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にきびの部位ごとの原因とケア : 顎

顎にきびの原因と対処法は?
できやすい人の特徴とケア方法

顎にきびは目につきやすく、気になってつい手で触れてしまいやすい傾向にあります。 ここでは、顎にきびができやすい理由やできる原因について解説し、顎にきびを予防・改善する方法を紹介します。 ※この画像は、にきびができる部位を表現したイメージ画像です。にきびの症状を表現したものではありません。

1. 顎ににきびができるのはなぜ?

なぜ顎にきびができてしまうのでしょうか。顎にきびができやすいのは、顎に次のような特徴があるからです。

乾燥しやすい

顎の周辺は汗腺(※)が少ないので、乾燥しやすい場所です。その一方で、皮脂腺(※)が多くあるため、皮膚の水分不足を補おうとして皮脂分泌が過剰になります。そうなると、毛穴に皮脂が詰まりやすくなるので、意外とにきびができやすい場所でもあります。

刺激を受けやすい

顎は手や物が触れる機会が多く、刺激を受けやすい場所です。刺激を受けることで、雑菌が毛穴に入るリスクが高くなったり、細かい傷ができて皮膚のバリア(※)が低下したりすることも、顎にきびができやすい理由といえます。

2. 顎にきびが悪化する原因

顎にきびができてしまったら、悪化しないうちに早く治したいものです。そのためには、顎にきびが悪化する原因を知ることが大切です。

過剰な皮脂の分泌

先述した「過剰な皮脂の分泌」は、顎にきびが悪化する最も大きい原因のひとつです。
皮脂が過剰に分泌されるとさらに毛穴がつまりやすくなるほか、余分な皮脂が酸化して皮膚に炎症を起こしたり皮膚のバリア機能(※)を低下させ、更なる顎にきびの悪化につながります。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランス(※)が乱れて男性ホルモンの働きが強くなると皮脂の分泌が促され、角質が厚くなることで毛穴がふさがり、炎症を起こしてしまいます。男性ホルモンの分泌が促される原因としては、睡眠不足、ストレス、疲労などが挙げられます。

手や服、マスクなどによる刺激

顎ににきびができやすい原因として「刺激を受けやすい場所であること」と説明しましたが、できてしまったにきびが悪化する原因としても手や服などによる刺激が挙げられます。

直接的な刺激

気になってにきびを触ったり頬杖をついたり、口周りをこすったりするなどして刺激されることで、雑菌が毛穴に入り炎症が起こり、にきびの悪化につながる可能性があります。

摩擦による皮膚のバリア機能(※)の低下

直接にきびに触れる以外にも、マスクやマフラー、髪の毛やタオルなどによる肌への摩擦も悪化の要因として挙げられます。こうした摩擦があると、皮膚のバリア機能(※)が低下して乾燥しやすくなり、皮脂の分泌が増えるためです。

紫外線による乾燥

皮脂は紫外線を浴びると酸化されやすい性質があり、酸化された皮脂によって皮膚のバリア機能(※)が低下することがわかっています。バリア機能(※)が低下すると皮膚の水分が蒸発して乾燥しやすくなったり、炎症が起こりやすくなったりします。その結果として、皮膚のターンオーバーが遅くなることで毛穴の周りの角質が硬化し、皮脂が詰まりやすくなることが、顎にきび悪化につながるのです。 特に顎は日差しをさえぎりにくいうえに地面からの照り返しもあり、常に紫外線を浴びている状態のため、紫外線の影響を受けやすい場所といえます。

栄養の偏りや不足

たとえば動物性脂肪や糖質の多い食事は、脂質や糖質の代謝に関わるビタミンB群やビタミンAが不足する影響で皮脂の分泌が増え、顎にきびが悪化する原因になります。
また、過度なダイエットで食事の量が少なかったり食物繊維が不足したりすると便秘になりやすく、腸内環境が悪くなることも結果的に顎にきびが悪化する原因といわれています。

3. 生理前は顎にきびができやすくなる?

生理前に顎にきびができやすくなると感じる方は少なくありません。これは生理周期にともなう女性ホルモンの変化によるものです。
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)(※)」がありますが、このプロゲステロンには男性ホルモンと似た働きがあり、皮脂の分泌を促します。そのため、生理前には皮脂の分泌が過剰になり毛穴が詰まりやすくなり、顎にきびができやすくなるのです。
また、皮脂分泌が過剰になりがちな思春期より、ストレスや睡眠不足などでホルモンバランス(※)が乱れやすい大人になってからのほうができやすいといわれています。

4. 顎にきびを改善&予防するには?

ここまで顎にきびができる原因について解説してきました。ここからは、顎にきびができる前に予防する方法や、できてしまった顎にきびの改善について紹介します。

洗顔・スキンケアを見直す

顎にきびの改善・予防のためには、洗顔方法やスキンケアの見直しが重要です。肌に必要な皮脂を守りながらも汚れをしっかり落とし、清潔に保つためのポイントを紹介します。

洗顔の見直し

洗顔の回数は、日本皮膚科学会からも朝晩の1日2回がすすめられています。少なすぎると汚れや余分な皮脂が落ちず、多すぎると乾燥し皮脂の分泌が促されて逆効果です。
  • 1. 洗顔料は良く泡立てて、泡をころがすようにして優しく洗います。このとき、ごしごしこすらないよう注意しましょう。
  • 2. ぬるま湯ですすぎ残しがないように、優しく洗い流します。
  • 3. 清潔なタオルをこすらずに軽く押し当てて、顔の水分を吸い取ります。

スキンケアの見直し

化粧水をつける時は、コットンなどは使わず手のひらに化粧水を取り、顔を優しく押さえるように化粧水の水分を浸透させます。化粧水の後の保湿には、油分の少ない乳液やゲル状の製品がおすすめです。また、紫外線防止のために、日焼け止めを塗るようにしましょう。

なるべく刺激しないようにする

顎にきびの有無に関わらず、顎を触らないように意識することが大切です。顔の産毛の手入れなども、やり過ぎないように注意しましょう。
また、自分の手で触る以外の顎への刺激も注意が必要です。たとえば、なるべく顎に触れないようなマフラーの巻き方や服の襟のデザイン、髪型を選ぶようにしましょう。マスクをする必要のある時には、清潔なものを使うことも大切です。

なるべく刺激しないようにする

顎にきびの有無に関わらず、顎を触らないように意識することが大切です。顔の産毛の手入れなども、やり過ぎないように注意しましょう。
また、自分の手で触る以外の顎への刺激も注意が必要です。たとえば、なるべく顎に触れないようなマフラーの巻き方や服の襟のデザイン、髪型を選ぶようにしましょう。マスクをする必要のある時には、清潔なものを使うことも大切です。

生活習慣や食事を改善する

顎にきびの改善や予防に大切な、生活習慣や食事の見直しのポイントを紹介します。

生活習慣の見直し

肌のターンオーバーは主に睡眠中、とりわけ入眠直後に分泌される成長ホルモンによって促進されるため、良質な睡眠が必要になります。また、睡眠不足はホルモンバランス(※)を崩し、皮脂の分泌が過剰になる原因となるので、十分な睡眠も必要になります。
そのため顎にきびの改善や予防には、夜更かしや寝る前のスマートフォン使用などを見直して、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。

食事の改善

たとえば、胃腸に負担をかける暴飲暴食や夜遅い夕食を摂ることが多い方、偏食の方、極端なダイエットで食事の量が少ない方などは、食事の改善が必要です。
1日3回きちんと食事を摂ることや、栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。意識して摂りたい栄養素と含まれる食べ物を紹介します。
摂りたい栄養素 働き 多く含まれる食べ物
タンパク質 肌の材料となり、健康な 皮膚を保つ 赤身肉、魚、乳製品、大豆食品など
ビタミンB群 脂質の代謝を調節し、皮脂の分泌をコントロールする 豚肉、鶏肉、鯖、ごまなど
ビタミンA 肌のターンオーバーや角質の水分を保持する うなぎ、レバー、緑黄色野菜(かぼちゃ、人参など)など
ビタミンC 抗酸化作用があり、紫外線やストレスなどのダメージから肌を守る、コラーゲンを生合成する ピーマン、ブロッコリー、レモン、キウイなど
ビタミンE 抗酸化作用や血行改善を促す ナッツ類、うなぎなど
必須脂肪酸
(オメガ3脂肪酸:リノール酸、EPAなど)
血流や皮膚の保湿を促す まぐろ、青魚(ぶり、さんまなど)、アボカド、ナッツ類など
亜鉛 タンパク質の合成を促す ホルモンバランス(※)をコントロールする カキ、豚レバー、牛赤身肉、卵など
食物繊維 腸内環境を整え、便通を改善する キノコ類、海藻類、ごぼうなど

5. まとめ

顎にきびは、皮脂の過剰分泌、ホルモンバランス(※)の乱れ、紫外線、栄養の偏りなどさまざまな原因で悪化しやすく、特に女性は生理周期にともなう女性ホルモンの変化により、生理前には顎にきびができやすくなります。
顎にきびの予防、改善には、洗顔やスキンケアの方法を見直し、手で触ったり刺激をしないように意識するようにしましょう。
また、ストレスや睡眠不足、不規則な生活や偏った食事は顎にきびの大敵です。顎にきびに悩まされないためには、生活習慣を見直し、自分なりにリラックスできる方法をみつけておくことも大切です。

用語解説

顎にきびの理解に役立つ用語について解説します。 ●汗腺 汗を分泌する器官のこと。 ●皮脂腺 毛穴に存在し、皮脂を分泌する器官のこと。男性ホルモンが多くなると、皮脂分泌が過剰になる。 ●黄体ホルモン 女性ホルモンのひとつ。生理前に分泌されるホルモンで、妊娠を助けるほか、皮脂の分泌を増やすはたらきがある。 ●ホルモンバランス 体にはさまざまなホルモンが存在し、体の状態を一定に保つため、必要なときに必要な量が分泌されている。しかし、ストレスや睡眠不足などでホルモンの分泌量が少なくなったり、多くなったりして、ホルモンバランスが乱れると、体に不調が現れる。 ●肌のバリア機能 乾燥や外部刺激から肌を守るはたらきのこと。肌にうるおいが保たれているときにバリア機能が発揮される。

小谷 敦子

薬剤師免許取得後、病院薬剤師として就職。ライフステージの変化にともない、調剤薬局の薬剤師とメディカルライターとしての実績を積んできた。東洋医学専門診療科のある大学病院の門前薬局では、漢方薬の処方に対する数多くの服薬指導を経験。


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