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尿漏れ対策の
骨盤底筋トレーニング とは?
~正しい方法と注意点~
日々の生活のなかで、ふとした瞬間に尿が漏れてしまった経験はありませんか?くしゃみやせきをした時、重い荷物を持ち上げた時など、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうといった「尿漏れ」の悩みを持つ方は少なくありません。
このようなケースには「骨盤底筋群」という筋肉の衰えが関係していることがあります。
ここでは、骨盤底筋群の役割と尿漏れの関係を解説するとともに、骨盤底筋トレーニングの正しいやり方や注意点についてご紹介します。
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実は、筋肉の衰えと尿漏れは密接に関係しています。特に「骨盤底筋群」と呼ばれる尿道周囲の筋肉の衰えは大きな影響をおよぼします。
まずは骨盤底筋群のはたらきと尿漏れの関係について詳しくみていきましょう。
尿漏れ全般について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
>尿漏れ(尿失禁)とは?~男女別の原因と対策について~
●骨盤底筋群のはたらき
「骨盤底筋群」は、内蔵を支える骨盤の一番底にある、ハンモック状の骨格筋の集まりのことをいいます。
膀胱・子宮・直腸などの骨盤内の臓器を骨盤底筋群が下から支え、正しい位置に保つとともに、排泄のコントロールに重要な役割を担っています。
●骨盤底筋群と尿漏れの関係
骨盤底筋群は傷ついたり加齢や閉経によって筋力が低下したりすることがあります。そうして骨盤底筋群の力が弱くなると、尿道などを閉めつける力も弱くなります。
そのため咳やくしゃみをしたり、重いものを持ったり大声で笑ったりしてお腹に力が入った瞬間に、反射的に尿道を締めることができなくなり、不意に尿が漏れるようになります。これを「腹圧性尿失禁」といいます。
女性の場合、 男性に比べて尿道が短いという構造上の特徴があることや、妊娠や出産によるダメージ、更年期の女性ホルモンの低下などの影響などの要因が相まって、骨盤底筋群の衰えによる尿漏れを起こしやすいといわれています。
●他にもある?骨盤底筋群の衰えが引き起こすトラブル
骨盤底筋群の衰えによって起こるトラブルは尿もれだけではありません。 骨盤底筋群が弱くなることによって、骨盤内の膀胱や子宮、直腸などの内蔵を支えることができなくなり、重力によってこれらの臓器が下垂してしまう「骨盤臓器脱」 が起こることがあります。
骨盤内の臓器が正しい位置から下がってくると、膀胱や尿道が臓器の重みで圧迫されるため、尿漏れ以外の尿トラブルも起きやすくなります。例えば、尿道が圧迫されると、おしっこが出にくい「排尿困難」などの自覚症状が生じ、膀胱が圧迫されるケースだと頻繁にトイレに行きたくなる「頻尿」や、急に強い尿意をもよおす「尿意切迫感」、間に合わずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」などのトラブルが生じやすくなります。
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骨盤底筋群は体の外からは見えませんが、ポイントを押さえれば効果的にアプローチすることができます。
●骨盤底筋群の動きを実感する
まずは骨盤底筋群を意識的に動かしてみて、骨盤底筋群の位置と動きを確かめましょう。
- 椅子やトイレの便座に腰かけてリラックスします
- 肛門と腟の周りの筋肉を、おなかの奥に引っ張り上げるようにすぼめます
このとき、尿道や肛門まわりの筋肉が収縮するような感覚があれば、骨盤底筋群が動いています。
骨盤底筋群が動く感覚がわかりにくい場合は、おしっこやおならを我慢するようなイメージで膣や肛門に力をいれてみても良いでしょう。
骨盤底筋群が動く感覚がつかめたら、立った姿勢や横になった状態でも収縮させ、骨盤底筋群の動きを感じてみてください。
フェイスタオルなどをロール状に巻き、床と股の間に置いて収縮させると、よりダイレクトに骨盤底筋群の収縮を実感することができます。
●呼吸にあわせて骨盤底筋群を引き締める
骨盤底筋群を引き締めたい時は、呼吸に合わせて収縮とリラックスを繰り返すと効果的です。このとき、あおむけや横向き寝の状態からはじめるのがポイントです。
- 全身の力を抜いて横になる
- 下腹に手をあてながら、ゆっくりと腹式呼吸をする
- 息を吸うのに合わせて、骨盤底筋群を緩める
- 息を吐く時は、徐々にお腹をすぼめながら骨盤底筋群を引き上げる
だんだん慣れてきて、腹式呼吸にあわせて骨盤底筋群を動かすことができるようになったら、座った状態や立った状態でもトライしてみましょう。
●お腹やお尻に力を入れない
骨盤底筋群にアプローチするには、正しい方法でおこなうことが大切です。 お腹やお尻などの大きな筋肉の力に頼って無理やり収縮させたり、力んで呼吸をとめてしまったりすると、骨盤底筋群の収縮をしっかりと実感することができません。 また、いきむように無理に力を入れると骨盤底筋群を痛めてしまう原因になるため注意しましょう。
●生活のなかで「締める」「緩める」を意識する
骨盤底筋群を意識的に動かす感覚がつかめたら、生活のなかでも締めたり緩めたりすることで、いつでも骨盤底筋群を鍛えることができます。
例えばテレビを見ている時や就寝前、車や電車での移動中などに骨盤底筋群を動かしてみましょう。日々の生活のなかでこまめに意識して動かすことで骨盤底筋群が鍛えられます。
●徐々に収縮の時間を長くする
骨盤底筋群の収縮は、はじめは「1秒締めて1秒緩める」を繰り返し、慣れてきたら徐々に時間を長くしてみましょう。その状態を数秒間キープすることで、骨盤底筋群が収縮していくのを実感することができます。
さらに慣れてきたら、素早い収縮にも挑戦してみましょう。 骨盤底筋群の収縮の時間を長くキープしたり、逆に素早く収縮させたりすることで、遅筋と速筋という2つのタイプの筋肉を鍛えることができます。
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ここからは、骨盤底筋トレーニングの実際のやり方についてみていきましょう。 骨盤底筋トレーニングの効果は、実感できるまでに1~3ヵ月ほどかかるため、さまざまな姿勢やシチュエーションで毎日コツコツと続けてみましょう。
●あおむけトレーニング
あおむけの姿勢でおこなう骨盤底筋トレーニングです。
- あおむけになった状態でひざを立て、お腹の力を緩める
- 両手はお腹の上において、呼吸の動きを感じる
- 息を吐きながら、骨盤底筋群を引き締める
- 息を吸いながら、骨盤底筋群を緩める
この呼吸と収縮を繰り返します。腹筋やお尻に力をいれないように注意しながらおこなってください。
慣れてきたら素早く動かしてみるパターンや、引き上げたまま数秒間キープするパターンなども試してみましょう。
リラックスタイムやちょっと横になりたい時、就寝前や朝目覚めた時などにこまめに取り組んでみましょう。
●四つ這いト レーニング
肘や膝をついた四つ這いの姿勢でおこなう骨盤底筋トレーニングです。
- 床に膝をついて、肘を前に置き、四つ這いになる
- 肘が痛いときはクッションなどを置き、その上に肘を置く
- 背骨をまっすぐにする
- 息を吐きながら、骨盤底筋群を引き締める
- 息を吸いながら、骨盤底筋群を緩める
この呼吸と収縮を繰り返します。骨盤底筋群を引き上げているとき、下腹部が持ち上がっていることを確認してください。
途中で背骨が曲がったり、骨盤が反り返ったりしないように注意しましょう。
●立ちながらトレーニング
横になるだけでなく、立ちながらのトレーニングも効果的です。
- 机や手すりに手をおいて立ち、足を肩幅にひらく
- 両手に体重をのせ、背中をまっすぐに伸ばして前を見る
- 肩の力を抜く
- 息を吐きながら、骨盤底筋群を引き締める
- 息を吸いながら、骨盤底筋群を緩める
この呼吸と収縮を繰り返します。立った状態でのトレーニングは、骨盤底筋群の動きを実感しやすいのでおすすめです。
●歩きながらトレーニング
骨盤底筋群を上手に動かせるようになれば、歩きながらトレーニングすることもできるようになります。
これまでに解説してきた呼吸と収縮を歩きながら実施してみましょう。
ちなみに足を前に出すとき、無意識に膝から前へ出して歩いている人が少なくありません。骨盤からしっかり足を前に踏み出すイメージでおこなうようにしましょう。
●座りながらトレーニング
椅子などに座りながらおこなうトレーニングです。
- 椅子に軽く腰かけ、背中をまっすぐ伸ばし、足を肩幅ぐらいに開く
- 肩とお腹の力を抜く
- 息を吐きながら、骨盤底筋群を引き締める
- 息を吸いながら、骨盤底筋群を緩める
この呼吸と収縮を繰り返します。 座っている状態であれば屋内でも屋外でも、どこでも気軽に取り組むことができます。息をするときに肩やお腹に力が入らないように注意しましょう。
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尿漏れが骨盤底筋群の衰えによるものであれば、骨盤底筋トレーニングを毎日コツコツ続けることで症状の改善が期待できます。
しかし、中には骨盤底筋トレーニングを続けても改善がみられないケースもあります。尿漏れや頻尿などの尿トラブルは骨盤底筋群の衰えだけではなく、泌尿器系の病気によって起こったり、全身の病気が潜んでいたりすることもあります。
おかしいなと思ったら早めに医師や専門家に相談し、尿トラブルの原因に合った治療や対処に取り組んでいきましょう。
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骨盤底筋トレーニングはすぐに効果が出るものではなく、毎日コツコツと続けることが大切です。日々の生活に取り入れて習慣にしていきましょう。
なお尿漏れの原因はさまざまで、骨盤底筋群以外の原因から生じている場合もあります。まずは原因を突き止めるため、医師や専門家に相談してみましょう。
出典
男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン
女性下部尿路症状診療ガイドライン第二版
日本泌尿器学会
榎本 蒼子
医学博士、医学研究者。2015年まで公立医科大学にて医学研究および医学教育に従事。在職中は医師・研修医向けの東洋医学セミナー等を担当。現在は医療ライターとして、健康に役立つ情報や最新の医学研究に関する情報を発信している。
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