かぜのひきはじめに
力を発揮する葛根湯
最終更新日 2015年12月07日
かぜのひきはじめに葛根湯が効くのはなぜ?
かぜのひきはじめに葛根湯が有効なことは前章に述べた通りですが、その他にも、葛根湯がかぜに効くポイントがあるといわれています。免疫細胞とウイルスが戦いはじめると、喉の痛みや倦怠感のような炎症症状が出始めます。このとき葛根湯は、炎症を抑えて症状を改善してくれる働きもあるのです。ウイルスを撃退できずにさらに症状が進んでしまった場合には、交感神経を刺激する作用で発熱を促し、免疫細胞がウイルスを撃退するのをサポートします。研究においても、葛根湯などの漢方薬による治療が、早期治癒や軽い発熱で症状を抑えるために効果的であるというデータがあります。また、インフルエンザウイルスに感染させたマウスによる実験では、葛根湯が効果的に作用することが報告されています。
免疫細胞が戦いはじめた時
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喉の痛みや倦怠感
葛根湯を
服用-
炎症を抑え症状を改善
ウイルスを撃退できず症状が進んだ時
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症状の悪化
葛根湯を
服用-
発熱を促し、
ウイルス撃退をサポート
そもそも葛根湯って何?
葛根湯は、漢方薬の中でももっともよく知られ親しまれている薬のひとつです。葛根湯は、「麻黄」「葛根」「生姜」「桂枝」「芍薬」「甘草」「大棗」の7種の生薬が合わさった漢方薬で、発汗・解熱作用と鎮痛作用があります。西洋医学の体温を下げるという解熱のメカニズムとは異なり、身体を温めて発汗させることで解熱するメカニズムをもっています。葛根湯はかぜ以外にも肩こりや頭痛、筋肉痛や鼻炎などさまざまな症状の緩和に役立ちます。また、眠くなる成分が含まれていないので、眠気があると支障があるお仕事や家事・育児に忙しく休めない人にもぴったりです。ただ、葛根湯は「実証(もともと健康で体力もある人が有害物によって身体の機能が阻害された状態の人)」に向けた漢方薬。効能効果を見ると「体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)」とあるように、体力が低下している方や、すでに汗をかいている方には向いていません。
葛根湯の構成生薬
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麻黄(まおう)
葛根(かっこん)
生姜(しょうきょう)
桂枝(けいし)
〈 発汗・解熱作用 〉
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芍薬(しゃくやく)
甘草(かんぞう)
大棗(たいそう)
〈 鎮痛作用 〉
葛根湯はいつ飲むのが効果的なの?
葛根湯の効能を発揮させるためには、体質だけでなく、服用のタイミングも重要です。最も効果を発揮するのはやはりかぜの初期段階。鼻や喉に違和感があったり悪寒を感じたら服用しましょう。葛根湯は2000年以上も前に作られた中国の古い医書、「傷寒論」に収載されていた漢方薬。その「傷寒論」には、「汗が出ていない状態」で「風があたると寒気がして」「首や肩がこわばる」時に飲むとあります。「あれっ? かぜかな」と思ったときに、すぐ服用できるよう、葛根湯を常備しておくといいですね。
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・鼻や喉に違和感がある
・悪寒を感じたすぐに服用