝が追い付かなくなることでお腹まわりに脂肪がつきやすくなるタイプ。このタイプは胃腸の働きが乱れて便秘にもなりがちです。

大柴胡湯(だいさいことう)」のタイプ:年を重ねることやストレスなどでホルモンバランスが乱れ、脂質代謝が低下し、上半身を中心に、筋肉の少ない二の腕・脇腹に溜まりやすいタイプ。また、このタイプは食生活が乱れやすく、便秘にもなりがちです。

「防風通聖散」と「大柴胡湯」の2処方は、ドラッグストア等でクラシエ薬品のコッコアポとして販売されていることがあります。漢方薬で自分にあう脂肪の減らし方を探したいときは、ぜひチェックしてみてください。

30代を過ぎると健康診断で気になってくるコレステロール。
コレステロールは脂質の一種で、体には必要なものですが、悪⽟コレステロール(LDL-コレステロール)値が基準値を上回る、または 善⽟コレステロール(HDL-コレステロール)値が基準値を下回ると「脂質異常症」となり、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞の大きな要因です。

LDL(悪玉)コレステロールが増える原因は、食事やストレス、体質・遺伝、肥満など様々あります。基準値を超えたからといってすぐに薬が必要になるわけではないですが、糖尿病や親が高コレステロールなど遺伝要素がある場合は、医師への相談が必要になります。
リスクのない人の場合は、食事や生活習慣の改善である程度基準値にすることができます。

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からだにいいこと
記事監修
からだにいいこと編集部
創刊18周年を迎えた女性向けの健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。